第227話 死ぬわけじゃない
真莉愛には説教した
あんなにも強く説教したのは初めてだ
まさか1人の人間に対してあんなにも逆恨みから攻撃できるなんて思っても見なかった
優しくて気遣いのできる真莉愛が・・いつからあんなにもなってしまったんだろうか?
真莉愛のためにも心を鬼にして怒ったのだけど真莉愛には通じたかな?
昔の真莉愛を思い出して今でも学園祭での痴態が信じられない
大学の真莉愛の同期である佐久間くんの内定取り消しも部下と通じていたようだ
私が真莉愛のためにもなると少しずつ会社の人間に顔をつないでいた
私になにかあったときのためにも少しずつ信頼できる部下を紹介していたのが悪かった
佐久間くんには本当に悪いことをしてしまった
慰謝料として100万円ほど謝り倒してなんとか渡した
その際に聞いてみると大学でも私の威を借って色々と大きな顔をしていたようだ
私の築いてきた功績や権威が真莉愛のためになるのなら少しぐらいなら構わない
一般的には良くはないことかもしれないがそれによって真莉愛の人生が豊かになるのなら悪くない
私の名前によって娘の身も安全になるかもしれないしな
だけどそれは真莉愛の幸福のためであって他人を不幸にするためでは断じてない
私の名前をそんな事に使うなんて言語道断だ
「行ってらっしゃい、身体に気をつけるんだよ」
「・・・・・」
「気をつけてな、真莉愛」
「そっちこそ、浮気しないでよね」
フランスに半年留学すると聞いたときは少し意味が分からなかったが大学に掛け合って頼み込んだものだから取りやめはできず、真莉愛は説教もそこそこに行ってしまった
マリアの留学先はフランスだ
「海外留学の経験」というものは人生にとってプラスになる
日本人というものは日本という国の中で生きることが多く、日本の中での経験した者しかいないものが多い
海外の経験は私見を広めた人であるという1つの証明となる
どんな活動かはともかく・・・
きっと真莉愛の思うような都会ではない
フランスと言っても朗らかな田舎だ
受け入れ先の家は地方の名士で日本からの受入実績も多く、評価も高い
大きなお屋敷の中に海外からの留学生の住む家がありそこで共同生活をする
何度か受け入れ先の方とビデオ通話したが娘の名前が真莉愛というと何故か喜んでいた
いい名前だよな、うむ
私はよく「死ぬわけじゃない」という言葉を使う
なにかの活動やチャレンジをするときやなにか失敗してしまっても死ぬわけじゃないという気概だ
会社でこれ言ったら凄い怒られた、ブラック企業みたいじゃないかって
その日はしなくてもいい飛び込み営業に行ったものが複数いたものだから反省したものだ
海外という土地は危険だ、何がおきるかわからない
日本でも転ければ人は死んでしまうかもしれない
そういう危険は海外でも同じだがそれとは別に様々な危険がある
危険な場所もあれば危険な集団もいる、現地の住民でも危険に巻き込まれることがある
現地の勝手を知らない、危機管理の全くできてない日本人が行くことのなんと危険なことか
真莉愛の希望もあるし、危険や困難と対峙してこそ人はぐっと成長することもある
「どうか無事で帰ってきてくれ」
どうか成長して真人間になって帰ってきてくれ
そう思うのだが口からは別の言葉が出てしまった
日本での春日井くんからの訴えなどの問題も山積みのままだ
どうしようもない娘だ
だけど娘なんだ
将来をより良くしてやりたいし期待してしまう
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