請願
時流れて。
シンヤとの別れ場所に差し掛かったときだ。
「じゃあな...。また明日な」と俺はシンヤと
別れて家のある方角へ向かおうとしていた。
だがしかし。
T字路のとこで女の子の悲鳴を聞いてしまったんだ。俺は東へ行く予定。シンヤは西に行く予定。
「離してよ...!ちょっと何、人の腕、馴れ馴れしく掴んでいるのよっっ!!やめてよっ、離してよっ!」
「おっ、気ぃ強いねぇ。
黒髪清楚でおとなしそうだから、無抵抗でカラオケくらい付き合ってくれると思ったけど、
一筋縄ではいかないってことね...!」
「どーします?こんなに対抗するんなら、
ちょっと手荒なことでもして言う事聞かせます?」
「頬をかするくらいの傷つければ大人しくなるんじゃないすかね?」
「バカ!可愛い子の顔に傷つけるわけにはいかないっしょ...!」
金髪メッシュのがたいのいい親玉がひとりに、あとはコバンザメみたいな茶髪の雑魚ふたりって感じだった。全部で三人。
雑魚ふたり組がリーダー格にお伺いを立てている模様。
タイミング悪過ぎとでも言おうか、
女の子が不良集団に絡まれている現場を目撃してしまった俺ら。
面倒ごとはごめんだ。シンヤはそう言いたげに、
「おい、シンジ、見なかったことにしようぜ。
女の子の悲鳴も聞こえなかった、な?それでいいだろ...じゃ、また明日!」
シンヤは逃げようとしたが、
女の子の言葉に半分ショックで半分自分を知っていたことに喜んだのか駆け足の途中で足を止めた。
「ちょ、そこの二人!助けなさいよ!
その制服、同じ高校でしょ!しかも、よく見たら同じ学年じゃないの!私、知ってんだからね!留年の危機に瀕してる山吹シンジくんと
あと、、、知らなくて悪いんだけど、もう一人の名前はっ!
ふたりしてFクラスの補習組だよね!!その位は知ってるけどっ」
「ああー、なんで顔は知られてるのに、
名前は忘れられているんだよっ」
「しかも、なんで俺の名前は知られてなくて、シンジの名前は知られているんだよっ...」
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