第431話 精霊と鷹


はるねーちゃんたちが連れてきた騎士とスライム


両方何を言ってるかはまったくわからないが膝をついてこちらを見る鎧達、それとヨーコの足元でプルプルしているスライム



敵意はまったくない



ここのダンジョンは自然発生したものではなく魔王を捕獲するために使われた神器である、僕が捕まえられたものだ


捕まえた魔王の力を吸ってそのダンジョンは創られ、魔王の配下を捕まえるためのものだったはずだ


だからダンジョンは僕の魔力や加護の影響もあってか一定以上進むと敵よりも味方が増えるそうだ・・・なにそれ?



ダンジョンは不思議な部分が多い、わずかビルの10階程進んだ先に何百キロも先の海の孤島に出ることだってある


だけど他所のダンジョンで死んだ英雄達の成れの果てである彼らも出来立てのダンジョンなのにどうやって来たのか・・・


僕がいなくなった以上、僕の力はダンジョンに流れていかない


今は味方となる彼らもこの先どうなるかわからない


最悪の場合、彼らが敵として中から出てくることもあり得る


元は英雄であるため、敵対した場合はとても強い場合だってある


一見すると鎧を着込んだただの人であるから攻撃もしにくい



うん、彼らは生前に加護を得たか加護を得る直前だったぐらいには強かったのだろう


敵対しないためにも対処しないといけない、それに僕の魔力と相性はいいはずだし、できるなら助けになってもらおう



「契約したいんだけど大丈夫?」


コクコク


プルプル



人の形である彼らはわかりやすいが、スライムはプルプルしているだけで全くわからない



「だれかロムとミーキュ呼んできて、いたらビーツも」


「わかりました」



ロム師匠はザウスキアの国境の向こうでアンデッドの大群に備えているようだ


ミーキュは道の整地で出払っていてビーツがいた



「お呼びでしょうか?」


「彼らを見てくれる?」


「ゴルルルル」


「わかりました・・・・」



ビーツの後ろにルールが今にも噛むんじゃないかって距離で待機している


仲が悪いのかもしれない



ビーツは物凄い怖い顔をしているが子供好きで、人の加護を覗くことが出来る加護を持っているので彼らを見てもらう


問題ないとわかったものから契約していく



「<魔力を対価に働いてもらう、この契約は貴殿が昇華するか僕が死ぬまで続く>」



軽い契約だしこのあたりでいいだろう



「<昇華した際は敵対せず、契約の満了を互いに知らせることとする>」



膝を折っている彼らは昇華するためにダンジョンを彷徨う



「<僕は貴殿を尊重し、昇華できないようにはしないことを約束する>」



死ぬことも出来ずモンスターや人を狩って昇華する為に積み重ね続ける



「<契約を締結するのであれば僕の手を取って>」



騎士には騎士のこだわりがあると思うし、もっと丁寧に話せればいいんだけどそこは仕方ない


いつの時代、何処で死んだ方なのかは皆違うだろうし・・



重ねられた手は僕を怪我させないようにか、とても優しいものであった





その後ダンジョンに入って好意的な精霊や鷹、それと変なスライムたちとも契約できるだけしていった


中位精霊や魔法の使える鷹も居る


うん、こんなのが敵に回ってたらと思うとゾッとするね


ダンジョンの入口は領地のまんなかにあるし・・・・


彼らは賢いし、僕の魔力から生まれた存在だと考えたら戦いにくい


増え続けている魔力が減るのは歓迎したいしね


帰ったらとーさんたちに「捨ててきなさい」って言われないか怖いな









今度こそお父様と会える!!


遠目でも空にボクのお父様が居ることがわかった


アンデッドが国中で氾濫しているしザウスキアの国境線で待っていた


もともとザウスキアとレアナー教国の間では死の荒野があるだけあって国境線に沿って頑丈な壁が築き上げられている


荒野側は距離が離れると地面に穴が空くが連合軍や助けられた奴隷たちを避難させるには十分、壁があるのならアンデッド共をボクの魔法で一掃だって出来る


領地よりもここのほうが被害を減らすことが出来るだろうと来た



お父様に会える可能性は減るが日替わりでこの役目を交代している


次にお父様が異世界から帰って来たらすぐに帰る、会えないことはないだろう


防衛の役目は何人かでやっているし、伝えたいこともある


更にこの国境の砦だけではなく、いくつかの都市に向かって【清浄化】を放っていることもあるし、アンデッドに対する備えは一時的に離れても問題ないだろう


今度こそ会える!!





・・・・・・そう思っていたのだけど















「さっき帰りましたよ?」


「なんでさっ!!!??」

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