『通勤』 14
オールマイティー司書さまは、所長さんとともに、わが図書館に二人しかいない、図書館庁の正規職員である。
しかも、今の所長さんが、ノンキャリなのに対して、本来、かなりのキャリアである。
しかし、一旦、本庁の事務次官で退職したあと、志願して、再雇用され、オールマイティー司書さまになった。
ぼくとは、事実上別居しているが、夜は、よく我が家に来て、テレビをみたり、ぼくの用意したお弁当を食べて行く。
彼女の場合は、通勤は火星の幹部職用の、リムジン宇宙バスで、通勤する。
それはもう、立派な宇宙バスである。
バスのなかに、レストランや、シャワーがあり、座席は木星の衛星ツアーのファーストクラスを上回るらしい。
はっきり言って、贅沢である。
ぼくは、賛成できないから、いつも、改善要求の署名に協力する。
司書は、ぼくと、同じアルバイトのアマンダがいる。
なぜ、その上に、屋上屋を架すみたいに、オールマイティー司書さまがいるのか。
実は、オールマイティー司書さまは、太陽系の出先図書館すべての司書のボスなのだ。
金星図書館から、冥王星図書館まで、すべての、である。
地球ではなく、火星にいるのは、銀河連盟の意向らしい。
それには、なにか、陰謀めいたなにかを感じるが、よくわかっていない。
まあ、そんなのが、そばにいるのは、いささか厄介でもあるし、いざというときには、役に立つかもと言う、淡い期待もなくはないが、あまり個人的なことには、深入りしたくもない。
それで、ロボット警官さんふたりと、所長、ぼくは、向き合って座ることになった。
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