第39話 顔のない予兆
・・・
リズが教室を出ていってから少し経って
聖セントラル中央魔法学園の各教練では
もう魔法学の講義が始まりだしている
(・・・)
授業を抜け出したリズはアスラを連れて
人通りがほぼなくなった中等部の校舎の中庭の噴水のある広場にやってきていた
今は庭の手入れをする人くらいしか辺りには見当たらない
その中庭の奥の中央には
学園を見守っている女神のような石像が見える場所
この学園の敷地内にはいたるところに彫刻の女神の像があって
だけど経年の劣化で完全ではなくて一部が欠けているものも多くある
そんな石像たちの一体
「 」
中央の女神像には肩から背に翼のようなものが生えていた跡があったけど
この女神像は翼が両方とも欠けている像で
その翼の元の形は分からなかった
「アスラ、だいじょうぶ? 体が熱いわよ」
アスラはさっきから熱を帯びて私の肩でプルプル震えていたので
中庭のある外にまででてきてしまった
「(あっ・・)」
(ポウ・・・)
噴水の前のところまでくるとアスラは肩から降りて
形態が元のというかちょっと成長した姿に戻ってしまった
ここで不思議なパワーというか前に着ていたネロの服は
そのまま着た状態で姿が戻っていた
「リズ・・」
アスラはうつむいて向こうを向いたままだ
小さな手をグーに握りしめている
(もどっちゃ・・、まあ別にもういいか もう使い魔で通せるよね)
「リズ・・どうしてなにもいわないの?
リズのこと・・ばかにしてた・・! なのに・・!あっ・・」
(ピューン!)
そう絞り出すようにいうと
アスラは足をいっぱい動かして風のように走りだして去っていく
けっこう速い
「ア、アスラ・・! どこにいくの」
突然のことに唖然として私は固まって止まってしまっていた
そのうちにアスラの姿は建物の影に消えてしまう
「アスラ!」
呼べばくると思っていたけど全然戻ってこないアスラ
「ど、どうしよう あまり遠くへは行かないと思うけど・・」
その時
「 」
噴水の広間の奥にある
さっきの翼の跡のある大きな女神の石像の頭の上に
「スッ」と
風が通り抜けて
1つの影が静かに降り立ったのが見えた
その降りてきた影は女神像の上に降り立ってから着地の勢いを
その場で衝撃をそっと逃がすように身をかがめていた
降り立った影は前の方を向いていてリズの方には背中の方しかみえない
その背中には対になった黒い翼のようなものが見える
羽が生えているあの姿はなんだか・・あの形・・
(もしかして天狗の翼・・?)
「すごく・・奇麗な羽・・」
だけど いつか戦った大天狗のオジキの風貌よりもだいぶ小さい
少し距離があるから見えにくいけど
この聖セントラル中央魔法学園の制服を着ていた
(なんでだろう・・不思議な感じがする)
今まで出くわしてなかったけど
天狗ぽいっていうことはあれが大天狗オジキが言っていた、
この学園に通う孫・・?なのだろうか
目に止まってしまったから気をとられたけど
でも今はそれよりアスラを・・
「ズ・・」
その時 リズは嫌な風を感じた
さっき通り抜けていった風とは違う
(えっ・・・)
久しぶりの感覚にいやな汗が出る
「「 」」
なにかが始まるような気がする
感じていた風が逆向きにただよって
たなびく草木が不自然に歪んで揺れ動いているようなあの感覚
最近この学園で穏やかに過ごして忘れかけていた
異様なモンスターたちに襲われたあの日の記憶が
脳の裏に悪夢のように蘇る
今すぐに空間が割れだして 私が前にいたあの世界のように
真っ黒い異形のモンスターたちがそこから漏れだしてくるんじゃないかと
・・・
だけどリズの予感に反して まだそういうことはなかった
(なんでだろう・・)
徐々に歪んでいく私の視界の先の
なぜかそこだけが目立っていて気になる
それは中庭の大きな女神の石像の上に立つ、
制服を着たあの黒い奇麗な翼の天狗の姿
天狗はさっき像の上に着地をして身をかがめたまま止まっていて
だけどその体の黒い影はやたら長く不自然に伸びていって
女神像の顔を影で黒く塗りつぶす
だけどその像の上の天狗の翼だけは完全に止まっているのではなくて
光る黒い羽根をたなびかせながら
とてもゆっくり動いていた
( )
まるで空間を流れる時間がすごく遅くなるように
全ての動きがゆっくりになる
私の前の世界が変わった、あの時と同じ現象だ
やがてその天狗の影のかかった姿が石像の上でゆっくりと立ち上がる
(え・・)
ゆっくり立ち上がったその天狗の姿は前の方を向いていたんだけど
影がかかっていて羽も黒くてこちらに背を向けているせいで
「 」
まるで影で顔の隠れた女神の像の頭の上に立つ、顔のない黒い悪魔が
じっとこちらの方を向いているような
そんな錯覚に陥る
すると
「ズオ・・」
その影の後ろ姿の後頭部の方に
ぼんやりと子供の顔の形のようなものが浮かびあがってきた
「え・・、」
その浮かび上がった子供のような顔の形が私の方を向いていて
