第17節 出撃

歌川視点



「デロルがクレアくんに私達が部族ってことを教えて、クレアくんに学校を燃やすよう仕向けたって、感じなんだ。ほんっと腹立つ」


 アミがクレアくんに聞いたことを、代わりに答えてあげる。

 アミは立ち上がり、スカートについた汚れを払いだした。


「うっし、今からうちがデロル潰しに行ってくるわ」

「やめたほうがいい」


 クレアくんは怯えた顔で、アミを止めた。


「なんで?」

「だって、魔法使えるから」

「ああ、確かにな。まぁどうにかなるべ」

「そんなどうにかなるようなことかな、やめといたほうがいいよ」


 私もクレアくんに続いて説得する。


「じゃあ、誰があいつのことらしめるんだよ。国で偉い人なんだろ? 軍人なんだろ? 誰も止められないじゃん」

「だからって、アミが行く必要はないよ。クレアくんがデロルに燃やせって脅されたって、言えば国が処罰を下してくれるよ」


 アミはかがんで私をジッと見始めた。


「うるせ、怪我人は寝てろ!」


 頭突きをしてきた。

 痛い! こいつ怪我人の頭を、しかもさっき頭怪我したしたのに。


「そんなことしたって、意味ねぇだろ。脅されたって証拠ないじゃん」


 アミはクレアくんに近づいて、かがみ話す。

「それじゃあ、歌川のこと頼んだぞ」

 アミとクレアくんは拳と拳をぶつけあった。


「アミ!」

 私は大声で呼ぶ。

「お前が止めてもうちは行くよ」

「違う! デロルがいる場所わかんの?」


 アミは足を止めて、振り返る。

「ワカリマセン」

「わかんないのに行動しない! クレアくんわかる?」

「わからない」

 誰もわからないんじゃ、どうしようもない。まだ村にいるかもしれないし、どこかで身を潜めているかもしれない。


「ニャー」

 さっきまで静かだったミケ猫が鳴いた。

「まだいたのか」


 ミケ猫は動き始めた。私達をクレアくんのところまで誘導しれくれたときみたいにどこかへ歩き始めた。

「もしかして、デロルの場所わかんのか! まぁまぁやるわ!」

 アミは走ってミケ猫の後を追う。


「気をつけてね」、と最後に声をかけアミは手をあげて応える。

 まだ動けないから、アミの安全を祈り、如月達のことが心配になった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る