8. 自信
自信をつけるというのは生きていく上でとても大切なことではあるが
みっともなく自信がつきすぎてしまうというのもまた困りものだと
最近とくにそう思うようになった
若き天才が天狗になってしまって、だなんてよくある話をしたいわけじゃなくて
どう表現したらよいものかと困ってしまうような平凡至極な人間が
自信に自信を重ね、さらに自信、自信をもって自信をつけて
むやみやたらに自信に自信を重ねてしまうと 果たしてどうなってしまうのかという
そういう話をしたい
私は人後に落ちない、俺は人後に落ちない、自分は人後に落ちないのだと、
つまり自分は少なくとも平均以上の人間として毎日の仕事を
満足にやってのけているのだと やってのけられるのだと
それが可能なのだと すなわち不可能ではなく 能力があるのだと
そう確信を持って 実感を持って 認識して いちいち確認するような人間は
途端に涼しげな顔になるだろうし、 途端に無関心な表情をまとうようになる
一種の無関心なのか 一種の鈍感なのか それまで絶えざる内省が座を占めていた
その頭の中に もう何も入っていないかのよう
自動的に与えられる地位や責任
(彼自身はその責任なるものを過小評価もするだろうし過大評価もするだろう)
が、彼の放埒や無分別、無意識の軽視や蔑視に拍車をかける
「仕方がない」が口癖になって 自分の仕事のしやすさにしか
関心がなくなるだろう
悪事とも言えないような悪事ならいくらでもやってのけ
決まり切った通り一遍の言葉しか口にできないのに
何か価値あるものを生み出しているかのような そんなつもりになる
私達が普段は気づかないような そんなささいな非人間性
とてもそんな風には見えない冷酷
悪というものには大小があり様々な形があると思うが
こういった悪の形もあるんだと この場を借りて示したい
これ以上細かく描写したりはしない 何故ならそんな人間を私は
じっくりと観察したこともなければ
闇雲に批判する権利もありはしないからだ
もしかすると自分だってそういう人間の一人かもしれないのに
あまりにも長々と書きすぎたが
悪のようには見えない いや実際に悪とは言えない 明らかにこれは善だという
そんなことも私には悪に見える
そんな自然の御技
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