第9話 祝・普通二輪免許取得!
日曜日の朝の6:00
今日は取得時講習の為に予約をした教習所まで行くことになっている。
朝飯を食パンで済ませ、京香が迎えに来るまでに準備をする彩葉。
準備を済ませて家の戸締まりをして、玄関先で待っていると京香のBMWが入ってきた。
「おはよう!遅くなってしまって申し訳ないわね、さぁ乗って!」
彩葉は京香の車の助手席に乗ると、そのまま水戸にある教習所に向かって走り出した。
京香が忘れ物はない?と聞くので、彩葉は「大丈夫です」と答える。
彩葉が一発合格したことには、洸平と京香も喜ぶと同時に最初はかなり驚いていた。
これもバイクのセンスがあった亡き父・啓司の血を引いているからだろう。
教習所までは1時間程で着いた。
比較的道路は空いてたので渋滞にハマることはなかった。
「終わったら連絡してね」
そう言うと、京香は水戸の街中へと走っていった。
取得時講習の内容は運転に係る危険の予測、2人乗りに関する知識、その他安全な運転に必要な知識と技術を学ぶ内容だ。
バイクの二人乗りは、免許取得日から1年を経過してないと違反となる。
高速道路の2人乗りに関しては免許取得日から通算3年以上かつ20歳以上でないと駄目なので、16歳の彩葉にはどちらにしてもまだ無理だ。
教習所のコース内で二人乗りに関することを教官とタンデムしながら講習をやるのだが、コロナのご時世なので二人乗りに関するビデオ鑑賞と教官の口頭による説明でバイクの危険に関する内容は一通り終わった。
免許の取得には応急救護講習も受けなければならないのだが、これは運転者が事故を起こした際の心肺蘇生や怪我人の応急処置などを救急車が到着するまでの間に行う義務になっているからだ。
彩葉は二人一組になり人形を使ってAEDの使い方を学んだり、救護に関するビデオを観たりして3時間の講習を終えた。
全ての課程を終了した彩葉は、いよいよ免許の交付となる。
教習所に通っていたわけではないので最短で合格したのは間違いないだろう。
高校入学してからまだ数週間しか経っておらず、持ち前のセンスの良さで短期間で技量を身に付けて1発試験で1発合格を果たすというのは誰にでもできることではない。
練習ができる環境と指導員をしている知り合いがいたから実現できたことだろう。
免許取得にかかった費用は取得時講習を含めた25000円程で教習所に通っていたら200000円くらいかかるのでかなりの格安取得だ。
京香に免許センターまで送迎してもらった彩葉は、窓口で講習の修了証を提示して交付の受付を済ませる。
写真撮影の時にちゃんと撮れているか不安になったが、それは免許証がきてからのお楽しみ。
免許の発行をしてる間にいろいろな話を聞かされるのが少々面倒だが取得時講習に比べたらマシだろう。
しばらくすると新しい免許証を持った担当者が来て免許証を渡される。
彩葉は京香に終わったことをLINEすると、「もう駐車場いるよ」とすぐ返信がきた。
京香が免許センターの入口付近で待っていると、まだ新しい免許証を握りしめた彩葉が笑顔できた。
「お疲れ様!本当によく頑張ったわね!おめでとう!」
京香がそう言うと、嬉しそうに彩葉は免許証を京香に見せた。
写真は比較的良く撮れていて、童顔で小柄なのでまるで子供のおもちゃの免許みたいだが紛れもなく本物の運転免許証だ。
有効期限の表示部分には黄緑色のラインが入っていて、初めて運転免許を取得したことを意味する。
条件欄は視力が悪いわけでもなく限定付き免許ではないので空欄で、免許区分には普通自動二輪を意味する「普自二」の文字が入っている。
これで彩葉もライダーの仲間入りだ。
京香は合格祝いにちょっとお高いレストランを予約していると言うので、彩葉は嬉しそうに京香の車の助手席に乗る。
これからは彩葉も公道を走る一員だ、事故に気をつけて運転しようと彩葉は思った。
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