冬休み編
第67話 それぞれの過ごし方
12月24日、今日は、2学期終業式でありそして、クリスマスイブだ。外は、積もるほどでもないが雪が降っていた。オレにとって始めてみる光景だった。
「終業式後、チーム順位が発表会されるそうよ」
オレより少し遅めに登校してきた近藤は、オレに向かって言った。
「そうか、なら今後の方針も兼ねて、放課後はチームで集まるか?」
「えぇ、そうね。カフェにでも集まりましょ。大山君、グループチャットに書き込んでおいて」
なんでオレなんだよ……。
「わかった」
断るのも面倒なのですぐにスマホを出してグループチャットを開いた。
『今日の放課後、カフェに集合。(by近藤)』
よし、これでいいか。メールを送信し、隣で今度はすぐにそのメールを確認していた。
「あなた、最後のこれは何?」
近藤は、スマホの画面を見せてきた。
「いや、オレが言うのもおかしいなと思って」
「なに言ってるの? 別におかしくないわよ。あなたには、私のサポートという役割があるのだから」
そういえばそうだったな。
「1つぐらい順位が上がっていればいいな」
「話題を変えるのが唐突すぎて怖いわよ。まぁ、そうね、11位ぐらいが理想ね」
11位か……今のオレらの順位は、12位。いけないこともないだろう。
──────────
放課後、予定通りチーム全員がカフェに集まった。
「やりましまね。11位ですよ!」
山野が隣にいる椎名に嬉しさを共有する。
「うんうん。この調子でどんどん上位を目指すのも夢じゃないね」
椎名と山野がそうやって喜ぶ中、一人だけは、暗い表情でいた。
「北原、大丈夫か?」
オレは、一応気になったので聞いてみる。
「ん? 私なら大丈夫だよ。それよりすごいよね。私たちのチーム……」
そう言って北原は、笑顔で言う。おそらく本心では、ないだろうな。
「そう言えばさ、明日クリスマスじゃない?男子 2人は、デートとかしないの?」
椎名は、ニヤニヤしながらオレと江川に話を振ってくる。
「お、オレは……」
江川は、そう言って近藤のことをチラッと見た。江川は、近藤を誘いたいのか……。
「大山君は?」
当然椎名は、オレにも聞いてくる。
「まぁ、適当に過ごす……かな」
さすがにここで千佳と出掛けると言うわけには、いかないな。
「へぇ~。みゆは……あっ、ごめん」
椎名は、松原と別れたことを思い出し謝った。
「巴さん、謝らないでください。松原君とは、もともとお試しで付き合っていただけですから」
「ほんとっ、松原は、バカだね。こんな可愛いみゆを振るなんて。私なら絶対に振ったりしない」
椎名は、そう言って山野を抱きしめる。
「巴さん……」
山野は、松原をどう見ていたんだろうな。本当に好意を寄せていたのか?
「彩沙と美波は?」
椎名は、まだ聞いていない2人に尋ねる。
「私は、勉強よ」
近藤は、いつも通りに答える。
「え~彩沙ちゃん、せっかくの休みを勉強だけで終わらすの~?」
北原は、少し嫌みっぽく言う。
「私がどうしようと勝手でしょ」
「そうだね。なんかごめん。私は、友達とクリスマスパーティーだよ」
「へぇ~楽しそう」
「よかったら巴ちゃんとみゆちゃんも来る?一華ちゃんやうららちゃんも来るよ」
北原は、椎名と山野を誘う。
「えっ、行きたい! みゆも行こうよ」
「あっ、はい。行きたいです!」
「じゃ、私が2人のこと一華ちゃん達に話しておくね」
「ありがと。そう言えばさ、この前、大山君がこのメンバーで冬休み、どこか行こって話あったじゃん。どこ行く?」
椎名は、そう言ってスマホを出した。
「そんな話あったわね。私も話し合いに参加したいけれど今から待ち合わせの約束があるから。詳細が決まったら教えて」
近藤は、そう言ってカフェから立ち去った。待ち合わせ……か。
「遊園地なんてどうかな?」
北原は、提案した。
「おっいいねぇ~。みんなどう?」
椎名は、北原の提案に即賛成した。
「いいと思います!」
「オレもさんせー」
遊園地……聞いたことあるがどんな場所かわからないな。まぁ、ここは、頷いておくか。
「オレもいいと思う」
反応に遅れないようにオレも賛成の意思を示す。
「じゃあ、決まりだね。彩沙いないし、日時は、またグループチャットで決めよっ」
「オッケー」
この後、5人でクラスの話や友達の話をしてから解散となった。
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