第87話 ゲーム終了

「えっ、もう当てたの?」

 

 花咲は、先を越されたので少し焦っていた。


「頑張れ」


 オレは、花咲に小声で言うと花咲の顔は、真っ赤になった。


「なっ……」


「花咲、顔真っ赤だぞ」


 松原は、花咲を見て言う。


「き、気のせいよ!」


「いや、どうみても真っ赤だし。さて、一通り全員何か発言したがどうしようか……」


 松原は、そう言って全員の顔を見渡す。


「そう言えば……後藤田先生、このゲームには時間制限はありますか?」


 平坂は、後藤田先生に重要なことを尋ねた。


「30分……つまり13時30分までだ」


 現在の時刻は、13時17分。半分を切っていた。


「わかりました」 


 平坂は、後藤田先生に礼を言う。 


「残り13分か……じゃ、最後にみんなに質問な、答えなくても結構……みんなどうやら『話題』の内容が場所であるみたいだな。そこで聞く……その場所がオレ達の通う学校の近くにあるかないか……それを聞きたい」


 松原は、答えにたどり着きそうな質問をみんなに聞いた。

 この質問は、松原にとって予想を確定させる材料だった。


「ある」

 

 そう言ったのは、平坂だった。    


「そうか。ならオレと一緒だな」


 松原は、そう言って席から立ち上がり後藤田先生の元へと行った。

 どうやら松原は、わかったようだ。

 それに続いて平坂も行く。

 二人とも正解したようで、あとは、豊田と花咲だけだ。

 だが、時間は終わりへと向かって結果、二人はわからないまま終わった。


────────────


「はぁ~、話し合いとか疲れる。しかもあの空気、重くてしんどかった」


 第1会議室を出た瞬間、花咲は、呟いた。


「私も……」


 豊田も花咲と同じようなことを言う。


「あっ、翔太君!」


 花咲は、木之本を見つけるなり笑顔でかけていった。


「おっ、香奈。チームの人とはうまくいってるか?」


「う~ん。あんまり……やっぱり翔太君がいないと寂しいよ」


「そうか……あっ、大山。香奈と同じチームなんだな」


 木之本は、オレがいることに気付き、話しかけてきた。


「あぁ、そうだ」


「あと1日だが香奈のことよろしくな」


「あぁ、任された」


「ちょ、それじゃあ、私が1人じゃなにも出来ない人みたいじゃない!」


 花咲は、オレと木之本の話を聞いて怒ってきた。


「そう言う意味で言ったわけじゃないから」


 木之本は、そう言って彼女の怒りを沈めた。


「翔太君がそういうなら……」


「木之本、少し話があるんだが今いいか?」


 オレは、木之本に二人で話したいと伝えた。


「今か……夕食の時間でもいいか? 今からやることがあって話せないんだ」


「わかった。じゃあ、6時に食堂で待ってる」


「わかった。じゃあ、二人ともまたな」


 木之本は、オレと花咲に言って立ち去った。


「あんた翔太くんとなに話すの?」


「お前には関係ない話だ」


「なにそれ……すっごいムカつく。けどまぁ、いいや」


 結局何が言いたかったのかわからないまま花咲は、一人で外へ歩いていった。


夕食までまだ時間があるな……。


「あっ、大山君! 元気してる?」


 前から手を振ってきた濱野は、駆け寄ってきた。

 濱野と共に行動していた千佳は、濱野のようにオレには、近づかず近くで見守っていた。


「濱野は、いつも通り元気そうだな」


「うん、今さっき雨野さんと連絡先交換したの。今まで嫌われてたのかなって思ってたんだけど、雨野さんから交換しようって言われたんだっ」


 濱野は、そうやって喜んでいるのを見て雨野は、うっすら笑っていた。


「それは、よかったな」


「うんっ! 同じクラスだし、このまま仲良くなれないのかなって思ってたけど、これから仲良く出来たらいいな……」


 濱野がそう言っていると千佳が濱野に微笑みかける。


「まだ2年ありますし仲良くするのには、遅くありませんよ」


「雨野さん……そうだね。じゃあ、またね大山君」


 そう言って濱野は、去っていった。

 残された千佳は、オレを見てクスッと笑った。


「大山君、時期に面白いものを見られます。楽しみにしていてくださいね」


「それは、どういう───」


 聞こうとしたが千佳は、黙ってオレの前から去っていった。


 面白いもの……か。

 このタイミングで言ったということは、濱野が関係しそうだな。

 それに急に千佳が濱野と接触しだすようになったのが気になる。

 まぁ、好きにやらせておくか。



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