あの時見たような白い光がわずかに浮かんでいた
それで私はとっさに身構えようと思ったんだけど
「!」
空間に何かの力がかかっていて
もうすでに思ったように体が動かない
( )
その時 同時に天狗の黒い翼が何かを振り払うように
一度小さく羽ばたいた
すると影の後頭部に浮かんでいた顔の形が一気に崩れ始めて
その黒い翼のはばたきに白い光が追い出されるように
「ピシュウ・・」と音をだして今度は私の方向に向かって飛んで移動してきた
「!」
身構えたけど
その光は私よりも少しそれた場所に飛んでいく
そしてそこにはすでに人の姿があった
「え・・」
学園の講義が始まりだして人通りは極端に減っていたけど
この中庭の広間に人は誰もいないわけではなかった
その場所には学園の庭などの手入れをする作業員の人がいて
リズがこの噴水の広間に入ったとき
座って植木の手入れをしていたのをちらりと見かけていた
リズの視界にその作業員の人の姿が映る
でもそのひとは植木の方を見ていなかった
首だけを回転させて私の方に向けてみていた
でも見ていたかはわからない なぜならその人には
顔がついてなかった
(あ・・・)
どうすればいいんだろう なにが始まるんだろう
私にまたこういう日が来ることを予期してないわけじゃなかった
それは日々こちらの世界のリズとして
なんでもなく日常生活を過ごしていたけど
予感としては日々の端に意識していた
私が少し変な世界だったけどこの世界にリズとして目が覚めて
普通の日々を過ごしてこれたのは
あまりにも不可解な流れだったから
それでも・・
すると その光に乗り移られた人の顔の本来の目があった部分から
新しい白い光が徐々にジジジ・・と漏れ出す
((コッチ・・ニ・・・))
これもあのときと同じだ
だけど前とは少し違うような
(光の中になにかいる なにかを言っている・・?)
その光をみているうちに
わたしがその光にぐるぐると近づいているような感覚に陥って
わたしは・・
「・・リズ? 」
アスラがリズの前に戻ってきていた
( )
すると世界は今までのことなんて何もなかったように
元通りになっていた
嫌な風はもうなくなっていた
庭で植木の手入れをしていた作業員の人には顔があったし
せわしなくなんでもない調子で鼻歌を歌いながら植木の余分な枝を切っていた
「ア、アスラ・・」
私は急に拍子抜けてしまって 体がグラっときてしまったけど
アスラが急いで走ってきて くっついてきて体勢を持ち直した
「リズに熱いっていわれたから、
さっき休んだベンチの冷たいところに急いでいって冷ましてきたの・・
リズ・・だいじょうぶ?」
私の様子が普段と違ったからか
私がアスラを心配していたところを
アスラが逆に心配して私の腰の辺りを支えてくっついてくる
(なにも起こってない、よね・・)
「・・?」
様子を見るとアスラには
さっきまでの歪んだ世界のことは何も感じられていないようだった
でもリズにはさっきの嫌な汗だけは残っていて 少し立ち尽くしていた
・・・・
・・・
状況が落ち着いてきてアスラと話をする
「・・あのひとたちリズのこと、ばかにしてた・・
あたしのことも弱いっていってきた・・
クスン・・それにあたしは勝手になんでもは食べたりしないもん・・」
さっきの教室での勇者パーティの取り巻き達とのやり取りのことだろう
(( スライムなんか弱すぎて使えないし
頭もよくねえから
かなりしつけてないとその辺のものを勝手に何でも食っちまうしで
テイマーでも使わないんだぞ ))
(・・・)
その時の言葉を気にしていたんだろう
学園でスライム使いの人を全然見なかったのはそういうことみたい
「アスラ・・聞いちゃってたわね あの人たちは口が悪いから
気にしちゃだめよ ごめんなさいね
話をさっさと切り上げておくんだったわ
ほらアスラ飴玉よ あーんして」
(かぷり・・)モチャモチャ・・
勝手には食べないけど
素直には何でも食べるアスラ
「でも、モゴゴぉ・・ リズがばかにされて リズがなにもいってないと
あたし あつくなっちゃうの・・だってリズは強いんだもん・・」
「まあ アスラはわたしのために怒ってたのね
・・優しい子ね ありがとうアスラ」
「どうしてリズは・・なんにもいわないの?」
「うーん 昔ね 私にもお姉さんみたいな人がいて
その人に言われてたんだけど
別によく見てない人の言葉を真に受けてもしょうがないのよ
それにわたしはアスラが弱くないことをちゃんと知っているわ
今はそれでいいのよ」
「でも・・」
「それにね あの人たちもこれから苦労すると思うわ
だから気にすることなんてないの
私たちは気にせず強くなればいいのよ、強くなりましょうね~アスラ」
「うん 強くなる」
「いい子ね」
その時
「ビュウウ・・」
広間の空につむじ風が現れたと思うと竜巻が降り立ってきていた
「!!」
(やっぱり何か起こるの・・?)
