第636話 『ご都合主義』なドラマと丁寧に制作されているドラマって全然違うよねと思っている話。(2023年5月14日現在)

『ご都合主義』なドラマと丁寧に制作されているドラマって全然違うよねと思っている話。(2023年5月14日現在)


『ご都合主義』なドラマは吸血鬼のドラマで、丁寧に制作されているドラマは朝ドラ『らんまん』です。


吸血鬼のドラマ、録画で現状の最新話を見たんですけど、一話に二回も『家の鍵をかけていない家』に『家主じゃない登場人物』が『家主の許可を得ずに勝手に入り』ストーリーが進むということがあったんですよ!!

ありえないでしょ……。無断で他人の家のドアを開ける前に、メッセージ送ったり通話を試みたりするよね……。


では、ここで丁寧に制作されているドラマの朝ドラ『らんまん』の展開をご覧ください。


・男主人公とその付き人は、村中みんな知り合いで、男主人公は老舗の豪商、造り酒屋の『若様』なので、村の中に荷物を放置しても誰にも盗まれることもない環境で育った。


・男主人公とその付き人は村から東京に上京。土佐の私塾で男主人公と一緒に学び、私塾廃止と共に、亡き父親に代わって家族を養うために東京で書生をしていた幼なじみと再会。幼なじみの親戚の家に下宿させてもらう予定だったが、男主人公の荷物(植物の研究標本や顕微鏡、書物等)があまりにも多すぎて、荷物を減らさなければ受け入れられないと言われ、別の下宿先を探すことに。

その際、幼なじみから「東京は村とは違うから、用心するように」と忠告される。


・下宿はたくさんあるからと幼なじみに言われていたが、男主人公の荷物があまりに多いので、下宿を断られ続けて、荷物を積んだ荷車を押す男主人公と付き人。

腹ごしらえをするために、以前入っておいしかった高級な肉を食べられるお店に入る。

荷車を店の倉庫で預かってもらう時に「このトランクは高価な物が入っている」という男主人公の言葉がごろつきの耳に入る。


・食事後、神社を通りかかったので、良い下宿先が見つかるように、この土地の神様に挨拶をしようと男主人公と付き人が荷物を積んだ荷車を置いて神社に向かう。(男主人公は地元で、子どもの頃から神社に通っていた。そして天狗を名乗る坂本龍馬にも会ったことがある。男主人公は坂本龍馬を天狗と信じていて、村を出る時にも神社に行って、天狗に「天狗、行ってくる!!」と挨拶をした)


そこで、食事をした店から着けていたごろつきが男主人公のトランクを盗んで逃走。


ここで、ご都合主義なドラマだったら、盗人のごろつきが一瞬後に見つかるのですが、丁寧に制作されているドラマの朝ドラ『らんまん』は違います。


男主人公と付き人が、トランクが無いことに気づく。そして記憶を辿り、食事をした店の倉庫の側にいたごろつきが盗んだと推理して、盗人のごろつき探し回るが見つからず。

その後「トランクを質屋に売りに来るかもしれない」とひらめいて、質屋に行く。

質屋で「トランクを売りに来た人はいないか」と尋ねるが「来ていない」と言われる。

がっかりして質屋を出た男主人公と付き人とトランクを持った女性が鉢合わせ、男主人公と付き人は、女性が持っているそのトランクは盗まれた物だと主張。トランクの内側に男主人公の名前のイニシャルが入っていると主張して、その通りだったのでトランクは男主人公の物だとわかる。

女性は捨て台詞を残して去る。トランクを開けると中に入っていた『植物標本』がなくなっていて、男主人公と付き人は女性の身元を質屋から聞き、後を追う。


・女性を追った先は、ドクダミが生い茂る貧乏長屋。『草長屋』と呼ばれている。

男主人公と付き人が『草長屋』にたどり着くと、盗人のごろつきが『植物標本』を火にくべようとしているところに遭遇。


・男主人公は盗人のごろつきから『植物標本』を買い取ると約束する。その後、盗人のごろつきの妻(トランクを売りに来た女性)が「子どもの熱が下がらない」と言いに来る。子どもを医者に見せるためのお金がほしくて、トランクを盗んだのだ。


・自分も幼い頃に病気がちで熱を出していた男主人公は、病気の子どもに、手持ちの熱さまし薬を提供。その後、男主人公と付き人は長屋の住人の部屋に泊めてもらう。

翌日、長屋の差配(大家)が帰ってきて『草長屋』の部屋が空いていると知った男主人公は「ここに住む」と言い出し、住居決定。


以上です。朝ドラ『らんまん』の描写、丁寧ですよね……!!

吸血鬼のドラマは、同性カップルの描き方も雑なので印象が悪いです。でも役者さんの演技は上手。


ドラマ『グランマの憂鬱』もご都合主義全開ですけど、でも、拙いながらも丁寧に描こうという気持ちが見えるので私は好き。

私が気になったドラマ『グランマの憂鬱』のご都合主義は……。


・一回、山で遭難したことがある小学校低学年の女子キャラが、一人で山菜取りに行こうと山に向かう。理由は、山菜を食べたことが無いと言う、村に滞在中の俳優の男性に食べさせてあげるため。


・山に向かう小学校低学年の女子キャラと、村に滞在中の俳優の男性を熱烈に推している村の中年女性がすれ違う。「どこ行くの?」「山に行くの」という会話が交わされる。

本来ならそこで「子どもがひとりで山に行くのは危ない」とか「おばちゃん、一緒に行ってあげようか?」という言葉が必要だと思うんだけど、村の中年女性は「気をつけてな」とそのままスルー。


・小学校低学年の女子キャラが夕方になっても家に帰ってこないと母親が騒ぎ出す。村人たちが小学校低学年の女子キャラを探すが見つからない。その騒ぎを聞きつけた村に滞在中の俳優の男性を熱烈に推している村の中年女性が「なぜか、村人に知らせず」一人で山に、女子キャラを探しに向かう。


・女子キャラと中年女性キャラが無事に合流。でも中年女性キャラが足を怪我してしまう。なんで他の村人に知らせずに一人で来たのよ……。

中年女性キャラの夫が「妻が帰ってこない」と騒ぎ出す。村に滞在中の俳優の男性キャラが、小学校低学年の女子キャラと山菜の会話をしたことを思い出し「一人で山に向かう」んですけど、ねえ、誰かに知らせて一緒に行こうよ……。


村に滞在歴が短い、都会の人な俳優の男性キャラが、迷うことなく遭難中の二人を見つける。そして、以前「救急隊員の役をやっていたから」という理由で見事な応急処置をして、中年女性キャラを背負って下山。


ご都合主義の大渋滞ですけど、中年女性が本当に一途に俳優キャラを推していたので「一生の思い出になってよかったね」と思いました。


あと、同性カップル(男性同士)の一人が心筋梗塞で村の中で倒れたんですけど、村の中に病院全然無さそうなのに「早期に治療できてよかった」っていうのがご都合主義だと思いました。助かってよかったからいいけど……。

救急車を呼んでも、村まで来てもらうの時間かかりそうなのになあ。そういうところが、きちんと制作されている医療ドラマとは違うなあと思います。

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