第244話 レアナービル警察突入
目標は4箇所、正確には5箇所だ
レアナービル、レアナービルの物資を運んでいる倉庫、山の上の城、元杉宅、春日井宅だ
私が行くのはレアナービル、最も注目を集められる場所だ
後は元杉の祖父たちの家にも強制捜査を行いたかったのだけれども大義名分がない
まぁそこに旨味もなさそうなのでそれは良い
ビルと城についてはいつでも『宗教団体による不明瞭な活動の調査』というカードもある
しかし今回はもっと別の手で行く予定だ
元が工場である倉庫には関連の届け出がないため楽勝だ
そもそもが怪しげの新興宗教団体であり、外国政府の高官も出入りしていたこともあって日本政府としても真偽を尋ねられることが多い
普段は危険団体の可能性もあるのにもかかわらず設備への内見すら許されない
と言うかあのバリアー機能は何なんだ?海外の新技術でも使ってるのか?
金になりそうな技術だ
魔法だ魔法だという騙されたバカどもがいるが魔法なんぞあるわけがなかろうに
忌々しい吾郷の『レアナー教への非接触要請』など知ったことか
むしろここでこの団体の失点をこの私が見つけることで与党の失点と私の活躍を世間に知らしめられる
だからこそこうやって私自ら動いている
超法規的に吾郷達が宗教法人として許されるように動いたのもイカれている
あのまま外国からの問い合わせに疲弊していれば良いものを・・・
宗教法人には必ず責任を取るべき役員がいる
それが大学生である春日井遥、黒葉奈美、そして元杉康介だ
資料によると元杉康介は役員の就任は拒否して元杉洋介を役員に据えたかったそうだがこういう責任者を選出する時に欠かせない前提がある
未成年者、成年被後見人や被保佐人、そして違法行為をして一定以上の刑罰を受けた場合は役員として不適格である
まず元杉洋介はそもそも未成年であるし、戸籍の回復の後、精神鑑定などを受けていない点から責任能力の有無もわからない
未成年の段階で論外だ
日本でまともな活動をする上でこの辺りは常識なのだが・・・
役員に元ヤクザの組長を据えようとした経緯も調査資料に書かれているのを見るに誰がどう見ても危険な団体だろう
レアナービルの構成員も元ヤクザが多い点なども考慮すれば白かグレーかどころではない、真っ黒だ
だからこそこうやって私がこの悪事を暴くことで私がこの国の、いや、騙されている人間が海外にも多いことからこの世界の英雄となれよう
神輿となっている未成年の彼の刑罰は・・これから決まるだろう、周りに担ぎ上げられて可哀想にな
体中にあんな傷跡までつけられて、きっと大人たちに振り回されているだけなんだろう
捜査の名分は簡単に仕立てられた
信徒の家から爆薬になりうる肥料がでてきた点から緊急性の高い強制捜査は妥当である
レアナー教には農家の信徒もいる、農家には肥料がある、肥料があれば爆弾も作れる
そして農家の人は収穫物を人に上げたりする、レアナー教に彼らがなにかの包みを持っていく写真はバッチリ取れている
こうしてあっさり危険性を世間にもアピールできる材料を確保できたわけだ
捜査令状を取るのに1週間も手続きを待つ必要はない
ビルには警察が突入して捜査している
抵抗は少なく怒鳴り合い程度で殴り合いには発展せず、大人しく元ヤクザ共は連行された
もっと抵抗してくれたほうが良い絵になるだろうに
少し離れた位置で待機する
これぞ格言にあるように君子危うきに近寄らずだ
目標のうち倉庫と元杉宅、春日井宅はまともに捜査ができているようだ
情報を見るに多少の抵抗はあったし逮捕者はでたもののそろそろカタがつきそうだ
こちらよりも城に信徒が集結してどうしようも無くなっているらしい
機が高ぶってしまう、成功の前兆か
車を出て警察の責任者に声をかける
「ご苦労さま、後はこっちで行うんで」
「気をつけて下さい、本当に良かったんでしょうか・・・」
私も車を降りて馴染みの警察官に声をかけてビルの前にまで行く
「ふざけんな―!」
「横暴よ!なんの権利があってこんなことするのよ!!」
「レアナー教になんの恨みがあるんだ!!」
「神罰にあたってしまえ!!!」
捕まった人間や周りの人間から怒号が飛び交っている
さ、流石に雰囲気あるな
これが負け犬の雄叫びか
何度か足を運んだこのビル、見えないバリアーによってこの先進めなくなったり回数を重ねていくうちに気絶したりもした
入り口で、目の前には何も前にはないのに緊張してしまう
タンッ
それが普通ですよと言わんばかりにその一歩は問題なく前に進めた
もちろん私の内部視察は連絡したテレビクルーに撮影してもらっている
私の栄華の第一歩となるだろう
後はうちの事務所の人間と協力してくれる外部の団体で中を調べるだけだ
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