だけど あれは・・
さっき不気味な変化が起きたときに石像の上にいた制服を着た天狗は
女神の石像のところにまだいて 石像の上に立っていて
そのやってきた風を待っていたように眺めていた
(オジキ・・?)
その女神像の横に竜巻の風が降り立つように収まっていき
その中から体が一際大きくて重そうな天狗の姿が現れる
(大きい天狗だ・・やっぱりオジキかも)
私はその風が降り立った石像のところ、
大きい天狗の元に行ってみることにした
・・
ある程度近くまで寄るとそれがやっぱりちゃんとオジキであることは分かった
石像の上の制服を着た天狗と少し話していて
「これ、ゲンゴ 女神像の上にのってはならん 」
とか聞こえてきた
オジキの声で間違いない
オジキはちらりとこちらの方も見てきて
もう近づいてきている学生の私には気が付いているみたいだった
だから声をかけてみる
「オジキ・・?」
オジキはちょうど大きな翼をたたんでいるところだった
翼を畳むときに発生したそよ風が少しリズの顔の方にもふりかかる
「気配で分かっていたが おぬしもいたかリズ
おぬしといい ここはやけに妙な気配がするな」
(妙な気配・・?オジキにはわかるの? さっきのあの不気味な変化の事・・)
「わたしの他にも妙な気配がするの?」
「隣におるではないか 前はいなかったな」
わたしの隣にはアスラがテクテクとついてきていた
見慣れない大きい天狗の姿に不思議そうにしていた
「この子・・アスラのこと?」
「その使い魔の子の名か? 姿は違えどそれはスライム・・だが変わっておるな
探知は使っておらんが他にもここにくるときに妙な気配はした
だが今は消えておるでな
この学園の守りが不安定になったせいで
土地の力が荒れておるのかもしれぬ」
(そう・・、でもその何かの気配はもう消えているのね・・)
「この学園の守りが不安定・・?」
「ああワシはな それで孫にも用があって この学園に・・」
「オジジ 知り合いなのか」(スッ・・)
女神像の上にいてオジキに注意を受けていた制服天狗が
スタリと小さく風を纏わせて
大天狗オジキのすぐ横に降り立ってきた
「・・!」
(さっき後頭部に顔みたいなものがついていた天狗よ・・!)
(・・・)
リズはさっきの状況の後ということもあって
すこし警戒してどきどきしながら身構える
身構えながら観察してみると
・・
私とほぼ同じくらいだけど僅かに小さいという背丈
遠くからみた制服は 今近くから見ると中等部のもので私の1つ下の学年だった
かなりいかつくて大きいオジキと並ぶと
親分ニワトリとひよこくらいの差があってかわいく見えるけど
じっさいのところ全然かわいくはない
天狗らしいけど見た目の立ち姿はオジキと違って人間にすごく近くて
でもしっかり天狗の翼に黒い羽が生えていた
細身だけど筋肉も発達していて
制服の上からでも分かるよく鍛えている屈強な腕をしていて
鋭い目つきに短髪でそこそこワイルドな雰囲気の男の子だった
「この娘とは少し先で縁があってな
セントラルにいたお前の方が知っているやもしれぬと思っておったがな
リズ これがワシの孫のゲンゴだ ゲンゴ、挨拶をしておきなさい
お前はよく調子にのっているから いい機会になるだろう」
「この姉ちゃんが? その制服・・ひとつ年が上なくらいじゃないか まあ先輩か
リズっていうんだな 変わった目の色だな
俺はゲンゴ よろしくな 中等部の一年だ
将来はオジジの風魔を継ぐんだ
ちっこいのも使い魔か?よろしくな」
調子のいい感じだけど 自然体で嫌な感じは全然しない
警戒はしてたけど 普通に元気で生意気目な後輩ってかんじ
(やっぱりオジキの孫だったんだね
天狗だけどほぼ姿は人間みたいで鼻はオジキと違ってまだ高くはないのね
ていうか全然似てないわね
オジキがちょっと妖怪寄りっていうか
いかつすぎるんだ)
「わたしはリズ、 リズ・クリスフォードよ 中等部で基礎から魔法を習ってるわ
この子はスライムのアスラよ」
「ちっこいのじゃないもん」
ちっこいのっていわれてアスラは不満だったようだ
「げっ、しゃべるのかよ こいつは本当に魔物なのか・・?上位種ってやつか
それにクリスフォードか 魔法貴族の名門だな」
