第382話 完全降伏宣言


危ないかもしれないよと何度も注意してから関羽とエシャロットに見つけた鍛冶場を好きに使ってもらう


ドワーフの鍛冶場を見たことがあるけどあんな危険な場所はなかなかない


もしも向こう基準の鍛冶場だったら凄い危ないしこの城ならなおのこと危ないかもしれない・・関羽が居るのでどうせなので確かめてもらうことにした


手伝いを申し出てくれた信徒さん達、研ぎ師さんや刀鍛冶だった人に製鉄業の人にも十分危険かもしれないと伝えておく


それと領地のドワーフのカルカス達も連れてきた



「儂、鍛冶より宝飾品作るほうが得意なんじゃが・・」


「報酬にお酒、後であげるけど?」


「はよう連れて行っとくれ!!」



カルカスは老齢のドワーフだが鶏ガラのように細いからそう名前をつけた


ご飯を食べずにお酒だけを飲み続けて痩せた大馬鹿者である


それが目立ったのか酒の神に見初められて加護を授かって酒からも栄養を取れるようになったので見た目よりもよっぽど力強い


それと飲めば飲むほど頭が冴えるそうで領地にいなくてはならない頼りになる人材だ、向こうだとお酒自体が珍しいんだけど



カルカスを筆頭に何人か日本の城に連れて行って、かわりに領地に食料を出しておく


この領地はいざという時の逃げ場になるしね


明日には吾郷から返事が来るのだけど、僕は一応世界を回って食料や金属、衣類なんかを補充しておく



お金なんて持っていても使えないのなら意味がないしね



各国の信徒たちに集めてもらっていたのでお金を払って【収納】していく


応援メッセージなんかももらったりうちの国に来てなんて言われて本当に嬉しいがいろんなことを考えると日本が良いのだ


政治が宗教から基本的に離れていて、国民に戦いの意識もあまりない


全国民に徴兵がされる国であれば『戦いの意識』が共通の認識として誰にでもある


更にそういった経験は悪党にも植え付けられていたりするからなおのこと危ない


きっと僕たちは他の国でもやっていけるだろうけど政治家に無理やり従わされたり、銃を持って襲われたり、邪教徒扱いされて宗教戦争に陥る可能性は十分にある



だからこのまま日本が良いのだ



しんがぽーるってところとかふぃんらんどってところも結構おすすめらしいけどね


世界各国で数年食べられるだけの食料や武器を【収納】にいれた


城に戻るとヨーコに「ふふっそんなに心配しなくても大丈夫ですわ」とニヤつきながら言われた





3日の期限の日、吾郷が城の前にまで来た





「これまでの議員の酷い暴走を止められずにすいませんでした、日本政府を代表して謝罪します」



他の議員のほぼ全員が来て謝罪の列ができてレアナー様に90度の礼をしていったし条件もほぼこちらの想定通り以上にのんでもらえた


たまに土下座で謝る人もいた


何人かの議員がヨーコを見るとビクついていたけど・・・なにかしたのかな?


少し不思議に思う


だってそのままだったら完全に無理って聞いていたし、下手すれば戦争になるかもって覚悟していたのにね



「わたくし は 何もしてませんわ」


「ふーん」



意味深なヨーコだけどなにかしたのかな?


安藤達を引き渡し、彼らの処分などはあくまで向こうに任せることとした


もう彼らには犯行の気持ちは全く無いようでそれだけは安心である


城を名残惜しそうに見ている安藤から謎に愛情を感じる・・・??



最後に日本の国旗とレアナー教の旗の前で僕と吾郷は握手した



「これで和解で宜しいでしょうか?急なことだったのでまだ履行できていないものもありますが誠実に対応させていただきます」


「<はい、今度遊びに来ると良いですぅ>」


「これからはこういうことがないようにしてもらいたいものです」



苦笑する吾郷、僕も流石に全国放送されるから何度も練習したのだ


握手し拍手に包まれてこの一連の騒動は表向き幕を閉じることとなった



交渉が終わって吾郷達は帰った・・・その後、色々テレビで記者会見していた吾郷だけど大丈夫かな?



メディアは・・・・予想外にあまり吾郷を叩かなかった



そういえばテレビ局や新聞社のえらい人は先程牢獄から出したばかりだ


吾郷を叩いて更にレアナー教をいつものように叩けば次は自分が危ないとでも思ったのかもしれない


家についたと連絡があった吾郷を【転移】で迎えに行って城に招待した

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