第442話 うどんと領地
ここ最近、いつにも増して洋介がおかしい
誘拐されて囚われのマッチョになってからなにかおかしい
休んだりゴロゴロする時間をなにかの活動に当てようと・・仕事を探してる気がする
たしかにレアナー教には仕事も多い
毎日数千件以上来る要望
外国からの誘致や招待が山のように来る
基本的にどこにも行っていない、行くとしても吾郷さんとご飯を食べに行くぐらい
神様と治療優先ってことで周りも強くは出て来ないが仕事は減らしても減らしても増え続ける
日本政府とも一応城の前で和解して軽くテレビには映ったけどそれっきりだ
すべてが終わったら会見することになっているけどいつになることやら・・調整してる康介おじさんと吾郷さんの胃が心配である
裏で細かな取り決めを詰めているそうだけど将来にあたって問題にならないように文章化するのはやはり時間もかかる
「母上、これはどう食べるのですか?」
「器の中は全部食べれるから、熱いからそれだけ気をつけてね」
異世界の商店では何でも売る予定だけどまずは食べ物、難民の人たちに食べ物を渡して代わりに働いてもらう
こちらの世界で魔王を倒してから1年も経っていない、世界的に食糧難、その上にこの戦争だ
人間飢えていると争うのは当然だし、まずはお腹いっぱいにならないといけない
元奴隷の難民には敵意の残るものも居るしまだまだ荒れているから領民の息子たちに管理してもらう
洋介は奴隷たちを金で集めている
助けた奴隷を引き取るので一時的に全員連れてきて、お礼はするからと神様を通じて決めさせた
無償で取り上げようとすれば貴族はそれを隠すし、彼らは殺されてしまうかもしれない
勿論全ての奴隷は必ずこちらに来るかはわからない・・ただ神様に伝えた話だし守られると思いたい
鶴の一声、いや神の一声だ
奴隷の皆さんは神官さん達によって解放されている人も多いが神官の数が足りていないのかまだ解放されていない人も多い
戦地で彼らを解放できる人員はいるが非戦闘地域であるここのほうが神官も来やすい
それで・・また・・・・人が増える
治安は悪化しているそうだが関羽のような子供達が居るので大きな問題は起きていない
彼らも洋介から魔力が届くそうで日本の聖騎士部以上に動ける
腰の曲がったおばあちゃんが腰の曲がったまま杖で賊になろうとしていた解放奴隷の皆さんをボコボコにしていたし・・
それに数が多い割にはまだまだ治安は安定している、生まれついての奴隷や使い潰されそうだった奴隷たちはよく働いてくれて好意的だ
食料は日本のレアナー教のお金があればどうとでもなると思う
こちらの世界には少ない食料だが地球では飽食の時代だ、日に何十トン何百トンと食品が捨てられている
金銭の問題も地球ではこちらのことに興味津々、きっとその辺の石だってすごい金額になるはずだ
あまり大々的に声を上げるときっと「支援するから利権よこせ」って言ってくるのは目に見えているができれば断りたい
無理そうだったらそうするかもしれないけど今はやってみてから考えよう
・・・・・そもそも洋介とセーしか異世界への転移は出来ないのに交易したいというのは無理じゃないかな?
「はいお待ち、熱いから気をつけなよ」
「はい!」
人のできることは僅かなものだ
大量にあったうどんを茹でて器に入れていく
流石に私でもこんな簡単な料理は失敗しない
乾麺は山のようにあるし水も魔法で出せる
出汁も昆布にカツオに合わせ出汁もあるが、味噌や中華出汁、鶏ガラにコンソメ・・基本的に何でもうどんは美味しくできる
洋介も洋介で陸斗さんの入れ知恵か日持ちする加工食品を工場から何十トンも格安で引き取っている
他にも古米から古古米になりそうな米もあるし、小麦粉やとうもろこし、そばといった基本的な主食もたくさんある
毎年作物は収穫されてもそれを保管する冷蔵庫のキャパシティは決まっているんだからそこに目をつけたそうだけど・・・陸斗さんは発想が違うね
「すいません、ここで食べ物がいただけると聞いたのですが・・・せめて子どもたちだけでも」
「全員分あるから居るだけ連れてきな」
「ありがとうございます!ありがとうございます!!」
「凄い安いけどようす・・聖下がお金がなかったら働いてでいいからねって簡単な作業で食べれるからね」
「わかりました!神に感謝を!」
歳をとったおばあちゃん、服からして奴隷か難民だろうな
洋介は空を飛んで荒野とザウスキアに向かって清浄化の魔法を使っている
野球ドームほどありそうな光の柱、もともとこの領地もあの魔法で荒野に染み込んだ瘴気を消し去って住めるようにしたそうだ
この土地は浄化されても地面に穴が空きやすいから魔法と人力で穴が開く前提で土地を整地する
お金がない人はそこで畑を耕したりその土地にまた家を建てられれば将来の収益になるそうな・・・その辺はよくわからない
とにかく難民や奴隷、解放奴隷は放置すれば治安の悪化につながる
元は敵国人、彼らからすれば生活の根本を覆したのは連合軍で、私達でもあるのだろう
いきなり衣・食・住があるわけでもないし悪さに手を染めるのは目に見えている
住む場所を確保し、働くうちに彼らの本質を見極めることができる
彼らも食べることができて生き繋げられる
使える土地が増えればやれることも増えるだろうし、洋介の領地だ、開発と開拓が進むのはいいことだろう
一石で二鳥も三鳥も狙っている
更に食事目的でここに集まってる軍人さんや商人さんには通常料金なのに飛ぶように売れる
異世界の料理が珍しいんだろうな
「食材を売って欲しいのですが」
「ここはそういう売り方をしてるわけではないです」
「うちはレアナー教国でも手広く商売しておりまして、この味ならもっと利益を見込めますぞ?」
「利益のためだけにやってるわけじゃないんで」
利益があるとなればこういうのも湧いてくるよなぁ・・こういう人達に売っても良いかもしれないけどめんどくさいなぁ
それにこのおっさん、視線が私の胸元で欲望が透けて見える
ここまで欲望を隠しきれない奴ならそろそろ言ってくるぞ
「・・・・・娘、こんなところで飯焚きするよりも儂のところに妾として来るといい、贅沢させてやるぞ」
「母上、なにかありましたかな?」
「この異世界人がなにか言ってきてるんだけどよくわからないから聞いてくれるかな?関羽」
「承りました、話しは向こうで聞こう」
「いい話をしていてイタダダダダダダ!!!??」
ため息が出てしまう
これで何人目だろうか?
私が作って教えてたからきっと周りの子供達も作れるようになっただろう
ちょっと休憩で空を見上げる
洋介、空から打ちまくっているのけど楽しそうだ
洋介も色々考えて疲れてるだろうし少しおまけしてあげようかな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます