第180話 銃弾


「洋介ぇーーーーー!!!??」



カチッ‥ココッ!



弾が後ろにいかないように障壁を張れてよかった


パラパラと服から落ちた弾丸、だいたい僕の服と体表の防御魔法に当たってよかった


当たったほっぺの辺りに触れるが傷一つない



「ば、化け物!!グェ?!!」

「ゲキャッ!?」


「私の夫になにするんですの!!」



ヨーコが2人をボコボコにして転がした、とどめ刺さなくていいから


もう敵はいないだろう



この程度の弾丸では僕の体に張られた防御魔法の二層も超えることは出来ない


魚の鱗のように僕の体表を覆うこの防御魔法は普段から張っている魔法の一つだ


一瞬だけ強い攻撃を防ぐことが出来る、何かが当たったらちょっと驚く程度だ


基本的に弱い魔法だけど魔力を込めると一時的にだが強くこの身を守れる


撃たれるとわかっている銃なんて全く危なくも怖くもない



服の隙間から背中に入った銃弾を服の裾を揺らして落とす



それにこの神官服は僕の魔力に耐えられてるほどの強い力を持った魔道具だ


衝撃を吸収し、防御力も高い、銃弾なんて貫通するわけがない



服装はなんでも良いレアナー教でもこの服は大事なものだ


高位神官であればあるほど邪教徒には狙われやすくなるが高位神官であることを周囲に示すということも大切である


特別製のこれは何より魔力の通りが良いし使い勝手が良い


僕は使い捨てにするぐらいいっぱい持ってるけど希少な素材を使われている



「洋介!あんた大丈夫!!?怪我は!!???」


「ないよ、大丈夫だよ、はるねーちゃん」



体中触られて調べられたが怪我はない



「あんった!む ち ゃ す る ん じ ゃ な い わ よ ! ! ! ! ! 」


「アイダダダ!!!??」



頭を掴まれたが反射的にはるねーちゃんの手を払った


頭が割れるかと思った



「痛いよねーちゃん!!ねーちゃんは僕の防御魔法貫通するんだから頭割れるよ!!?」


「・・・・・」


「いひゃいいひゃいいひゃい!」



笑顔で無言のまま近付いてきたねーちゃん、ほっぺをつねられたまま引っ張り回された


レアナー教では夫婦や愛する相手との喧嘩は推奨されている


夫婦喧嘩は愛の形の一種であり、それは妨げるべきではない


僕の体表に常時張っている防御魔法も魔力をこめて銃弾を無効化した魔法層もねーちゃんや黒葉、ヨーコには無効化される



もしかしたらとーさんやかーさん相手でも無効化されるかな?家族だし



ちゃんと防御魔法を使えば竹村のナイフも六太のパンチもボブのパンチも、銃だってダメージはない


魔力がこもっている武器なら防御魔法に干渉してダメージを負うこともある


オークとの戦いではオーク自体も強かったけどあの武器さえなかったらと何度思ったことか



「あ、あの、助けてくれてありがとうございます」



スパイの持っていた銃でも自分を的に既に試していたし、はるねーちゃんたちにかけた防御魔法でも銃弾は防げる


くるっと回されて背中を押されたので僕の偽物の前に立つ



「抵抗する気は?」


「ねぇ、です」



偽物のことは放置しておく


ナイフを向けてきた時も腰が引けていたし戦意は全く感じられない


信徒候補たちの前に出る


もともとレアナー教に用があった人達だ、信徒になる可能性が高い


人々はしゃがんだり怯えたりしているのが見て取れる



「僕は洋介!レアナー教の神官をやってます!!レアナー教を騙った人達がいるのを見たので止めに来ました!レアナー教に何かを求めに来ている人がいるなら話を聞くから並ぶように!!それとこちらがレアナー様だから!」


「よろしくですぅ」



いつもの10倍は魔力を注いだだろうか、普通の人の3倍は大きく顕現してもらい壇上の僕の上に浮いてもらった


これでこの結界内はレアナー様の領域だ



レアナー様の力が及ぶ範囲はレアナー様の見える範囲やレアナー様の力がこめられた魔法の範囲だ


そのままレアナー様の手の届く範囲と言い換えても良いかもしれない



テレビ局の人間が悪口を言っても天罰がいかないのはそういう理由がある


こういう偽物がいるのもレアナー様の力が届いていないのだから仕方ない


あ、民衆の中の怯えた女性の1人が明らかに変な格好で固まった、悪党の仲間だったか



こいつらから金を集め、支払ってしまった全員にお金をかえす



結界の外でずっと動画を撮っていた黒葉を結界内に呼び寄せて対応してもらう


外には警察らしき人間も集まって結界をどんどん叩いたりスマートフォーンで撮っているものもいるが先に用事を終わらせてしまおう


神様の目があるためか使った金銭については不正はなかったようだ


怪我人や病人はレアナー様と黒葉に任せて僕はこの賊どもと持ち物を集めて車に詰め込んでレアナー城に【転移】する



「コルルルルル」


「よしよし、この中身任せて良い?」



頭を縦にふるルールに引き渡した、他の信徒もいたのでいつものように対処されるだろう


ちょっと新たな牢獄エリアの様子も見たいがレアナー様のところに戻る



広場に車一台余ったけど仕方ない


最近増えてきた魔力でもう一往復できそうだけど余裕をもたせるのに不味いポーションを飲むのは嫌だ、あれ飲むと最悪喉に穴があいてしまう

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