4月28日(木)13:30

 今日はクリーンアップ大作戦の日だ。なんの日かっていうと、つまりは学校周辺を練り歩いてゴミを拾いまくる日である。非常にめんどくさい。しかし、この行事のおかげで午後の授業を受けなくて済むのだと思えば、ある意味では楽ができてラッキーな日とも言える。感じ方は人それぞれだ。


 基本的には何となくクラスで固まって歩いていく。しかし、明確にルールがあるわけでもないので、私は一人で適当にゴミを拾って手持ちのビニール袋に入れていく。すると、四月一日くんと五十嵐くんは自然と私のところへやってきた。どうやら一緒に行動してくれるようだ。まあ、嬉しいかと言われると正直微妙だが。なんというか、私にはこの二人しか友だちがいないみたいである。




「やたらとたばこの吸い殻が落ちているな」

「ああ。最近の世間は禁煙の方向に進んでいるはずなのにな」




 そんな声に二人の方へ視線をやれば、確かに二人が持っている袋にはたばこの吸い殻がたくさん入っている。かくいう私の袋にも拾った吸い殻が入っているわけであるが。言われてみればホント多いな。禁止されると隠れて吸うしかないってことだろうけど、だからって学校の周りで吸うなよ。




「普通に考えれば大人は子どもの見本となる振る舞いをするべきなのに、これでは俺たちの方がよっぽどまともだな。なんでこんなクソみたいな大人が多いんだ」

「四月一日くん、結構厳しいこと言うね。まあ同感だけど」

「俺はルールを破るような奴は許せない。他人に迷惑をかけるなんて言語道断。そんなの魔王と同類だ。俺がまとめて倒してやりたい」

「お、おお。魔王と同類」

「八木沼さん、あんままともに取り合うな。正義感が強いのはいいことだけど、四月一日はいろいろ拗らせてるから」




 ほーら四月一日、あっちに空き缶が落ちてるぞー。なんて言いながら、五十嵐くんは四月一日くんの意識をそちらに向ける。さすが、扱いに慣れてらっしゃる。しかし四月一日くん、めっちゃ勢いよくゴミを拾っていくな。もう袋がいっぱいになりそうだ。四月一日くん、ゴミを捨てるという行為が本当に憎いんだね。というかゴミありすぎだな。皆ポイ捨てしすぎだわ。


 五十嵐くんの言う通りいろいろ拗らせてるのはまああれなんだけど、ああやって悪は悪だとはっきり断じることができる四月一日くんはちょっといいなと思った。






 隣の席の四月一日くんはどうやらルール違反が許せない性分らしい。

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