第575話 魔法学校第一期生募集(立て札)


神官や聖騎士候補、幹部や幹部候補生は最低限の魔力による身体強化ができるように訓練した


最低限の力がないと困るかもしれないし、本人たちの希望もあってのことだ


信徒の中でも希望者はどんどん学んでいっているがやはり外部の人間にも鍛えてもらいたい



誕生日の次の日、予定通り外部の人間を招き入れることにする



「ネットで告知するととんでもないことになるので勘弁してください」と何人かに言われたし、立て札を城の前に設置してもらうだけだ


『誓約書』ももう少し詳しく書いてもらうことになった


結局チョコで苦しむ人間はいるし魔法学校の入学には死亡しても責任はレアナー教に責任は問いませんよというものだ


ここで治療する人がいる以上、死ぬ可能性は低いはずだけどあれるぎーといういうもので一瞬で死ぬ可能性だってある


そして将来に魔法技術をむやみに拡散させないための『同意書』や『隷属処置』なども追加した


ここで学んだ人がマフィアという賊達に、人々の安寧を脅かす人達に技術を教えるようになるかもしれない


いつかは誰かが何らかの方法で拡散するかもしれないけど、それはすぐじゃなくて良い


いきなり暴力的な勢力が増えるようなことはしたくはない


魔法で縛ってしまえばここで学んだ人が大切な誰かを人質に取られたりしても安全かも知れない



城の外に立て札は以前スパイの人達を石化して牢獄に入れる前にしたことがある


外に立て札を立てても誰も引き取りに来なかったし流石にこれで一気に人が来ることはないと思っていた、少なくとも数日はかかると思っていた



しかし、予想に反して魔法学校第一期生は決まった。



パーティで酒を飲みまくってフラフラだったフランスのデザイナーとデザイナーの付き人達、レアナー教を見守るアメリカ人のジェームズさん御一行、各国から来ていて残っていた人達、そしていつでも恋愛イベントを楽しみにしている毎日山に登ってくる若者たち・・彼らで予定数を埋め尽くした


入学式は先だというのに、レアナー城で全員待っているというし、昼には少し教えることにしよう


対霊系の魔法や治癒魔法とは行かないまでも単純な浄化もしくは清浄化の魔法だけでも覚えていってくれると良いんだけど・・どれぐらいかかるかな?



「ところでレアナーさま」


<なんですぅ>


「僕の服、用意させたのレアナー様でしょ」


<ぎくり>


「着ませんからね?」



用意されていたのはいま着ているメイド服よりも短いスカートのメイド服や女性向けの学校水着、ランドセル、うさみみ、ドレス・・・


向こうのレアナー教では当たり前だけどこちらでは流石にやってほしくはない


ムキムキの中年であるガレティレだってレアナー様によって女性の獣人用の肌を晒しまくってるドレスを着たりしてたけど他の神様の信徒はあれを見るなり吐いたり「これだからレアナー教は・・・」と言われていた



<むぅぅうう>


「たまに、たまにだけですよ?」



久しぶりに女物を着たし神官服を出してすぐに着替える


寝てる僕を撮影していた黒葉もベッドの横でよく寝てたので僕のつけてた猫耳をつけて水性ペンでヒゲを描く



「ん・・・ん・・・・・・」



くすぐったいのか、起きるかもと思ったけどなんとか起きなかった



スマートフォーンでパシャリと撮って瑠夏ママに送信しておく、うむ


プレゼントでダリアからもらった[カジンの捕縛布]の新型も慣らさないといけない


これまでとは少し違う金属を使っている新型だ


硬くてなかなかに動かしにくい



城を見て回ると相当酔っているのか・・皆酷いな


酒樽を抱いて寝てるのはいいけど汚れた雑巾が頭にかかってたりネクタイを頭に巻いてる人もいる


相当な量のお酒を飲んでいたのだろう、空気がどことなく酒臭い



「駄目な大人たちだ」


<しかたないですぅ>



鎧だけの死霊騎士たちがオロオロしてるから掛け布団を出して渡しておいた


それと彼ら用に浄化済みの魔獣の魔石と魔力の籠もったお酒も渡しておく


とーさんたちが神官たちと飲めるぐらいには回復してるのは良いことかな?


『お酒は苦しい人生を少し楽にする効果がある』って向こうの世界で聞いていたし、たまには良いのかもしれない


レアナー教では安心して自分をさらけ出す部分もあるからお酒がよく効いてるのかもしれ・・なんだこれ?


ホワイトボードに『聖下につけてもらいたい装備選手権』とある


候補は猫耳、ウサミミ、風呂上がりのタオル(それのみ)、白いシャツと短パンと虫取り網と虫かご、おしゃぶり、尻尾、乗馬用のムチ、体操服、胸元を開けて首にリボン、スモッグ、コート、ナース服(※ミニスカ)、パンダの着ぐるみパジャマ、全身エナメル、包帯(それのみ)、服は何でも良いから白の靴下と艶のある革靴、へそが見えれば何でも良い、コックスーツ・・・


周りで転がってる信徒たちはいつもこんな事を考えているのだろうか・・・・・もはや何でもありな気がする


もしかしたらこれ、レアナー様も参加してたのか?



「おはようございます・・こちらのお酒は美味しいですね」


「おはようエゼル、お酒まだ飲む?」



エゼルはまだお酒を飲んでいた


と言うより何かをもちゃもちゃ食べていた



「いえ、昨日たくさんいただきましたし」


「そっか」



枝豆だ、少し塩かかってて美味しいよね


エゼルは残さずに食べる人だから宴会料理の数々を食べていってるみたいだ


エゼルの周りには大量の酒瓶と空いたお皿が積まれている



「こっちの世界で少しやることがあるんだけどエゼルにお願いしても良い?」


「何でしょうか?」



こんなにお祝いしてくれるなら、向こうの世界でも一応お酒とかもっていった方が喜ばれるかもしれない


『すぐ近くの隣国で戦争してる』ってのは結構ストレスになると思うしね



「向こうの世界に送り届けるからお酒もっていってくれない?」


「祝い事ですしね、くれぐれも一人で向こうの世界には行かないようにしてください」


「うん、あ、ニロンも連れてって」



ニロンは一人にすると僕とセーちゃんとミルミミスとヨーコぐらいしか止めることが出来ない


いや、ヨーコは無理かな?相性が悪い


放ったらかしにすると外に出ていってナンパしまくりかねない、獣人なんて珍しいから捕まりかねないのに



「勿論です、一度向こうの情勢も気になりますしね・・ですができればヨウスケ殿、出来得る限り御身のお側にいさせてください」



膝をついて拳を床について頭を下げてくるエゼル


エゼルはいつもこうだ


少し世間知らずなところはあるけど清廉潔白で騎士のような生き方をしている



「わかった、いつもありがとうね」


「いえ、私の方こそあの地獄から救い出していただいて本当に感謝しています」



エゼルはあの地下にダリア達と捕まっていた、それを助けに行ったことを恩に感じてくれている


僕としてはそういうつもりで助けたわけじゃないし、自分の生き方をしてもらいたいが「これが私の生き方ですよ」と言って聞いてくれない



僕もお腹すいてたし大量に余ってる料理を食べていく


変身を覚えてから物凄い食べれるようになったしどんどん食べる


冷めてるけど食べ物に変わりないし向こうのご飯と比べると何でも美味しい、エゼルと近況を話したりしながらどんどん片付けていく


そのうち飲まなかった信徒たちが飲んで駄目になってる大人たちをどうにかしてくれたしエゼルとフィルとニロンを向こうに【転移】で送って大量の料理とお酒を出して後は任せた


ダリアはこっちではるねーちゃんとグーグー寝てたからそのままだ、後で送ろう



入学式の予定日はまだ先だというのに既に説明を待って帰ろうとしない人達のもとに行くとしよう

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