第10話 魔王様がんばる



 我は魔王イリスティラじゃ!


 我はついに、念願のお嫁さんになったのじゃ!


 ちと魔王城は狭いが、仕方無いのじゃ。


 しかし、昨日は危なかったのじゃ……我の旦那様には、妾の現地妻が1人いるのじゃ!


 妾のくせに、正妻の我を差し置いて、旦那様の貞操を奪いに来たのじゃ!


 我はこんな体故、何も出来んと思ったか?甘いぞ小娘が!


 我は旦那様の下半身にしがみ付き!必死に旦那様の貞操を守って見せたのじゃ!


 もちろん、大きく成長した物も我の小さな手で守り抜いたのじゃ。


 待っておれよ旦那様!以前の体を取り戻したら、我ががんばるのじゃ!



◇◇



 次の日、我の旦那様のレモンと妾のカリンは、大学とやらに出かけていった。

 どうやら、あの2人はまだ学生のようじゃ。


 ならば……やはり、我が働いてレモンを養うしか無いのじゃ!


 という訳で、我は今日はバイトなのじゃ。


「魔王様!今日は、お一人で来られたのですね?」


「うむ……そうじゃ」


 此奴は、名前は忘れたのじゃが、この店の店長じゃ!


「それでは、魔王様お召替えを」


「うむ」


 名前は……店長は、我には良くしてくれるいい奴じゃ。


 今日も、我のために魔王のコスプレを着せてくれたのじゃ。分かっておるではないか?


「良いです!魔王様可愛いです!」


 さぁ!レモンのために、今日も働くのじゃ!


 我が店に出ると、早速呼ばれたのじゃ。


「あ、店員さん!注文いいですか?」


「あの……店員さん?」


「我は、店員と言う名前では……無いのじゃ。魔王様と呼ぶとよい」


「え!?あぁ……そう言うお店なんですね?可愛い魔王様♡」


「うむ、注文をするのじゃ」


「えっと、ストロベリーパフェをひとつと、ミルクティーを下さい」


 パフェは、良いものじゃ……じゅる。


「うむ……ストロパフェに、ミルクじゃな?」


「ミルクティーだよ?偉いよね?頑張ってね?可愛い魔王様♡」


「そうか?ふふん、待っておれ」


 この女は分かっておるではないか?

 我はカウンターに戻って、客の注文を伝えたのじゃ。ストロパフェにミルク……ティじゃな?


「魔王様……素敵です!」


「ふふん!当然じゃ」


 我は、ストロパフェを味見してみたのじゃ。うむ、美味しいのじゃ。


「お代わりじゃ」


「えっと、魔王様?お口に合いましたか?」


「まぁまぁ……じゃな……」


「申し訳ございません!すぐに作り直します!」


「客の分と二つ作るのじゃ」


 うむ、客に出し忘れたのじゃ。先にミルクを出すのじゃ。


「お待たせしたのじゃ。ほれ、ミルクじゃぞ?」


 ふふふ、驚いておるな?我もこの程度の事は出来るのじゃ。


「あのぉ……ティーはどこに?」


 ん?ティじゃと?そういえばミルクの後にてぃと言っておったか?


「待っておれ、すぐにてぃーを持ってくるのじゃ」


 我としたことが、てぃーを忘れるとは……。さて、てぃーとは何なのだ?


「店長よ、てぃーを所望する」


「てぃー?紅茶ですね?待ってて下さい!」


「……うむ」


 店長がてぃーを入れてくれたのじゃ。味見したら苦いのじゃ……これは要らないのじゃ。


 我は店長が用意した、てぃーを客に持って行ったのじゃ。


「お待たせなのじゃ……苦いから、この砂糖を入れる事をお勧めするのじゃ」


「どうもありがとう?可愛い魔王様♡」


 ふふん!もっと我を褒めるのじゃ!


 今日のバイトは、気分が良いのじゃ。じゃが、もうお腹がいっぱいじゃ。


 暫く味見は控えるとしよう。



◇◇



 暇じゃ……このバイトは時間帯によっては暇になるのじゃ。そういう時は、店の外に出て掃除をしながら勧誘をするのじゃ。


 我が外を掃いていると……我と同じくらいの背格好の少女に話しかけられたのじゃ。


「可愛い!何このコスチューム?角が生えてるよ?」


「我は、魔王イリスティラじゃ!」


「可愛いね?魔王様?イリス?ティラミス?」


「魔王様でよい」


「魔王様?わたしは、あいな!まほうあいなだよ?」


 うむ、「まほうあいな」と申す女の子は、茶髪に右耳のあたりに小さな花の髪飾りを付けておった。


「あいな……か?」


 あいなは、背中に大きな赤い鞄を背負っていて黄色い帽子を被っておった。

 我から見ても可愛い少女じゃ。


「そうだよ?魔王様は何をしているの?」


「ふふん!見ての通りバイトじゃ!今は店の周りの掃除をしておるのじゃ!」


「すごぉい!偉いなぁ!魔王様は働いてるのね?」


「そうじゃ、入ってみるか?」


「えええ?いいの?」


「もちろんじゃ!」


 我は、あいなを連れて店に戻ったのじゃ。暇だったのであいなを座らせて、飲み物とプリンを出してやったのじゃ。これは良い物じゃ。


「おいしい!本当に食べていいの?」


「もちろんじゃ!このプリンは甘くて美味しいのじゃ」


 それから、あいなとは、色々な話をしたのじゃ。あいなの学校での話、先生に怒られた話。友達がなかなか出来ない話、男子が虐めてくる話とかじゃ。


「それならば、我があいなの友達になってやろう!」


「本当!?嬉しい!魔王様ありがとう!」


「いじめられたら、我に相談すると良い」


 こうして我には、あいなという新しい友達が出来たのじゃ。 








読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。

レビュー☆☆☆にコメント、応援♡を頂けたらとても嬉しいです。


こちらは暇な時にゆっくり投稿予定です。 まったり進みます。


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