第6話 いつもの場所

いつもの公園のベンチに早苗さんが腰を掛けていた。

早苗さんの姿はどこか悲しそうだった。

早苗さんはさっき、僕のことを好きだと言っていた。

なのに僕は、友達としてしか見ていないような発言をしたせいで

きっと彼女の気持ちを裏切ってしまったのだろう。

とても、話しかけずらかった。もし、自分が好きな女性から

「友達としてしか見てない」と言われたら、きっと立ち直れないほど

ショックを受けるはずだ。何だか急に申し訳ない気持ちになってしまった。

僕は、まだ彼女のことは好きじゃない。自分に正直に生きたい。

好きな人にしか好きって言わないというプライドがカッコイイと思っていた。

けれど、ただ自分を守りたい傷つきたくないだけでダサいものだと気づけた。

これは、早苗さんのおかげだ。ちゃんと話さないといけない。

僕は心に決めてベンチへ向かった。

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