第16話 【幸運】と【強運】
2週目2日目にした事はまずは受講者全員のステータス提出であった。これは最初のステータスを確認することで今後の講習での方針の参考にしたり、講習修了後の冒険者のサポートや緊急時の適材適所な人材配置に役立てたり、未知のスキルの発見に繋がったりする。冒険者へのステータスの提出は同様の理由で推奨されているが、自身の手の内を晒すことにも繋がるので実際にステータスを提出する冒険者は少ない。
ステータス提出後個別に3人呼び出しがあり、その中に僕も含まれていました。おそらくスキルのことだろうと向かうと個室にはナイスシニアが待ち構えていました。
「個人情報にも関わることなので私が対応することになった。それでは早速、お前さんのスキルの事なんだが」
予想外の人から、予想通りの質問がきたので、昨日のモンスター討伐で【幸運】のスキルオーブを手に入れたこと、それを昨晩使用したことを説明しました。
「ふむ、そうか。おそらくだが、お前さんがダンジョン適応化で手に入れたスキルは【幸運】、そして昨日手に入れた同じスキルオーブを使用したことでスキルが強化されたのだろう」
「だろうと言うことは、そうではない可能性もあるということですか?」
「スキルが強化される事例は確認しておるのだが、いかんせんどのように強化したかは誰も話したがらん。アドバンテージを失うのが嫌なのはわかるのだがもう少しギルドに貢献してくれても良くないかのう…」
「あのぅ…」
「おっと、話が逸れてしまったな。スキル強化の可能性が考えられていたのは、特別なアイテムによる強化、ダンジョン内の特別な場所での強化、特別なモンスターを討伐することによる強化、スキルを使用し熟練することによる強化。このあたりは
お前さんの話から考えて可能性が低くなりそうだ」
「なるほど」
いろいろと可能性は検討されていたようです。
「あとは、さっきも言った、すでに取得しているスキルと同じスキルオーブを使用すること。それと、取得スキルと相性の良いスキルを得た時に融合して強化されると考えておった。お前さんの場合はこの2つのパターンが考えられるが、私の勘では前者だな。お前さんがスキルオーブを使う前にステータス確認してくれていたら条件が確定したんだがのう…」
「それは、申し訳ありません」
「いや、ただの愚痴だ。こちらこそすまない。はぁ、冒険者が皆、お前さんくらい協力的だと良かったのだがな…」
愚痴が長くなりそうだったので、このあたりで退散させてもらいました。
その後の座学ではスキルについて学ぶ。特に魔法の可能性、イメージについてを重点的に。
午後からは昨日と同じダンジョンで同じように準備運動を行う。違うところは武器が自由になったことか。
僕がメイスを選択すると周りは不思議そうな顔でこちらを見てくる。他にもいろいろある中でなぜそれをといった感じだ。ただ、僕は講習が終わったあと一番入手しやすそうな武器である鈍器に近いものを選んだだけだったんだけど、そんなに不思議だったのだろうか。
武器の扱い方を教えてもらい練習すると、昨日と同じ要領でモンスターを1匹討伐する。
そんな感じで2週目もあっという間に過ぎてしまった。
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