第29話 フルールは激怒した。
拝啓、前世の両親へ。自分は悪くない。こんな事を容認している社会が悪いのだ。偶に事件を起こした犯罪者が言ってる事があります。私は部分的にその主張は合ってると思います。
人間は社会に順応して生きていきます。故に気づかないのです、その社会が歪な程歪んでいる事に。変えようとしても、変えられない事に。
敬具
フルール・ヤマト・ジャポニカ
「おいコ゛ラぁぁ!!風穴開けるぞコンニャロー!!」
フルールは激怒した。必ず、この無知蒙昧の者を除かなければならぬと決意した。
何故、この様な事になってるかと言うと少し時間を巻き戻す。
「良いですか?女体盛りの素晴らしさは、芸術+エロスです。これだけは譲れませんよ。そもそも、自分は女体盛りはうつ伏せスタイルが一番王道だと思ってます。あの姿勢は色々ヤバァイです。何故かって言うと。うつ伏せの状態は胸が押しつぶされています。その状態を横から見るも上か見るのも至高です。仮に胸が無くても、小さいのが少し潰れるにも侘び寂びがあります。うつ伏せ状態は背中に載せますから、体の曲線美と盛り付けの美しさ両方を楽しむことができます。また、上からの景色と横からの景色が全く違って見えるんですよ。要するに守備範囲が、広くなるんですよ。つまり、万人受けしやすい。これこそが至高だと私は思います。」
「成程、素晴らしい意見だ同志フルールよ。しかし、仰向けの方が良いのではないのか?料理を取るときにお腹や胸の感触まで楽しめるのではないのだろうか?」
「確かに、仰向けも素晴らしいと思う。しかし、女体の胸の大きさがある一定ラインを
超えると。胸の上に盛り付けが出来なくなる。つまり、その感触楽しめない。……いや、胸だけ盛ってないのも却ってありかもしれない。お嬢はどう思いますか?」
「えぇ…(困惑)私?うーん。全部素晴らしいってことで良いと思うよ」
「そうですね、それが最適解ですね。」
「あの〜ここ舞踏会の会場なんですが…」
ハッ、そうだったリリー王女の言葉でここがどこだかすっかり忘れていたよ。と言うかまだ王女ここに居たんだ。かなりマニアックなのに。
「おっと、そうでした。失礼。話が盛り上がりすぎてしまったな。ハッハッハ」
「そうですな、ハッハッハ」
「もう、おうち帰りたいよぉ」
なんかおっさんみたいな返しになってしまった。
「失礼ですが、リリー王女とその取り巻きでございましょうか?自分はヨメナインジャー伯爵家嫡男のクゥキィ・ヨメナインジャーです。以後お見知りおきを。」
楽しい楽しい歓談中にムシが入ってきた。 そのムシはオーソドックススタイルの金髪で………兎に角、金髪ヤローだ。別にキャラ考えるのめんどかっただけではないですからね、ええ。どうせ今回限りだからとか思ってないですよ。
「ふーん、取り巻き…ですか。」
お嬢、その悪い笑顔やめて。堕ちちゃうからぁ!
「王女、先日我が家のサロンを新しくしまして、是非ご招待したいのですが、宜しいでしょうか?」
お、王女にナンパだと!?コイツどんだけ肝座ってるんだよ。
「いえ、私が行くと色々面倒な事になりそうなので、ご遠慮させて貰います」
笑顔なだけど目が笑ってないよ、王女…
「面倒な事ってなんですか?」
クゥキィは何のことか分からないかの様に、首を傾げた。
うわー、コイツバカじゃん。ただのバカだ。言葉の真意を見抜けないなんて…ちょっと取り巻き発言はムカついたから、攻撃しますか。
「王女の言ったことを要約すると、『自分より身分の下の奴が誘うんじゃねーの、コノヤロー』ですよ。少し考えれば分かる筈だと思うのですが……どうやらオツム足りない様ですね。
お嬢行きましょ。折角歓談してたのに、コイツの所為でシラけました。」
最初は驚いた表情をしていたクゥキィだが、馬鹿にされてる事に気づいたのか、怒りでわなわなと手が震えていた。
「僕は伯爵家の人間だぞ!!君の発言は失礼だぞ!!どこの家の者だ!!」
「ワー、ハクシャクケデスカ。スゴイデスネ。(棒)
これで良いかしら?そう言えば自己紹介がまだでしたね。私はフルール・ヤマト・ジャポニカ。ジャポニカ帝国の第一皇女です。どうぞお見知りおきを。こちらの銀髪の女性は私のご主人様のブラン=ガブリエル伯爵令嬢。そして、隣の金髪の人はダーリア・オルセイン侯爵令嬢ですよ。
正直たかが普通の伯爵家の分際で調子に乗るなよ、小僧。」
「ハンッ、貴女が女狂いのフルール殿でしたか。同性愛の何が良いのか僕には理解に苦しみますが、そんな非生産性の塊みたいな事やめた方が良いですよ。ハッハッハ。」
カッチーン。今の私の状態を表すのには、この言葉が最適であろう。非生産性?そんな事知ったことか!!同性愛が非生産性のの塊だと言うならば、その世界がおかしい!!
「同志ダーリアよ、コイツァ…いっぺん〆といた方が良い気がするのだが、如何ですか?」
「同志フルールよ、潰せ。」
「了解。おいコ゛ラぁぁ!!風穴開けるぞコンニャロー!!」
「ヒッ、属国の姫の分際で、な、生意気なんだよ!!」
「ああ?戦力差分かってんのか?命乞いする立場はどっちだ?命乞いしたら楽にブチ抜いたるよ。プライドだけは一丁前なクゥキィ君。それと帝国は属国ではないんだけど」
「はーい、フルール、ストップストップ。私の前でそんなことして欲しくないのだけど…それにこんなに馬鹿でもうちの国の貴族だからね。フルール……殺さない程度に半殺しにしてきて。まさか自分より下の家に取り巻きなんて言われるとは思わなかったわ♪
確かに私の伯爵家だけど私達旧家7家は爵位の一個上の地位に居る相手です。舐められないためにもしっかりやってきてね。」
おお、お嬢怒ってるね。お嬢はガブリエル伯爵家対して人一倍誇りを持ってるから、一応メイドの私が舐められてるのが気に入らないのかな。
クゥキィはもう子犬みたいにブルブル震えてるよ。
ふと思い出したかの様にリリー王女は話し始めた。
「
いい性格してますね、本当に。
「よし、お嬢の許可もあるしちょっと会場裏まで行ってきますね、ほらさっさとついて来い。」
その夜、一人の貴族が顔面ボコボコの状態で発見された。その親が事件に怒り、犯人捜査を始めた。しかし、最後にいたと言う舞踏会の会場に居た全員が有益な情報を持ってなかった。
事件の真相は闇に消えたのである。
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まじでお願い。ほんとマジでモチベってヤベェからな。
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