第265話 ■子持ち領主代理候補


「 で、なんで寝てるのよ?」


「少し疲れちゃって・・・」


「まぁ気持ちはわかるけど」


「いやその後が酷くて・・・・・・はぁ、どこまで知ってる?」



奈美は酷く疲れてげっそりしている


話を聞くとエシャロットという子が私達の子供であるといった後にお父様に申し訳ないと自殺しようとして止めたりしてやっと落ち着いたところらしい






「俺はお父様に顔向けできないしこのまま死ぬことにするから後のことは任せた」


「何やってんの!!?」


「だって、俺、取り返しの付かないことをして・・・」


「いいから!元杉神官の子供なら私の子供でしょう!?ね?ね?気にしないからあ、でもババア扱いはムカツ・・あぁ良いってばもう!!?」



エシャロットは私のムチで拘束してそれから兵士が魔法で止めてくれた



それだけでも一大事なのにその続きがあった



牢屋から出るとワーキャーと道がうまるほどに人がいた


それも熱烈にもてはやされた



「「「「「キャー!」」」」」

「「「「「イラッシャーマセー!!!」」」」」

「「「「「ヨコーソ!!クロバ様ー!!!」」」」」


「「「「「<レアナー様に感謝を!世を照らし世を浄化する光を!!>」」」」」



杖を下に向けて【清浄化】を一斉に放ち、踊り子が現れ、道を進む私が現実放棄して小さな子に手を振れば泣いて気絶までして・・・私は王族かと


絶叫までしてくれてお出迎えをされたが心はまだ小市民の私だ、ムリムリムリムリ


しかも領主の館に行くと明らかに魔力の質が高い人達が出迎えてくれた、こう、雰囲気がある



「領主代理の○○です」「■■■■ですわ!お母様のご機嫌いかがでしょうか!?」「△△△△△・△△△、よろしくな母ちゃん!」



もう名前を覚えるのは無理だ、濃い人達なのに全く記憶にない


もうこの段階でいっぱいいっぱいだった


エシャロットちゃんが元杉神官の実子かもと言う話を牢屋で考えた段階でもういっぱいいっぱいだった


難民を拾って、癒やして、人助けは素晴らしいと思うけど、言えよ、言ってよぉ



「りょ、領主?」


「はい、お父様、元杉洋介の子である私達がこの領地を運営しております・・・あの、大丈夫ですか?」


「大丈夫じゃないっす」


「お座り下さいませ!」


「いやっす」



どう見ても玉座だ、そこに座れと?


周りから「なんと謙虚な方なのだ」とか「絵姿と印象が違いますな」とか聞こえてくる


そもそも領主やってたの?勇者じゃなくて??聞いてないんですけど


子供もエシャロットちゃんだけじゃない???康介おじさんより年上の人にお母様言われたんだけど・・・



くらっとした



元杉神官なにやってるんだ・・・・・



「領主代理として領主代理の座を黒葉様にお譲りしたく・・・」


「むりっす」


「具合が悪そうよ!早く部屋に案内しましょう!」「そうね!どけ男ども!!」



入った部屋には私の絵があった、あー婚姻式の時のドレスだー、肌面積が更に広くなってるー、ははー


とにかくベッドで寝ることになって、エシャロットちゃんが来た


ベッドの横のイスで気不味そうにこちらを見ている



「手、大丈夫?」


「大丈夫です、お母様」


「ババアでいいよ、もうちょっといっぱいいっぱいでさ・・・」


「そんな、お母様に無礼など・・・本当にすいませんでした」


「もう気にしないでいいから」


「それでいっぱいいっぱいとは?」


「・・・・・うん、元杉神官が拐われたり、レアナー様が敵だったり、アフリカの方に行ったり、怖いお兄さんいたり、壊れてそうな神器で飛んで怖い思いしてさ、うん、何言ってるかわからないけど聞いてね」


「はい」



ほんと何やってるんだろう


私はただの大学生だった


たった1人の親友が酷い目にあって、それをどうにかしたかっただけだ


ヤクザの組長の家に行って、その組長達を私がこき使うことになって、いつの間にか元杉神官に惹かれていて


レアナー教で働いて・・・・いろいろあっていまここに居る



エシャロットちゃんを無視して考え込んでしまった


何を話してたんだっけ



「それで、それで起きたらあの荒野でさ」


「・・・・・はい」



いや、違うな


荒野だからいっぱいいっぱいな訳では無い


少し気に病んだようなエシャロットちゃんに申し訳ない


ダメだな私、気が動転すると余計なことを言ってしまう



「子供が居るとか、領地があるとか、そういうのも初めて聞いてさ、それであんなに派手に歓待されて驚いちゃってさ」


「お父様から聞いてなかったんですか?」


「うん、元杉神官ってさ、秘密にしてることは絶対に言わないでしょ?」


「・・・・・そうなんですかね?」


「そうなんだよ、私もヨーコと結婚しているなんて知らなかったし、お義父さん、栄介お義父さんや詩乃お義母さんが生き返るなんて聞いてもいなかった、向こうの世界では常識の掛け算が出来ないなんてのも知らなかったんだ」


「お父様はそういうところありますよね、味は感じるみたいだけどどんなに不味くても「よくわからないしいいじゃん」ってこの領地を恐怖のどん底に陥れたことがあります」


「なにそれ詳しく」



色々話してみて。エシャロットの話は私の知らない元杉神官のことを知れてよかった・・・けどこれほんとに元杉神官のことなのか?


なんかすごい聖人してる


エシャロットの視点では凄い人なんだろうね


私は治癒してもらってないからか、そういうフィルター抜きで好きなんだけどね


うん、元杉神官は優しいよね、優しいけどさ・・・・・今頃何してるんだろう


ちょっと頭がオーバーヒートしてるのがわかる


元杉神官の体調をよくするためにも名前をつけたから魔法的にか加護的に私の娘になるのかな?


私も婚約してからいくらでも魔力が使えるようになったが魔力を使うことで元杉神官のためになってたんだ


この子の名前はエシャロット、異世界の言葉が書かれた辞典の単語らしい



そういえばさっき聞き流したけどヴァン、カルカス、ビエールって人が挨拶してきたはず



サシル様の加護を授かった私は意味がわかった


ヴァンはワイン、カルカスは鶏がら、ビエールはビール、フランス語だ


うーむ・・・あれ?子供って何人居るんだ???


ヤ ヴ ァ い


聞きたいような、聞きたくないような気もする



「ね、ねぇ」


「何でしょうか?」


「も、元杉神官の子供って何人居るの?」


「えっと、じゅう・・」



あ、それぐらいなんだ



「2万人ぐらいですね、でもこの~~~~、*******△△  ****** *********・・・・・・・・」



あれ何言ってるかわかんないや?しっかりしてよサシル様、HAHAHA



・・・・・・・・子ども手当もらったらすごそうダナー

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