第28話 お姉ちゃんに任せなさーい!





 拝啓、前世の両親へ。学生の頃、何故ソ連では同志諸君など、『同志』という言葉が使われているのが不思議に思っていました。普通に国民とか連邦人みたいな呼び方ではダメなのか?そう思ってました。

 しかし、今は違います。同志ほうがカッコよくない?なので私は翻訳の人、実は厨二拗らせ説を提唱したいと思います。絶対違うと思いますが、言うだけはタダなので。




              敬具

              フルール・ヤマト・ジャポニカ





 「失礼ですが、フルール・ヤマト・ジャポニカ様でしょうか?」


 

 なんだぁ?人が楽しくお喋りしてる間に話しかけてくるなんて。とんだ無礼者ですね。本物の皇女だったら、首飛んでますよ


 

 「ええ、そうですが…失礼ながら。私は貴女の事を存じておりませんが…どなたなのでしょうか」

 容姿は、身長の高いイケメン美女だ。ぶっちゃけストライクゾーンに入るレベルだ。髪は金髪、目の色は碧眼、この国オーソドックスタイプだ。


 「おっと、これは失礼しました。私は百合教大司教、布教担当、ダーリア・オルセインです。実家は侯爵家です。貴女には是非、我々の宗教に入信し、同志になって頂けると思い、布教しに来ました。」


 「ユリ教?なんですか、その胡散臭い名前。もうちょっとまともな名前なかったんですか?どうせ変な神の事祀ってんでしょう。」



 「私達の教義は、4つです。

 一つ、百合の場は神聖な空間、何人たりとも邪魔する事を禁ず。

 一つ、百合の間に入る男は全員敵!即刻粛清すべし。

 一つ、新たな百合カップルが誕生する場合、それを邪魔する障害を全て排除すべし。

 一つ、百合カップルは尊重されるべきであり、差別等の撤廃の為に尽力すべし。

 以上が我々の教義です。如何です?」



 なん…だと…この様な素晴らしい宗教があったなんて…

 


 「詳しい話を聞こうじゃないか」


 私は近くから椅子と机を持ってきてゲン◯ウポーズをした。やっぱ、人の話を聞くときはこのポーズでないとね。



 「我々の宗教は約200年の歴史があります。

開祖はかの有名な『ユリフスキート=ウリエル』様。生涯ただ一人の女性を愛し続け、百合の花を咲かせ続けた人です。

 亡くなる直前にこの宗教を創り、教皇として君臨しました。今では、ウリエル伯爵家の女性のみが教皇を名乗ることができます。

 私が貴女に勧誘しに来た理由としては、声を高らかにあげ、一人の女性を愛す事を誓う姿勢に感銘を受け、教皇に相談したところ、入信して頂ければ司祭の位を授けるとの事なので、連絡しに来た所存です。」




 「質問なんですけど、入信して何か仕事みたいなものはありますのでしょうか?」


 「百合を布教し続け、百合を守る為に尽力するのが我々の使命ですから。殆どお手を煩わせる様な事は無いと思われます。

 ただし、1年に一度方針会議みたいな物がありますので“極力”参加して頂ければ結構です。」



 「“極力”ですか。」


 「ええ、“極力”です。」


 ダーリアは『別に普通ですよ』感を出しながら言ってきた、まあ実際、会議に参加しなくても方針は殆ど変わらない様なものと考え付くしね。


 「分かりました。私は百合教に入信します。お嬢も一緒にどうですか?……え?なになに?ふんふん、あー、分かりました。お嬢も一緒に入信するみたいです。」


 「いや、一人茶番して勝手に決めないでくれる?」


 「またまたぁ、そんな照れちゃって。ほら一緒に入りましょうよ〜、ね?」


 「普通に嫌なんだけど。」


 ふぅ、中々頑固ですね。まあここは必殺技を使えば簡単です。直ぐに入信したくなるでしょう



 「そういえばお嬢、この間屋敷を掃除してたら廊下にある手帳が落ちてたんですよ。その手帳は赤い表紙で『ビクゥ!!』『お、お嬢。驚きでビクついてるぞ。掛かったな』中にはその人の予定とポエ「分かりました入ります!!入りますから!!」



 お嬢、ゲットだぜ!!



 「色々楽しそうですね。ちょっと羨ましいです。主従関係でそこまで仲が良いなんて。」



 あ、今まで空気になってた王女だ。チッスチッス。

 それにしてもリリー王女の微笑み…なんか引っ掛かるな。羨望が混ざってるから違和感を覚えるのかな?



 「リリー王女は仲の良い従者は居ないのですか?……いや、王族だから打算ありきの従者しか居ないって感じですか?」


 リリー王女は息をハッと飲み、納得した様な顔をした。まるで見透かされた様に。



 「ええ、正解です。王族に取り入る人なんて殆ど信用できないですから。一番信用できるタイプの人間は、王族に興味が無い人ですね」


 彼女の顔はもはや諦めに近かった。


 「大変でしたね。私はあんまりそういうのとはご無縁でしたから辛さまでは分からないですが、妹からよく相談を受けてたので力になりますよ」



 「持つべきものは同じ境遇の友ですね。ありがとうございます。色々頼らせていただきますね。」



 「ふふん、お姉ちゃんに任せなさーい!」



 「え?」



 「え?」



 あれ、なんかおかしいこと言ったかな?




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