第45話 デート
餓鬼2体と餓鬼足軽1体が突進してきた。右側の餓鬼の攻撃を反らし、左側の餓鬼にぶつかるように体勢を崩させ、バランスを崩した2体の餓鬼をタイミングを少しずらして突進してきた餓鬼足軽の足止めとする。餓鬼足軽の足が止まった隙を見逃さず、アキラが震脚を響かせ繰り出した拳で餓鬼足軽を一撃で仕留める。体勢を建て直し再び突進してきた餓鬼の1体にカウンターになるように掌底を顎先に置く。カウンターを喰らい動きが止まった餓鬼を盾にしてもう1体の餓鬼と距離を取り、回り込んで突進してきた餓鬼の攻撃の勢いも利用して投げて地面に叩き付ける。最後の餓鬼に向き直ると、カウンターの時点で倒せていたようで光の粒子となって消えていくところだった。
「3体でもいけますね」
「モンドの守りは鉄壁」
今、僕とアキラの二人で遺跡ダンジョンに来ています。
マコトはダンジョン学部探索科に入学しており、ダンジョン探索である程度単位を取れるそうですが、一部の必須科目は受講する必要があるとのことで、今日は大学に行っています。
僕とアキラは徒手空拳でもある程度戦闘をこなせるということで、素手でどこまで通用するのか腕試しがてら遺跡ダンジョンに来てみました。
「あっちに3体」
「ではそっちに行って見ますか」
アキラの周囲探知の魔法は鬼退治の報酬の指輪もあり、範囲も精度もかなり上がっているそうです。
「ウチとモンドの貯金で家くらい買える」
「それだとマコトが遠慮してしまいますよ」
「気にしないのに」
「こういうのは本人の気持ちですからね。アキラも僕とマコトで家を買うからなにもしなくていい、と言われたらイヤですよね」
「イヤ」
わかってもらえたようです。
最近、マコトとアキラは家探しに夢中です。どんな家がいいかというのはもちろん、家購入前の仮拠点の部屋もどうするかで盛り上がっています。
刀を持った餓鬼足軽が2体と槍を持った餓鬼足軽が1体いました。刀2体が先に槍がその後ろから突進してきましたが、さっきと同じ要領で難なく倒せました。
「あっちに5体」
「5体ですか。どうしましょうか?安全策をとってやめておきましょうか?」
「ウチとモンドならいける」
「はぁ、それでは危なくなったらすぐ撤退ということでいいですか?」
「わかった」
しばらく進むと槍を持った餓鬼足軽2体と武士餓鬼1体がいました。あと2体はどこでしょうか?
「違うグループに先に当たりましたか?」
「ううん、あれが5体のグループ」
アキラが感知したモンスターとは違う可能性を考え確認しましたが、アキラは首を降り否定しました。幸い、こちらが先に気付いたので少し観察してみます。
餓鬼足軽の背後が妙に気になり見ていると、餓鬼足軽の影にかくれて何かが動きました。それと同時に餓鬼足軽が槍の穂先をこちらに向け隊列を組みジリジリとこちらに近づいてくる。
「気が付かれました。おそらく、忍餓鬼です」
「気を付ける」
いつもの見つけ次第突進ではなく、待ち構えるようです。待つということは時間を与えるのは悪手ですかね。速攻か撤退かですが、隣のお嬢様がヤル気満々です。
一気に駆け出すと後ろからアキラが付いてきます。
嫌な予感がして首を捻ると、何か鋭いものが飛んでいくような風切り音がしました。アキラも対処できたのかちゃんと付いてきます。
2投目が来る前に接敵し、前衛の槍を反らし、払い、2本の槍を巻き込みかち上げ餓鬼足軽の体勢を崩し、後ろの忍餓鬼と武士餓鬼の動きを阻害する。そこへアキラが震脚と共に肩口から体当たりし、5体のモンスターをまとめて吹き飛ばす。餓鬼足軽が手放した槍を拾い上げ、餓鬼足軽の下敷きになりもがいている忍餓鬼ごと槍を突き立てる。もう一組の餓鬼足軽と忍餓鬼をアキラに任せ、素早く体勢を立て直した武士餓鬼と対峙する。
少し気になることが出来たので試すとしましょう。
野太刀を大上段に振りかぶった武士餓鬼に素早く近付き、振り下ろされる前に手を掴み、
アキラの方も無事倒せたようで、こちらに駆け寄ります。よく見ると、アキラの服の肩口がスパッと切り裂かれ、少し血が滲んでいました。また、服の切り口が変色していることにも気が付きました。
「アキラ、大丈夫ですか!?」
「スキルがあったから問題ない」
【毒耐性】スキルのことでしょう。迂闊でした、忍がいるのだから毒の使用も考慮するべきでした。アキラに謝罪しようと顔を向けるとアキラの人差し指で口を塞がれました。
「ウチはモンドの隣にいると決めた。覚悟は出来てる」
覚悟が足りていなかったのは僕の方だったようです。
気を取り直して、ドロップ品を回収しましょう。
ドロップ品を拾い集めカバンに収納します。それと、先ほど気になったことの結果はどうてすかね。カバンの中を探るとありました、武士餓鬼から奪い取った野太刀が。
「モンド、それは?」
「武士餓鬼から預かった物です」
これはもしかしたら良い金策になるのでは……
「それではそろそろ戻りましょうか」
「ふぅ、デート楽しかった」
うーん、聞き間違いですね。
帰りは特に何もなく無事帰宅しました。
「おかえりー!」
家の前でマコトが待っていました。
「アキラさん、いいなぁ。デート、羨ましいなぁ。モンドさん、今度ボクともデートしてね!」
このお嬢様方はいったい何を言っているのでしょう…
「旦那様の好きな場所を一緒に巡る!妻の鑑だよねー」
「ねー」
Result
魔石 A 2個
魔石 B 6個
魔石 C 2個
魔石 B茶 1個
武器 餓鬼足軽の槍 1本
武器 忍餓鬼の小太刀 2本
武器 武士餓鬼の野太刀 1本
防具 餓鬼足軽の手甲 1個
スキルオーブ 1個
NAME:馬場 主水
LEVEL:13 → 14
STATUS
STR:18 → 19
DEX:21 → 23
VIT:15 → 16
AGI:19 → 20
INT:23 → 24
MND:28 → 29
SKILL
【幸運】 → 【激運】
【手力男】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます