第37話 再びドワーフとスピリタス!

朝は師匠と稽古をして、昼は昨日解放されたスキルを使って日用品と店で使う物の補充をしていた。


そうしていると師匠が狩りから戻ってきて俺を呼ぶ声が聞こえた。


「今日は凄い獲物を狩ってきたぞ!」


「師匠どんな...え?ん?はぁぁぁぁ」


体長20mは有に超えそうな魔物を引き摺っていたのだ。 あまりのデカさにびっくりする拓哉。


「デカいだろ? ちょっと奥まで行ったらコイツがいてな。 拓哉にステーキにしてもらおうとな」


ん?ステーキ?食えるのかこいつ? その前にどうやって捌けばいいの!?


「凄いですが、こいつはなんですか?」


「こいつか。地竜だ! 久々におもしろい戦いができた。ほれ、刀がボロボロになったわ」


師匠の刀を見ると刃こぼれとヒビが入っていた。 だが刀とは対照的に地竜に傷が1つもついていない...師匠どうやって倒したんだ?


「傷1つありませんが、どうやって倒したのですか? あと師匠の刀で傷付かない物を捌けませんよ」


「あぁこれは源心流の内部破壊を使っただけだ。 剣を失っても木の棒でも相手を倒す為に生み出された技だな。拓哉も型が出来上がったら教えよう。 そういえば、確かに捌けないな。盲点であった...オリハルコンのナイフなら行けるが現状どうしようも出来んな」


サラッと言ってますが、情報量が凄すぎますって! まずは、これだけ強い地竜すら倒す内部破壊って恐れしすぎますから。 それにオリハルコンあるの!? まさかミスリル アダマンタイトもあるのか? 見てみたいし、魔境の鉱山を探すのもいいかもな。


「師匠、内部破壊と言いましたが、地竜の内臓とか破裂してないですよね? あと俺は、身体強化で既に爆散さす威力ですが、内部破壊いりますか?」


内臓破裂していたら、せっかくの地竜が不味くなるので聞いてみた。


「大丈夫だ。 頭に内部破壊をひたすら打ち込んだのでな。 体の損傷は皆無だ。 拓哉の身体強化は脅威だが、噂に聞くとスキル封じをする魔道具があるらしい。それを考えると源心流を学んで損はないはずだ」


内臓損傷がないならよかった。じゃあ鼻と目から出てるのって脳みそ...うぇ〜。


あとそんな魔道具まであるのか。人間の国終わってるな。精神破壊にスキル封じ。 何を考えてるのやら...


「それならよかったです。 まずはオリハルコン探しと鍛治ができる人を探さないとですね。とりあえず地竜はアイテムボックスに入れておきます」


基本冒険には興味はない拓哉だが、ナイフを作ってもらえるなら最高の包丁も手に入れらるのではと興味が湧く。


「気長に探すしかないだろうな。 にしても、本当によく入るアイテムボックスだな。流石、使徒様」


揶揄う小次郎。


「使徒様はやめてくださいよ。師匠〜」


笑いながら小次郎は風呂へ行ってしまう。


18時


いつものように、看板を出す拓哉。


昨日ヴァレリーさんから、明日は行けないと言われていたので今日は来ていない。

お客さんは師匠だけで、冷酒と塩辛で晩酌をしている。

時間にして2時間が経ったあたりだろうか?

懐かしいお客さんが来た。


カランカラン


「いらっしゃいませ。 え?バルトか!?」


「久しぶりだのぅ。元気そうでなによりじゃ。 ここの飯と酒が忘れられんくてのぅ。 最後の仕事を終わらせて、辞めてここに来たんじゃ」


ありがたいなって今仕事辞めたって言わなかったか?


「おい!バルト!仕事辞めたってどういうことだよ」


「そのままの意味じゃよ。ここに家を建てて住むんじゃ。 そうすれば毎日拓哉の飯と酒が呑み食いできる。金なら腐る程あるでの」


爆弾発言をするバルト。


「え〜こんな場所に住む為に辞めてきたのか!?まぁ土地はあるからいいけど、食ったらちゃんと金は払えよ」


師匠も住んでるしいいかと思う拓哉。


「もちろん金は払うわい。 とりあえず酒とつまみを頼む」


酒が呑みたいバルトが急かす。


「わかったから待ってろ。 適当につまみと酒持ってくるから」


厨房に向かう拓哉。


程なくして酒とつまみを持って戻ってくる拓哉。


「お待たせ。最高度数のスピリタスとつまみは生ハムとチーズだ。あとこの酒を浴びるほど呑める可能性があるのはドワーフだけだと思う」


ドワーフに呑ませたいお酒NO.1と言ってもいいスピリタス。 何故つまみが生ハムにチーズかというと、クセがある方がスピリタスに合うからだ。


「がっははは、まさか可能性ときたか。それほどの酒とは早速頂こう。ゴクゴクっ、むむむ!ふぉ〜ふぉ〜なんじゃ〜これは!口が喉が胸が腹が燃えそうじゃわい。 こりゃ凄い。焼けるようじゃ。 火酒を超えておる。真の火酒じゃ」


ドワーフスゲ〜。 スピリタスをビンで呑んでるぞ。 普通死ぬぞ。


「拓哉、素晴らしい酒じゃ。 なまはむっちゅうんも頂くかな。 がっははは、この塩気にスピリタス合うぞい。 スピリタス単体で呑むよりまろやかになるの。 チーズじゃな。 むむむ、このチーズだけだとクセが強過ぎるが、スピリタスを呑むとチーズのクセが和らいでいい味になるのぅおもしろい」


「満足してくれたみたいでよかったよ。 これ以上強い酒はない唯一無二の酒だからな。 まだまだスピリタスもつまみもあるが呑むか?」


「当たり前じゃ。 あるだけだせい!今日は飯はいらん。 このすぴりたすだけでええ」


あるだけと言われたので、アイテムボックスから20本出してやった。


「この酒がこんなにあるのか!? 拓哉は酒の神か? ここは天国じゃわい。 ぷはぁ〜うまいの。今日はとことん呑むぞい」


酒の神ではないけど、使徒らしいよとは言えない拓哉だった。


「ちょっとすまん。バルトと言ったか? すまんが俺にも呑ませてくれないか?」


「なんじゃお前さんは!?これはワシの酒じゃ!誰にも渡さんわい」


ドワーフが発狂する酒に興味を示した小次郎が呑ませてくれと言うが、酒になると狂うドワーフには禁句であった。


「バルト俺からも頼むよ! 師匠...小次郎さんは、ここに住んでいてバルトとは隣人になる人だしさ」


拓哉がお願いする。 


「うむ、拓哉に言われたら仕方ないのぅ。小次郎とやら感謝するのじゃぞ。 ドワーフが酒を分けるなどないことじゃ」


「すまん!拓哉、バルト感謝する。では頂く。 ゴクっ・・・・・・・・」


バタン!


「師匠〜〜〜!!」


あまりの酒の強さに呑んだ瞬間、顔を真っ赤にしてぶっ倒れる小次郎。


拓哉は急いで小次郎を2階のベッドに運び介抱した。


「がっははは、この酒を横取りしようとした罰じゃな」


バルトは倒れた事を心配することはなく、酒のバチが当たったと言うのであった。

拓哉は異変が起きないか小次郎を見続け、呼吸が落ち着いたのを確認して下に降りた。

戻るとそこには20本の空ビンと床で大の字になり、イビキをかいて寝ているバルトがいた。  

ハァとため息を漏らしながら片付けをするのであった。

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