第42話 裏で行われる三条と雨野の計画
人通りのない校舎裏、そこで雨野、武内、笠音、松原、三条、豊田、藤村という謎のメンツで集まっていた。
「協力の話は、理解できました。ですが、あなたが私を裏切らないという保証はありません。そこはどうなされますか?」
雨野は、三条に問う。
「どうしたらいいか?」
三条は、そう聞くと雨野は、クスッと笑った。
「そうですね……嘘をつくごとにチーム得点を50点相手に差し上げる。これでどうでしょうか?もちろんこれは、私達も同じです。私達が嘘をついたらあなた達にチーム得点を少し差し上げます。これならばどちらも裏切れる状況にはならないはずです」
「なるほど、それは名案だ。それでいこう」
三条は、雨野の提案を受け入れた。
「なぁリーダー、嘘をついているかの判断はどうやって決めるんだ?」
雨野の隣で話を聞いていた松原は、言う。
「そうですね。相手が嘘をついてるなと思った場合必ず証拠を用意するのはどうでしょうか?証拠がなければ嘘かそうではないかはわかりませんので……証拠があればお互い何も言い返せませんしね」
雨野は、緩い決まりごとにならないようしっかりと先のことを見据えて話す。
「オレからは、何も言うことはないし。雨野の言った通りの方法で構わない」
三条は、そう言ってポケットに手を突っ込んだ。
雨野は、それを見て笠音の肩をつつき、目で合図した。それに気付いた笠音は、めんどくさそうな顔をして一歩前に出る。
「この会話を録音してるの?」
笠音は、回りくどい聞き方はせずストレートに三条に尋ねた。
「あぁ、そうだよ。今後、オレと雨野が話したことをなかったことにされるかも知れないからな。そういうお前らもしてるんじゃないか?」
三条は、ニヤニヤながら尋ねてくる。
雨野は、小さく笑い笠音を下がらせてから口を開いた。
「そうですね。正直に言えば、私達の方は、楓君がやっています」
雨野は、嘘をつかず正直に言ってきた。
「素直な女は、嫌いじゃない。いつもそうやっていてほしいものだな」
「あら、それじゃあ、私が嘘つき女みたいじゃないですか。ひどいですね、三条君」
雨野は、怒ることなく微笑んでいた。
「ところで雨野。オレが交流会旅行の時にロビーに集めたのは覚えてるか?」
話題を変えた三条が雨野に問う。
「もちろんです。犯人?を探していたやつですね?」
「あぁ、その時のことなんだが。あの犯人は、大山一樹だろ?」
何かしら驚くような表情をするかと思っていたが雨野はいつも通り平然としていた。
「なぜ、私にその確認を?私は、あなたの探していた犯人について何も知りませんし、その犯人がどのようなことをしていた人かも知りません」
「しらをきるつもりか?」
「何が言いたいんですか?もし私がその犯人が大山君だと知っていたとして何があるのですか?」
「あるさ、お前と大山の関係性を知ることができる」
「関係性?私と大山君は、ただの友達です。他に関係なんて──────」
「もし、雨野がその犯人が大山であることを知っていたら、お前と大山が協力関係であることがわかる」
「無理して結びつけてません?それに私と大山君が協力していて何か困ることでもあるのですか?」
雨野は、三条の言葉に押されないよう常に言い返す。
「いや、何も………ただ、よくわからない組み合わせだなと思っただけだ。オレは、雨野が成績が良くない大山に協力する理由が知りたい」
三条がそう言うと雨野は、やっとなぜそこまで知りたがっているのかを理解した。
「そうですか……まぁ、あなたが何を聞いてこようと私は何も話すつもりはありません。私のことを知りたければ、よく観察することですね」
まぁ、無理だと思いますがと付け足して雨野は、クスッと笑った。
雨野と三条の2人だけが話しており、他の数人は会話においてけぼりだった。
そんな中、1人の少女は、おそるおそる手を挙げる。
「あの、せっかく協力している関係ですし、腹の探り合いみたいなことは極力やめませんか?」
そう言って雨野と三条の間に入り提案するのは藤村だった。
「そうですね。藤村さんの言う通り協力関係でいる間は仲良くしましょう。ギスギスしてしまえば協力どころじゃなくなりますし」
雨野は、藤村の言葉に賛成した。
「私もそれがいいと思う。三条、こんなところで雨野さんの情報を聞き出しても協力関係が潰れるだけよ」
三条の隣にいる豊田は、三条へ伝える。
「そうだな。じゃあ、そろそろ解散するぞ。一緒にいるところを他のチームに見られるかもしれないからな」
そう言った三条は、雨野に背を向ける。
「ですね……三条君、あなたは本当に濱野さんのチームを潰すつもりですか?」
雨野は、立ち去ろうとする三条に確認した。
「あぁ、そうだ。だからこそ雨野の力を借りたいんだ」
「あなたが本気だということはよくわかりました。私もできることはやりましょう」
そのやり取りをしていた三条、雨野の顔は、笑っているようで笑っていなかった。
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