・・・・
・・
「ところで オジキがここにきた理由って・・」
「うむ、この学園の保護結界が弱まったのだ
故に補修のために腕の立つ使い手が呼ばれた 部下はもう行かせてある
今日は弟子も召集を受けたから来ておる
ワシは孫の様子を見に来たから この場所にゲンゴを呼んでおいたが」
「保護結界・・?この学園に張ってあるの?それっていつ弱くなったの」
リズの質問の声に天狗の孫のゲンゴの方が答える
「そうだぜ 実はこの学園都市にぐるっと囲ってあるんだ
他の政令指定都市にもあるぞ
この国はよ、石柱を利用する魔法結界の技術が高いんだ
この辺りの土地の力は特別強いから
そうやって結界を作って力を安定させて利用しないと土地の力に邪魔されて
住みにくくなったり伝達なんかもろくにできなくなったりするんだ
守りが弱くなったのはこの間の連休のときからだな
外に出てたらちょっと空の結界が反応で光ってるのが見えたぞ
オーロラみたいな星の光で「悪魔の衣」っていうんだ
あれがたまに結界にも悪さをするんだ
保護結界は普段は土地を安定させて「悪しき存在」から
常に学園を守ってるんだ 外の魔物とかもよりつかないんだぜ」
(オーロラ・・)
前に見た夕暮れ時の夜空の光の記憶
「それ・・私も見たかも」
オジキは大きな腕を組んで その言葉にうなずく
「そうだな 古き時代からある星海の現象だが
天体現象には謎が多くてまだ多くの現象が解明できておらんが
悪魔の衣についてはそこそこな諸説がある
あれは干渉光の一種といわれておってな
この世界の次元空間に
何らかの強い力の干渉による負荷がかかっている状態の時に
星層圏帯の高度上空に発現し、
それが地上に何らかの影響を与えているというところまでは
突き止められているのだ
おそらく星海からはぐれた強い光の一部が
もう下ってきているのではないかと推測がされておるが
不可解なことが多く 確かなことはやはり未だにわかっておらん
だがそれらは規模は違えど普段でもたまに起こり
比較的結界や土地にかかる負荷は少ないものでな
この学園を保護する結界の弱体化は
そのときに起こったものではないのだ 」
「・・・?」
「ここにある保護結界は単一のものだけではない
その結界を形成する大きな柱たちはメリカドの各都市にも繋がっておる
その結界の結びの中心地である大元の首都メリカドハートの大結界が
見た目の形だけは保持できているように見えて
実はすでに以前から機能が失われて裏で壊れておったというのだ
その影響はすぐには出ぬものでな
壊れた大結界と繋がったこちらの都市の結界の見た目に異常が現れはじめ
機能が失われだしたことを確認したのが今といったところだな
時間差で結界が
故に大元が壊れているのも含めて
かなり大掛かりな張り直しの修繕が必要となって
国中で修繕が可能な力を持つ上位の魔法使いがかき集められておる
大元が壊れる要因となったのは
世界的に土地の持つ力場に
今までにない「一際強い」負荷がかかったことに起因している
これは混乱を招くから一般には隠されておるが
その時
この世界に強い影響力を持つ「超上層部」に人為的な負荷をかけた
「大規模な干渉」があったとされている
この世界に干渉を起こしたとされる首謀者は
その時捕らえられ処刑されて 今は新たな異常はないという情報だ
ワシらはそのことを国から最低限は伝えられておる
だが詳しいことはワシらにも伝わってはおらんし
そもそも上の者も情報を詳しく知らん
おそらくその干渉による強い負荷が世界に発生したというのが
この学園でいえばちょうど期の終わりの休みに入るときだな
この都市でも人が集まって祝い事の星誕祭という祭りが始まっていた時期だ
それは聖ソウル法典旧暦の「大滅の日」と同じ日に起こった」
(え・・なにそれ・・)
詳しい情報をもっと聞けるかと思って
リズが口を挟もうとすると
「あの日の夜は確かにやばいくらい星が出てたな・・
里にいるやつはみんな怖がってたな
大変だよなあ そのせいで星誕祭は途中で中断になって
その祭りの最後のイベント予定だった学園の武闘大会もつぶれちまったんだよ
見るの楽しみにしてたんだけどなあ」
