第449話 レアナー教モンスターズ


城に帰ると商売と何を持っていくかの話になった


何を仕入れて、何を買って、何を売るのか?


とりあえず20万個ほどソーラー式センサーライトを注文した


城を降りた場所にある元じいちゃんの畑、今はきゅうりハウスが存在する


当然スパイはやってくるものなので囲まれた山の至る所にセンサーライトを設置している


もはや常に明るくなっていて、忍び込みようがない


もちろんこれだけで防犯をしているわけではない



「発光するチップの消費電力が   、耐久    と長寿      ッテリーも容量が   安価にな   ソーラーパネルの効率も      えっとわかります?」


「わかりやすく」



色々説明されたけどびっくりするぐらい耳に入ってこない


陸斗の話では電池と電球とソーラーパネル、これらがとても進歩していてずっと使える絶対に便利なやつらしい


城の周りでも使ってるがボタンひとつで自動的に夜になれば光ったり、人が通ると光る


ダメな奴はすぐ壊れるかもしれないが良いやつは何年も使える


ホームセンターで買うのではなくオリジナル商品として作らせてしまえばいいと業者価格で一個500円から1000円ほどだ


外食で1食、食べる程度で人の命の安全が買えるこれはとても素晴らしいことだと思う


数種類作ってもらったのはセンサーに引っかからない存在がいたりすることもあるから感度の違うセンサーを使い、ソーラーパネルを別の場所に設置できるコードで繋ぐちょっと別の形のものだ


市販で買うと両方倍以上高いらしいし外国の工場には元スパイの人達を派遣して製造を監視してもらう



これには僕は大賛成した



夜、暗ければ通り魔や賊が一般人を狙いやすい


ならば明るくするだけでも犯罪の発生は減る


この世界でもそういうデータは出ているそうだ


向こうの世界で使えるかは夜のうちに試して使えた・・だったら十分売れるはずだ


畑の獣も見えなければ倒せないが見えさえすれば狩人がなんとかするだろうしね


狩りで食料自給率ってのも上がるだろう



清潔なシャツと清潔な下着、後はとにかく食料だ


これまでも各国の信徒に頼んでコンテナにつめてもらっている


コンテナは食料を運んだ後は仮設住宅にもできるし、閉め切れば罪人を中に閉じ込められる


鍵をつければ家として使えるのは特にいい


使い込んだ古いものであればコンテナも安いし業務用のペンキを買って塗るだけでサビはマシになる、現地の人も仕事があれば安心する


空から落とせば武器にもなるのもポイントだ



「結構流行ってるんですよこういう物件」


「そうなんだ?」



コンテナを使った家や倉庫はとても人気らしい


あまり巨大に積むと刑務所みたいではあるんですけどってぼそっと言ってるの聞こえたけど・・・まぁ良いだろう


雨風がしのげて、安心して寝れるのは大事だ


詰んでいくことでお互いのコンテナで風もしのげるそうだしコンテナ自体もどんどん注文していく



「ちゃんと床材や吸音材を使えばしっかりした家になりますよ」


「だけどまずは人命優先で」


「わかってます、手の空いた信徒にも手を借りれるように声をかけるようにスケジュールを組んでおきます」


「任せた」



陸斗は頭がいい、昔からこうらしい


親がヤクザでなかったらきっと弁護士や公認会計士のようになっていたんじゃないかと他の元ヤクザたちは言う


散髪をやっていた時期もあるらしいが・・・



「どうかしましたか?」


「人は見かけによらないなーと」


「よく言われます」



人は見かけじゃない、そう思ってるわけではないのだけどこの言葉が似合うのは陸斗だと思う


見かけは金髪でチャラい、細身で、キツネみたいな印象


どう見たって信用できないヘラヘラしたチャラい男なのにすごい役に立つ


そして見たことはないが実は既婚者である



「それと、次の報告です」


「はい」


「あの・・なんと言いますか?モンスターたち?によって信徒たちが怖がっています」


「あー・・・悪い子達じゃないはずなんだけどね」



元は英霊の鎧甲冑の死霊騎士、リビングナイト、成れの果て、さ迷い人


神の加護を持ったものなんかがダンジョンとか神様の試練で死んで長い月日が経つとああなる


知性と意識が有るのか無いのか、また善のものか悪のものかもそれぞれ違う


人を助けるものもいれば人を積極的に襲うものもいる


ただ、力を蓄えて、神の身元に行けるよう、昇華を目指す存在



身体は鎧甲冑や厚手の服で包まれて中が見えない


一応揺らめくような霊体の身体は有る



国によってはアンデッド扱いされることもある


味方と思って接すれば襲いかかってくるようなものも居るから仕方がないだろう


連れてきたは良いけど彼らは彼らでこちらとは会話できないし身振り手振りも違ってなかなか馴染めないでいる


完全武装した状態だし見た目も結構いかつい


階位を上げるために冒険者を連れ込んで殺すようなものも居るし、悪神や邪神の加護を受けてダンジョンで死んだものも居るかもしれない


信徒たちも警戒して当然とも言える



それにスライムと、小さな鷹、光ってついてくるだけの精霊


いつの間にか増えていた子もいて結構可愛い



信徒も、それに彼らも困るよね意思疎通が取れないんだから


ふむ・・・



「タカくん」


ピョエー


「君は陸斗について護ってあげなさい、いいかい」


ピョエェェ!


「えっ」


<いい考えですぅ>



タカくんは茶色に金色の羽の混じった・・・多分鷹だ


鷲や別の猛禽類かもしれないけどなんとなくタカっぽく思ってその時はそうとしか思えなかったのだ


大きさは子供のタカぐらいだけど体の周りをぼやっと光らせると少し大きく見える


見た目がタカっぽいので「タカくん」と呼んだら気に入ったようでタカくんは声を高く鳴いた


すり寄ってきてとても人懐っこい


魔法も使えるみたいだし、陸斗も忙しそうだしガードについてもらおう




スライムを足元から持ち上げる



「「「・・・・・」」」



会議中の僕から皆がそっと視線を外した


よくわからない生き物だしねスライムって



「黒葉、この子お願い」


「わ、私ですか?!」


「うん」



微妙に嫌そうな顔をした黒葉だけどこのスライムについて説明する


この子は僕の魔力で生まれたスライムで簡単な神聖魔法や治癒魔法が使えることは確認した


僕よりは遅いが部位欠損を治せたことから黒葉よりも力がある


今の黒葉ならこのスライムの治癒魔法から学べることがあるだろうし、大きなローブの中に入れておけば護ってくれる


結構強いみたいだしねこのスライム


説明すると皆羨ましそうにしてきた



「この子は名前あるんですかよかったら私が」


「ポポンペレニムスカーニャハハキケール2世らしい」


「えっ?」


「ポポンペレニムスカーニャハハキケール2世・・・・僕がつけたんじゃないよ?」


「誰がつけたんですか?」



スライムに聞いてみる


ふーん



「親が付けた名前なんだって」


「へ、へー」


「大事にしてね」



どうしたら良いのかわからないといった黒葉だったがよろしくねと手を伸ばすとスライムのポポンは触手を伸ばして握手した


後の鎧騎士たちは・・どうしよう、畑の警護にいかせようかな?



康介伯父さん監修の法律の授業で言っていた


日本の法律では『魔法』は裁けないし、『動物やモンスター』も裁くことは出来ない


だから分類上アンデッドである彼らは武器を持って行動しても大丈夫・・・なはず


完全に知性は戻ったようだし、そもそも彼らは契約に縛られて悪さは出来ない




だけど・・一応敷地からは出さないようにしよう

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