第一章 ただいま、銭湯中につき その12 秋水編

「おまちどうさまでした。『ハムとチーズのサンドイッチ』と『デミグラスハンバーグのホットサンド』、パインソーダにウーロン茶です」

 会話の途中で早朝バイトの女の子が店のエプロンを着て秋水たちのテーブルにやって来た。

 二人は会話を止めて、まずは、食事に集中した。

 ここのホットサンドイッチは他の料理の端材を使って専用の道具で焼いているので、ほかのレンチンとは違い、パンの表面はサクサクして美味い。

 飲み物付きで四百円から最高八百円というのはコストパフォーマンスも高い。

 ハンバーグも煮込みだが、ちゃんと焼いてから煮込んでいるので型崩れが酷くない。

「……それで、何を鑑識させたいんです?」

 食べ終えた秋水が手についたデミグラスソースを舌で舐めながら聞いた。

「少し前に空港で銃乱射事件があったのは知っている?」

 日々、シュールなニュースなどの溢れる情報と裏社会の揉め事なので記憶の奥に入れているニュースを秋水は頭の中で引っ搔き回した。

「確か、世界的に人気のある外国人歌手が日本でライブをするために来たんですよね」

「うん」

 まだ、食べている猪口はサンドイッチを頬張ったまま頷いた。

 少しリスみたいでかわいい。

「詳しく報道されているけど、彼はキリスト教原理主義者の軍事愛好家だったそうだ」

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