第238話 発射!!!(二度目)


なんとか加護は授かれたようですわね・・・


本来、加護を授かるのは並大抵のことではないのです


神の気まぐれであったり、ルールのように生物としての格を上げることで進化して階位が上がる際に加護を授かるのはまだまし


加護を与える神の試練を受けて絶えきれずに体の一部を喪失したり、死に至る者もいます


春日井も何もなければ良いのですが・・・



それよりも問題はここがレアナー神聖教国の最奥の聖域であるということだ



わたくしの見立てでは敵はここの主、ミルミミスと私がここから出て戦ったとしても精兵によって取り押さえられるのが予想できてしまいます


ミルミミスは進化したてで弱体化している


かつての巨大な風貌も威圧もない



別の国の聖域であればまだ良かった、ここに来てしまうなんて


いえ、洋介はレアナー様と縁深いですし、仕方ないですわ


外のイカレ神官どもは敵である可能性も高いが味方もいる可能性もあります


愛に真剣な神官は貴族が相手でも嫌がる新郎新婦がいれば結婚式をぶち壊しに来ます


だからちゃんと婚約しているわたくしたちのためならうまくいけば味方になってくれるかも・・・・





・・・





・・・・・・





・・・・・・・・・・・レアナー教徒の思考を考えるなんて無理ですわ!!!??




すんなり通してくれる可能性もある、そうではない可能性もある


もちろんそうではない可能性のほうが高い


逃げるだけなら闇に溶けられるヴェーヴァの加護を得ているわたくしだけであればできるかもしれない、空を飛べるミルミミスもだ


姉妹であるサシル様の加護を強く受けている黒葉も無下には扱われない



もちろん春日井も元杉の婚約を発表した存在である


辺境とは言え分神か本体の写し身であったか本体のレアナー様がこちらの世界で婚約を発表した春日井だ


この国の中では安全なはずだ



狂信的なレアナー教徒のことです


ここにいるのが侵入者ではなく「春日井達」であるなんて知られれば騎士団が味方になる可能性もあります


その方が安全?


いえ安全であったとしてもそれは元杉を取り返せるというわけではないですし、むしろ敵となってしまえばもう身動きが出来なくなります



<道は3つある、わかるかね?>



わたくしに加護を授けてくれたヴェーヴァ様が何かを示してくれている



「3つ?あの扉を出ていく以外に有りますの?」




この聖域はドアが1つだけの部屋だ


天井は光って見えないが外につながっているとは限らないし神域に行ってしまうなど危険すぎる


ヴェーヴァ様の残りの2つの道がわかりませんわ



<1つは神域経由で出ること、これは危険だからやめた方がいい>


「でしょうね」


<もうひとつは・・・・・




「いぃぃやぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!??おうちかえるぅぅぅぅぅううううううううふぐぅっ!!?」



神域までの途中、空を飛ぶのが大好きな神さまの砲台に行けました



なにか強い存在を探し、空を飛ぶ神器



使うと光の鳥となって空を飛ぶことのできるという素晴らしい神器です


黒葉は日本で「もうあんな人間大砲ぜったいにいや」といっていましたがこれしかありません


ミルミミスを探しに行ったときに使った日本の城のものよりも明らかに古くみえる


苔が生えていて、今にも壊れてしまいそうです


他の神様も大丈夫と言っているし神器はボロく見えていることもありますが使えるなんて普通のこと



バギンっ!!ギギッギギ



・・・・・・・・だから・・・きっと・・・・・大丈夫な・・・・・・はず



移動はレアナー様にも見られていますから急がないといけないのに黒葉が子供のように泣き叫んだので一発いれて眠らせました


わたくしの魔法が効かないなんてこの子の加護も強いのでしょう


これだからレアナー教徒は・・・



「ミルミミス、意識がない黒葉をおねがいしますわ」


「うん」


「ルール、春日井を頼みましたわ」


「コルルルる・・ウン・・・ルルル」


「これからどこに行くの?」


「この城から抜けて離れますわこちらの国家の状況はわかりませんがここから出ても捕まるだけかもしれませんし」



ルールも自身の系譜であるミャーゴルの神となにやら話していたみたいです


なにか助言を頂いているのかしら?


春日井はルールに乗った


意識のない黒葉をミルミミスに載せて私も乗る


空を飛ぶのにミルミミスであれば落ちないように魔法を使ってくれますがルールではそれが危うい、ただミルミミスはちゅうがたけんほどの大きさ、かなり無理やりです


黒葉は大きいですわね



神様はあまり人の世のことを話しません


おしゃべりな神も時にはいますが流石にこれだけの神々の中では私達に話すことはできないのかも知れません


守護神や加護神はこっそり何かを教えてくれることはある、質問に答えてもらえることも



だけど人の生死を含めて神はなかなか干渉しない



神の計り知れぬ御心故であるのか、規則でもあるのか・・


でも流石に今にも壊れそうな神器で死ぬことはないはず・・・です



神は加護を授けた方に味方します


こうしている間にも外ではレアナー教徒が集まっているかもしれません


だから急いでこの場を離れないと・・!



この神器、日本の城のものよりも動きが悪くてとても怖い


ミルミミスに飛んでいってもらおうとも考えたのだけどここは出口のない室内


壁の中でこの魔道具を使う事になりました



パニックになった黒葉を黙らせましたが私もかなり不安です


神様に聞くとこの壁は貫通するから大丈夫だそうですが・・・信じてますわよ?信じてますからね??







バシュンッ!!!!!







なんとか起動し・・私たちは壁を貫通し空を無事に




ガインッ!!!!



城を包む障壁か結界に大きく当たってしまいました


飛べたはずなのに建物から出てすぐに止められてしまいました!?


景色は国の真ん中、ちらりと城の窓から奴が見える



しかしこれは神器です



たった1人の力で止められるものではありませんし、即席の障壁はすでに綻びが出始め、きしみをあげている



ピキキキキキキキ!!!シュン!!!!!



抜けられた!!硬い障壁を砕いて飛べました


これで体勢を立て直せます、後は元杉奪還に動くだけ・・!


後ろの春日井とルールは!?



「大丈夫ですか!!」


「・・・・・・」



外の景色がかわる中、春日井がふらりと落ちた


ぶつかった衝撃で春日井に意識がないのか落ちていった


流れる視界の中それに続くルール、私も飛び降りて春日井を追う




「ミルミミス!黒葉を任せますわ!!!」


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