第4章 「おまえは莫迦だ」と彼女は言った。-前編-
彼女の独白
信じることが、怖かった。
心を預けてしまうほど、裏切りの刃は鋭くなる。
嘘は傷。一生消えない瑕疵となる。
あなたの嘘に気付いたら、二度と元には戻れない。
だから、たぶん――
わたしが恐れ、避けたのは、あなたを疑うことだった。
望まなければ、手に入らない。
そんなことは、わかっていたのに。
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