外科用イメージ装置

 一般の人でこの装置を知っている人はほとんどいない。

 なぜかというと手術中に使用するから。

 英語のCに似てることからCアームとも呼ばれるこの装置は、X線を発生する部分とそれを画像にする部分だけのシンプルな装置。

 撮影もできるが、できた画像がきれいでないので主に透視で使われる。

 いろいろな手術で使われるが、自分が使う場面は整形外科手術。

 整形外科の手術はいわば大工仕事。

 折れた骨をきれいにくっつけ、ネジやワイヤー、鋼線で固定する。

 きれいに整復できているか、差し込んだネジが有効な場所に入っているか、鋼線の長さが適正などを透視で見る。

 ただ、この装置、結構やっかい。

 なぜなら装置の構造上、映し出された画像がかなり拡大する。

 拡大すると視野が狭い、ほんの数ミリアームを動かすだけで異なる位置が映し出される。

「透視お願いしまーす。」

 術中、整形医師に言われ透視ボタンを入れると、想像した位置とはるかに違った場所が映し出される。

 あれ?

 必死になってアームを動かし正しい場所を探す。時には完全に見失うこともある。

「ちゃんと、映してくださいよー」

 術中医師に言われることもしばしば…

 いや、それは、わかってるんだけど…と心の中で言いながら探す。

 手首の手術では、透視ボタンを押すと手首が見えない。必死に探しやっと見つけてホッとする。

「すいませーん。それ、僕の手首でーす。」

 整形医師が言う。

 これ、技師あるある?でもないか。


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