第15節 事実
歌川視点
「あ、起きた」
目を開くとアミが私の顔をじっと見ていた
「えっと、今いたたたたた」
頭がズキズキと痛み、思ってないことが口に出た。
「起きない方がいいぜ」アミに体を横に
「ありがと、私どれくらい寝てた?」
「いうて、5分くらい」
「あれ、クレアくんは!?」
私が倒れたことにショックを受けて、どこかに行ってしまったのでは、と思い周囲を見る。
「ああ、クレアはそこでしょぼくれてる。声かけてやんな」
アミが親指で指さした方を見ると、体育座りで地面とにらめっこしているクレアくんがいた。
「おはよう。クレアくん」
おはよう、はおかしいか、と笑う。
私は顔をクレアくんがいる方向に、向けてこの場から話しかける。
「…ごめんなさい」
私の顔を見るなり泣き出しそうになっていた。
「大丈夫だよー。寝てればどうにかなるし、クレアくんが手加減して投げてくれたおかげだよ」
投げるスピードはそんな早くなかったし、私が急に投げられて避ける遅かったから、当たっただけだ。
「ほんとに大丈夫なのかよ」アミが私の顔を心配そうにのぞきこむ。
「大丈夫、大丈夫」
力こぶしを作り元気なアピールをする。
「それより、クレアくんさ私達が部族の人って聞いたって言ってたけど、その人は誰なの?」
クレアくんと話しているときにずっと気になっていたことがあった。それがまずこれだ。
「デロルっていう王国から来た人」
「デロルってあの女装してたイケメンか」
アミは大きな声で理解したみたいに言う。
「そうそう。あいつよくもこんなことを…」
私の予想通りあいつはいい奴ではなかった。
「トーテムもデロルからもらったの?」
次に誰からトーテムをもらったか気になっていた。トーテムは誰でも使えるけど、使い方がわからないのに使えるはずがないからだ。
「うん」クレアくんはうなずく。
「学校を燃やすよう指示されたんだな」
アミがデロルに対してあからさまに怒っている様子だった。
私もデロルに対して
こんな小さい子に危ないことをさせようとするなんて最低だ。
「…それは違う。僕が学校を燃やそうと思って燃やした」
これには、私は驚いた。
アミも驚いた表情をしている。
「なんでそんなことしたんだよ」
「…それは」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます