第498話 アメリカでの治療
飛んで戻ると準備ができていた
まずはVIPの人達が山の方に集めてくれているらしいので移動する
レアナー教の治療も偉い人は特別に扱っている
理由は彼らが居ると、彼らも彼らの周りの人も危険にさらされるからだ
向こうの世界でも貴族が一般人にならぶと一般人が貴族によって危険だし、貴族が襲われたら一般人も貴族も危険だ
だから仕方がない
「スマートフォーンの人だー」
スマートフォーンを使っていると見たことのある顔の人達が何人も出てきた
この世界で有名な人達なんだろう
何人もがとんでもない量のお金を渡してきて・・それだけで数時間かかった
「こちら、オリバー、オリバー・ディアス、アメリカ軍人で紹介したかったんだ」
「よろしくお願いします」
「彼と、彼の妻を癒やしてくれるかな?」
「彼ら次第です」
レアナー教のしんとになるか?
○はい いいえ
レアナー教にきめられたお金をきふするか?
○はい いいえ
ちりょうこういによってなおらないばあいでもきふはかえってきません、りょうしょうしますか?
○はい いいえ
こんご、レアナー教に金せんあるいはほうしかつどうをしつづけ、レアナーさまにいのることをたましいにちかえますか?
はい いいえ
チェックシート、英語で書かれたものと僕にも読める日本語で作られたものがある
全部○をつけていれば先に治療できていたが最後の部分に丸がついてない
それより僕はもう少し漢字が読めるのけど?
「最後のチェックが付いていないけど?」
「俺の妻が治れば今後の人生を捧げても良い、治らないのならこれには同意できない」
「貴方の人生は貴方のものです、治すなら本人の同意が必要です」
さっと顔が青くなったオリバー
他の患者さんは皆ちゃんと話せるし意識のある人だった
「もう、時間がないんだ、頼む!俺の妻にはもう時間がないんだ!!!」
詳しく聞いてみると銃を使った新年の儀式というものがあり、僕の【清浄化】のように空に向かって銃を発砲するらしい
・・・・・今日僕に向かって撃ってきた人はそうじゃない・・・よね?
オリバーの妻さんはその中の一発がお腹の大事な臓器を貫いて、何度も手術したが瀕死らしい
「もう、何度も、命の賭けを、手術をしたんだ・・・頼む、頼むよ」
「すいません、魔法を使うには本人の同意が必要です・・それさえできれば僕はすぐにでも治癒魔法を使うと約束します」
「起こせるかね?」
「短時間なら・・・」
ダートは医者に尋ねていたが起こせはするらしい
「どうしますか?」
「・・・・頼む」
起きた女性にケイシーが説明してくれる
ディアス夫人は明らかに具合が悪そうで、酸素マスクをつけたまま朦朧としている
旦那さんは取り乱していてとにかくサインするようにいっているが通じなかった
ペンを持つのも大変そうだったのでケイシーはその辺にあったテープでペンを右手に固めた
本人と魔法で精神的に会話してもいいけど慣れてないとパニックを起こすかもしれないし最悪気絶する
本人の意思で、本人がどうするかを決めないといけない
お金はすでにオリバーが持ってきている
あとは理解してサインを書くという意思表示か自分で言葉で伝えても良い
わずか数分だけど、きっと彼女にとって命がけの数分だろう
サインが終わって、確認する
「妻を、よろしくお願いします」
「うん」
ちゃんと治癒の魔法でしっかりと治した
「・・・・奇跡だ」
「貴方、身体が軽いわ」
「ありがとうございます、神よ、感謝します」
<どやぁ>
泣いて抱きしめあっている二人
そっと皆で病室を出ようとしたのだけどレアナー様がニマニマと見ているので無言で摘んで頭に載せて部屋を出る、お医者さんだけは仕事があるのか居心地が悪そうだけど残っていた
僕も名前は知らないけど見たことのある人たちだしきっと普通の会場に来たら彼らで騒動が起きていたのかもしれないな
他にも何人か来たから治し、次の一般向けの会場に向かった
ダートが作ってくれた会場には人がうごめいている・・何千、いや、何万人いるだろうか?
ここがどこかは分からないが数え切れないほどに人がいる
会場の様子をケイシーにスマートフォーンで見せてもらって、安全のために飛んでいくことにした
銃というのはまっすぐ目に飛ぶ、ダートと一緒に車で行くと撃たれたら地上の患者に当たりかねない
「その、司教様は大丈夫?」
「なにが?」
「MPとか魔力とか足りてるのかなって」
「うん、全然大丈夫、ありがとう」
普通の神官では不可能だろう
一般神官でも腕を生やすのにはじわじわと何日をかけないといけないし、腕を生やして奇跡だと言われてる神官だっている
高位神官や高位聖騎士がニョキッと生やしてるのが異常なのだ
魔力に限界があるからそうやすやすとできるものでもない
空から会場まで飛んでいくとやはり銃で狙われ、レアナー様が彼らを固めた
話すまでもなく、詐欺を働こうとしている人間や睡眠薬入りの飲み物を渡そうとしてきた人も居るそうな・・何千人も一瞬で思考を覗いて動けなくするなんて・・さすがレアナー様である
大きくなったレアナー様と目が合った
<もっと敬ってくれても良いんですぅ>
「はいはい、後で美味しいもの食べよーね」
<早く終わらせるですぅ!>
「いや丁寧に対処しましょうね」
<はーい>
大きな会場で、ベッドごと運び込まれている人もいる
不安と懐疑の目が僕を貫く
「<レアナー教洋介です!レアナー教に入りませんか!?偽物じゃないかとよく言われますが本物です!!>」
杖をまっすぐ上に立てて【清浄化】を力強く放つ
雲を貫通し、光の粒が舞い落ちてくる
「「「「「オ・・・・オォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」」」」」
猜疑の視線はなくなり、喜んでくれてることがわかる
多分偽物にこれは出来ないだろう
後からお金をごまかしてきたり、これぞ正義だと石を投げてきた人もいたけど無視してどんどん人を癒やしていく
ダートもステファニーとケイシーも手伝ってくれていたが治癒の結果暴れる人が増えたので会場から連れ出されていた
「ファー♪・・・ファー♪・・・・・・・ファアアアア!!!!!!」
「チケチケチケチケチケチケ!!」
「342、343、344、345,、、、、345、346」
「ヒュ!」「カキーン!!」「セカンッ!!!」「バーン!!」「オーライオラオグウェッ!!?」
いつもと同じように、治った人はかなり奇行に走る
全員がそうというわけではないが、会場の至る所で大暴れしている
少女がファーと絶叫し、おじいさんが鳥のマネなのか奇声を上げて走り回る、逆立ち腕立てを続けている人もいれば道具もないのに口で声を出してまるでそこにボールがあるかのように野球をしている人が居て・・・あ、タックル食らってる、もう一回治療かな?
流石に何人か暴力的な奇行をする人がいるから拘束に奔走してもらう
大の大人の力で子供にタックルしたら危ないしね
他にも大の大人が団結して、戦車ひっくり返らしたり・・・
駄目!人間をボールにしてサッカーしちゃ駄目だって!!?
・・・・・結局深夜まで治療して、打ち切った
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