11. 営み

いろいろなことがあった

いろいろなことがあったが こうしてここへ戻ってこられた

それは素晴らしいことだ


眺望がひどく不確かなものになり

枕に頭をあずけてぼんやりと思い描いてみる未来からも

確固とした希望や期待が失われてしまった

そこには「安心」と書かれた道標などなく

安寧として身を置くことのできる休憩所ももはやないのだ


焼けつくような痛み 息苦しさ

言葉の断片だらけで まともに鎖を繋ぐことなどできやしない

圧迫 恐怖 焦燥 鬱屈

書くことができない 書きたくもない


しかし私はなんとかして希望を取り戻さなければならなかった

なんとかして次の一歩を踏み出さなくてはならなかった

確証などないのだ その徴は示されてなどいないのだ

理由などない希望や期待を奮い立たせなければならないのだ

理由などなくても、

   (いや、もしかすると理由などないからこそそれは素晴らしいのかも)

理由のない希望や期待こそ私達がつかまえ、つかみ、すがり、抱きしめ、

身を委ねるべきものなのだ

私はそれを今、どうにか取り戻そうとしている


それがはじまりの刻から、この世界の人々が行なってきた営みだったに違いない

理由のない希望の積み重ね 生活や歴史の紡ぎ方

ここへ戻ってきたらには 胸襟を開いて

もしかすると感傷的に過ぎるかもしれないが

あらためて率直になろう

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