その秘密の事情をオジキから聞いていたのか
能天気に残念そうに話す天狗のゲンゴ
「でもおかげで 延期の話が出た時に時期がずれて
今度は俺も大会に出れるようになったからいいけどな」
「・・・」
(・・その大規模な異変があった時期、「大滅」の日ってたしか・・
もしかして私がこの世界で目が覚めたのと同じ時期だよね・・
異変を起こした首謀者は処刑されたって・・
それで結界が弱まって あの現象・・やっぱりなにかつながりが )
・・
天狗の孫のせいでガラっと能天気な話に逸れてしまったけど
オジキの方も少し深入りな話をし過ぎたと思ったのか、
そもそもあんまりここでは深刻な話をする気はなかったようで
「おお いかんいかん」といって
話を切り替えて孫のゲンゴの相手をしている
「これ 出てもよいがの
あまり調子にのるでないぞゲンゴ」
どうやらオジキの孫はあの例の延期になった武闘大会に出るらしい
オジキが念を押すようにしている
「わ、わかってるって オジジ 一度オジジに出るのをやめろっていわれたけど
言いつけをちゃんと守ったから出ていいんだろ?」
「うむ・・まあそうだな」
「大丈夫だって 調子にのらなくても優勝しちまうかもな 俺なら」
「それを調子にのっとるというんだ」
「・・・」
(なんか世界で異変が起こってるぽいけど・・私はちょっと深刻になってたけど
オジキたちはお祭りの武闘大会の話とかのどかにしてるなあ
やっぱ強い種族なのかなあ それとも適当なんだろうか)
「そういや 姉ちゃんはどうするんだ 大会でるのか?」
オジキの孫ゲンゴから急に私の方に話が振られる
「え・・私はでないわ・・」
「なんだでないのか? あんた強そうなんだけどな
それにクリスフォードなんだろ?」
(お父様やお母様のおかげで やっぱり私の実力は誤解されてるわね・・)
「リズはつよいよ!」
アスラが身をのりだす
「うお! なんだこのちび
まあそうだな 強いやつじゃないとまず大会の予選で弾かれるからな
強いやつが出る大会なんだ」
「じゃあリズは強いから大会にでるんだね!」
「こら アスラ」
「やっぱそうだよな
結局そういうやつがしっかり出てこねえと大会自体が盛り上がらないんだよ
それにアスラっていったか そいつも使役するんだろ
腕輪もあるみたいだし悪くないと思うけどな
武闘大会っていってもお祭りの一部だからな
だから祭りのつもりで気楽に参加してもいいんだぜ
俺と当たった時は手加減なしだぜ」
(なんかでる流れになってる・・お祭りかあ・・、
星誕祭っていうんだっけ・・
たしかサークルの先輩もそんなことを言って・・ いや武闘大会でしょ)
お祭り行事と聞いてちょっと納得しかけたけど流されはしない
「・・・」
オジキがこっちの方を向いている、
なにか勝手に調子にのっている孫に諭してくれるんだろうか
そうよね 私 出ないって言ったもんね
「リズ・・おぬしもあまり調子にはのらぬようにな」
(ああ なんか出る感じで解釈されている・・)
・・・
それはそれとして私はちょっと気になったので
(にじり・・)
立っているオジキの孫の後ろの方に忍び寄っていた
「どうじゃ 学業の方もちゃんとしておるのか?」
「当たり前だろ?オジジ」
オジキと学園での生活はどうかとかのどかな話の続きをしていた
孫の様子を見に来たっていうのは
どうやら本当みたい
「・・・」
(後ろにさっきの変な光の目が隠れてついてたりしないよね・・)
一応確認はしておかないと
そこから見える天狗の孫のゲンゴの後頭部
今はふつうの硬そうな髪質の短髪が見えるだけで顔とかはついてなかった
(ほっ・・)
「なんだよ?」
後ろに目はなかったけど 目があるみたいに背後の気配に敏感なようで
チェックするようなリズの視線が気になった様子のオジキの孫
(あ、ばれた・・)
「いえ なんでもないわ あんまり睨まないで」
「そっちが見てきたんだろう?
目つきが悪いのは生まれつきだ べつに睨んでねえよ」
(む・・)
リズに振り返ったオジキの孫のゲンゴは
生まれつきだという鋭い目つきと生意気な顔つきをしていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます