第52話 生徒会主催のイベント

 気付けば、オレと松原は、3階のすべての店の前を通っていた。


「次は、2階に……」


 松原は、そう言って階段を降りようとしたとき校内放送がかかった。


『全校生徒の皆さん、2年新生徒会長の村上陽翔です。文化祭は楽しんでいますか? そんな皆さんに今から生徒会主催のイベントに強制的に参加してもらいます』


 校内放送を聞くため辺りはシーンと静まり返り村上の声が響き渡る。


『イベントの内容は、今から皆さんに送るメールに書かれていますのでしっかり確認してください。では、ゲームスタートです』


 校内放送が終わり、静まり返りっていた状態からざわつき出した。


 オレは、すぐにスマホを取り出し、学校からのメールを開いた。


  『生徒会主催の文化祭イベント』

~全校生徒の中から同じ番号の人を探し出す~

・ルール

①同じ番号を持つ人を探し出す。

②同じ番号の人と一緒に生徒会室へ来る。

③制限時間までに来たらチーム得点を100点もらうことが出来る。

(制限時間:本日の17時まで)

※あなたの番号は、以下の通り。



       『 58 』



「大山、何番だった?」


 松原は、オレに聞いてきた。


「58だ。松原は?」


「259だ。それにしても全校生徒となるとかなり見つけるのが大変だな」


「そうだな。知り合いが多い人ほど有利なイベントだ」


「なぁ、大山。協力しないか? オレは、自分の番号を探しつつお前の番号も探す。大山も自分の番号を探しつつオレの番号を探す」


「それはいい案だ。助かる」


 お互い協力関係を結び、連絡先を交換しあった。


「じゃ、お互い頑張ろうぜ」


「あぁ、頑張ろう」


 オレは、とても心配な近藤のもとへ行くことにした。


───────────


「生徒会長もひどい企画を考えたものね」


 近藤は、スマホを片手に大きなため息をついた。


「そうだな。とりあえず連絡先を交換している奴全員に近藤の番号教えておいた。もし見つけたら連絡をくれるれしい」


「ありがとう大山君。ものすごく助かるわ」


 近藤からの感謝の言葉、素直すぎて逆に怖い。


「近藤、濱野のところへ行くぞ。濱野は知り合いが多い」


「そうね。濱野さんを頼りましょ」


 オレは、濱野にどこにいるかメールで聞き、近藤と一緒に濱野がいるところへ向かった。


──────────


「大山君が58で近藤さんが101か。ん~今のところ私の知り合いの中にはいないかな」


 濱野は、そう言ってごめんねと謝る。


「いや、確認してくれてありがとう。濱野にもう1つお願いがあるんだが……」


「ん? なにかな?」


「濱野の知り合いの番号、すべて教えてくれないか?」


「いいよ、じゃあ言うね」


 オレは、濱野から聞いた60人ほどの番号をメモせずに暗記した。


「ありがと。もしさっき聞いた番号の人に出会ったら濱野に連絡する。このイベントは、助け合いが必要だな」


「そうだね。じゃ、私は、自分の番号探してくるからまたね」


 濱野は、そう言って立ち去った。


「近藤、少し電話をしたい奴がいる。待っててくれないか?」


 オレは、壁にもたれかかっている近藤に言う。


「わかったわ」


 近藤から少し離れたところでオレは、電話をかけた。


「急にごめん、千佳」


『いえ。要件は、番号を教えてほしいということですよね?』


「あぁ、そうだ。千佳だけじゃなく千佳が知ってる奴の番号も教えてくれ」


『わかりました。知っている番号を今からメールで教えます。一樹君も知っている人の番号を私に教えてください』


「わかった」


 オレは、通話中の状態で千佳へメールを送る。すると、千佳から100人ほどの番号が書かれたメールが送られてきた。さすが、千佳、情報収集がはやい。


「上級生の番号はなかなか情報が集まらないな」


『ですね。知り合いがあまりいないので直接聞くしか方法はありません』


「だな……。千佳、情報整理がしたいから電話切るぞ」


『わかりました。情報が増え次第、一樹君へメールで伝えます』


「助かる。じゃあな」


 電話を切り、オレは近藤のもとへと戻る。


「近藤、101番の生徒を見つけたぞ」


「ほんと?」


 近藤は、パッと明るい表情で聞いてきた。


「3年3組の青木先輩という人だ」


「教えてくれてありがとう。さっそく3年3組へ行ってくるわ」


 そう言って近藤は、去っていった。


 さて、オレも自分の番号を探さないとな。


「大山君、見つけた!」


 急に後ろから肩を掴まれオレは、驚いた。


「早見先輩、驚かせないでくださいよ」


「ごめんなさい。見つけて嬉しかったので」


「そうですか。オレに何かようですか?」


「後輩から聞いたんです。大山君が58番だって。実は、私、58番なんですよ」


 そう言って早見は、スマホの画面をオレに見せた。


「58……同じですね」


「さっそく生徒会室に行きましょう」


「そうですね」


────────────


「確かに同じ番号だな。大山と琴梨には、言った通りチーム得点を与える」


 生徒会室へ行くと村上が待っていた。


「ありがとうございます。陽翔君は、もう同じ番号を見つけたんですか?」


 早見は、村上に尋ねた。


「あぁ、意外とはやく見つけた。先輩や同級生の連絡先は、ほとんど知ってるからな」


「さすが陽翔君です」


 村上陽翔……一体何者なんだ?


「生徒会長、259番に心当たりはありますか?」


 オレは、かなりの人数の番号を知っていそうなので聞いてみた。


「259……それなら二年の秋葉という男が259だったな」


「秋葉先輩ですか。教えてくださりありがとうございます」


「礼なんていらない。このイベントは、助け合いが必要でもあるからな。教えた変わりに大山の連絡先を教えてくれないか?」


「連絡先? 何でですか?」


「単純に知りたいからだ。そんな理由じゃ教えてくれないのか?」


「いえ……」


 オレは、教えてもらった変わりに村上に連絡先を教えた。


「ずるいです! 私も大山君と連絡先を交換したいです!」


 早見は、隣で言う。


「早見先輩がそう言うなら連絡先交換します?」


 オレは、無視するわけにもいかず聞いてみる。


「はい、しましょう!」


 こうして生徒会の二人と連絡を交換するのだった。



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