#23 まだまだ続きます!
「次はわたくしですわね!わたくしは神代神楽、ストレリチア担当のVtuberなのですわ!この配信を見ている貴方達!わたくしに絶っっっ対!貢ぐのですよ!!わたくしこそ、この三期生で一番のVtuberなのです!」
次にミュートを外したのは、神代神楽。この威勢と口調、どう見ても彩だ。
神楽の容姿はというと、赤に近い明るい茶髪はお嬢様のようにくるくるとカール
され、叶希の白い髪の先が黄色のグラデーションになっているのに対し、神楽の方は
橙のグラーションになっている。そしてフリルがかった、ドレスに近い薄紫色で
ロング丈のワンピースを身に纏い、童話に出てくる王様がよく肩にかけている、
首元がモフモフな真紅のマントの色違いのような、青色のマントを身に着けていた。
そして裸足に茶色い編み込みブーツを履き、ストレチアを模した金色のイヤリングを
着けている。お嬢様口調である神楽…彩に相応しい、女王のような服装だ。
・え、なにこれギャップがスゴイ
・貢ぎますわ、めっちゃ性癖ドストライクすぎた[\30000:ちゃぽん、さんから]
・自信満々だなwどっからくるんだよwww
・ちょいと傲慢なのがまた、良い…![\10000:ロン、さんから]
・おっさんの性癖くすぐるとは、三期生、分かってんじゃねぇか
・きちんと“三期生で”って言ってるのが良いよなw
・ストレリチアって極楽鳥花って言うんだっけ?めっちゃ合ってる
お嬢様というギャップに萌えたファン達から、神楽を推すコメントが殺到。それに
神楽は「いい、いいですわよ!もっとわたくしに貢ぎなさい!!」と高らかに
笑っており、それにアシュとヒマはたはーっと、現実逃避と言わんばかりの顔に
なっていた。「うわ。何言ってるの、疑うよ精神」という四葉の毒舌なツッコミに
神楽はいつも通り(?)「ちょっと、失礼でしてよ!なんですの!!」と返していた。
「ってことは、最後はアタシだね。私は空風緑。フウセンカズラ担当のVtuberだよ。まぁその通り、ちょっとポップでバルーンっぽい服装なんだけど…、よろしくね!」
最後は愛こと緑だ。肩につくかつかないくらいかの長さでぱっつんとした
ハンターグリーンの髪に、シーグリーンの目。ヴェール色のトップス、その襟には
白いフリルがつき、手には肘まである洋風の白い手袋をしていた。丸く膨み、まるで
風船のようなスカートは同じくヴェール色で統制されており、スカートには所々
クロムグリーンのボンボンがついている。白い靴下は膝よりも上にあり、スカートに
隠れていて見えない。そしてサーカスのピエロのような靴はフォレストグリーンで
出来ていて、その中央にもクロムグリーンのボンボンが一つずつ付いている。
「以上、三期生の皆さんでしたーーー!いいね、個性的で!明日からは二期生によるイベントが始まるよ!イベントの主催者がその日の司会になるからボクはここでおさらばだけど…そうやって二期生の皆が繋いでくれるからね、安心だね!さぁさ、今日の配信はこれで終わり!今日は自己紹介だけだもの!じゃーね、ファンの皆さん!ご視聴ありがとうございましたーー!」
「バイバーイ」
「あ、ありがとうございました!」
「皆、明日からよろしくね!」
「さよなら、また明日。」
「貴方達!明日からはこのわ・た・く・し・に!注目するのですよ、よろしくて?!見逃したら承知致しませんわよ!!!」
「あはは、ばいばーい」
ヒマが手を振るのに続いて、アシュやスイ、花鈴達が手を振りながらお別れの言葉を
紡いでいく。配信ではどのみち上半身しか見えないけれど、今回は全体図が見えた。
・おう、じゃあな
・あばよ!
・ヒマさんお疲れ様っした![\10000:ちゃぽん、さんから]
・明日から待ちきれない、タイムスリップしたい…!
・めっちゃ楽しみ。
・二期生の個性あふれるイベント、楽しみにしてます![\5000:テイル、さんから]
・ばいばーい
・三期生の皆、明日に備えて寝るんだぞ!
・いやー、いいもん見させてもらいましたわ[\1000:闇ちゃん、さんから]
ファン達もそれぞれコメントを打っていき、配信が終わる。それを見届けると、
花鈴はマイクを切ってため息を吐いた。
――疲れたけど、楽しかった。
自己紹介だけだったけど、楽しかったし、夢の一歩を踏み出せた。とても緊張して
疲れたけど、明日もまたある。明日はどの二期生がイベントを出してくれるの
だろう。少し前に金華からメールが届き、二期生主催のイベントは、配信にて
その日その日の司会である二期生達から知らされるらしい。だから、何をやるかは
明確にはわからない。ゲームとか、クイズ大会なのだろうか。それでも良い。
とても楽しかったから、はやく、はやく次の配信をやりたい!
まだソロ配信は許可が下りていないけれど、そう思った。やっぱり、自分叶えたい
夢は“世界一のVtuber”だ。もちろん月に追いついて、一緒に3Dライブをしたいと
いう気持ちもあるけれど、自分自身が、今、楽しくてしょうがないのだ。
“楽しい”という配信の感情を高ぶらせながら、花鈴はPCの電源を切り、スマホの
NYAINで「お疲れ様でした!」とメッセージを送り、スマホの電源も切る。
すでに夕飯もお風呂も歯磨きも済ませているので、寝巻きに着替え、部屋の電気を
消して、ベッドへ横になる。窓からは月光が射しているため部屋は暗くない。
――明日は、どんなワクワクがあるんだろう。
そう思いながら、花鈴は目を閉じ、感情を落ち着かせ、深い眠りへと沈んで行った。
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