第94話

名前:飯村一也


職業:弓使い【玄人】(次回進化まで残り190)


年齢:28


レベル:310


HP:600/600


魔力総量:354


攻撃力:1150


魔法攻撃力:288


防御力:580


魔法防御力:580


会心威力:56000%


スキル:必中会心、変換吸収の矢、魔力矢、魔力弓、回復弓、転移弓、時空弓、属性弓【火、水、雷、風】、ダメージ軽減【統合版】、弓のコツ


■属性弓によって矢が各属性エンチャントされた場合に発動可能なスキル


火:イグニッションアロー


水:バブルクリーニング


雷:パラライズディレイ


風:シルフィードブレス


ステータスポイント:0




「今までの味気ないスキル欄が嘘みたいなことに……」


「? 失礼かもだけどちょっと私にも見せてもらってもいい?」


「その、私も……」


 ステータスを見た後の俺の表情から朱音とクロはこのステータスに興味を惹かれたらしく、俺が軽く頷いて見せると食い気味にステータスを覗き込んできた。


「なによ、これ……。これが本当に弓使いのステータス画面なの? まさか四種類も属性スキルを扱えるなんて……」


「……。そう。本来私の知っている弓使いのスキル画面はこれ。あれ? なんで今の今まで【属性弓】と【魔弓】が別々になっているのが普通だと思い込んでたんだろ?」


 驚いて見せる朱音と対照的に疑問符を浮かべるクロ。


 そういえばアナウンスで副作用がどうのこうのと言っていたはず……。


 もしかするとその副作用というのは弓使いという職業本来の力を発揮できなくなり、さらにはそのことがなかったものとして認識されてしまう、といった内容だったのかもしれない。


 スキルの副作用っていうのは時としてその概念や他の人々にまで影響を与えてしまうものなんだな。


「これで俺もホブゴブリンと戦える、よな?」


「エンチャントされた武器による攻撃は物理攻撃力と魔法攻撃力の両方が適用されて、どっちも会心威力は適用されるから十分に戦えるはず。そもそも実際の『ノスタルジアの木』と比べると加工済みの防具は属性の耐性が著しく低くて、ホブゴブリン自身に掛かるバフ効果での耐性の方が明らかに面倒で……。とにかくどちらに対しても対策ができる飯村君なら私達の出会ったホブゴブリンくらい簡単に倒せると思うわ」


「もしそれでも相手や防具がタフでも私のバフはどちらにも掛かるから、いざという時は……」


 クロが俺の手に自分の手を重ねた。


 トロルやサキュバスの時にも活躍してくれたクロのバフは本当に心強い。


「そ、それじゃあ飯村君、病み上がりで悪いけど早速準備してダンジョンに向かってもいいかしら?」


「ああ。って朱音も一緒に行くのか? 最終階層到達まで魔力の温存とか――」


「なんだかんだ四五階層までは攻略済みで、そこまでの各階層はうちのギルドメンバーでホブゴブリンの湧き潰しもできてる。それに今回は飯村君もいるし、いざという時まで私に魔力を使わせないはずよね?」


「……善処する」


「ふふ、お願いね。それじゃあクロちゃん、飯村君は着替えるみたいだから私達は外でお茶でも飲みながら待っていよう」


「え、でも――」


「そうだ! 探索者ビルの中でしか買えない美味しいデザートも一緒に買って、英気を養ってからダンジョンに挑みましょう! 飯村君、そういうことだからダンジョン出発は一時間後ね! あっ! それと準備っていうのは着替えだけじゃなくて軽くストレッチとかして体をほぐしたりすることも込みだからね」


「分かってるさ」


「か、一也さん。あまり無茶しないように……。あの、一也さんのデザートも買ってくるからね」


「それじゃあ行こうかクロちゃん」


 そうして朱音はクロの手を強引に引っ張って俺から引き離すと、そのままクロと一緒に意気揚々と部屋を出ていったのだった。

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