―目的を果たした少年―

第128話 ただいまー


レアナービルまで飛んでいくと酷い人だかりができていた


もうこの辺は車も見なくなったなぁ・・


屋上に着くとレアナー様が飛んできた、いつもの小さなレアナー様だ



<おかえりなさいですぅ>


「ただいまレアナー様」


<おとーさんとおかーさんにやっと会えたのは喜ばしいことですぅ>


「レアナー様たちのおかげです、ありがとうございます、向こうのレアナー様とも話したんですけどね」


<本体はお菓子のことでうるさいのですぅ>


「なるほど」



下を見るとさらに病人が多くなっていた


・・・・・ふむふむ



「元杉さん、警察と近隣からやんわりとした、本当にやんわりとした苦情が来ています」


「対応できない数が来ていて回しきれません」


「もう無理でさぁ」



徳田や田辺から報告が来た


ここは神様さえいれば一応回せる、だけど、うん、そうだな



「レアナー様どうせなので一日休みましょう」


<わかりましたぁ!>



建物内の患者と重病患者たちを治し終わってドアを閉める


待合に使ってる部屋は死屍累々としている、うん、すごいなこれ


僕の姿を見て一斉に声を上げられるが何語かわからない人もいる


手伝いで来てくれている人達にお土産をあげつつ、外の重症患者の中でも3日もたない人だけ入れることにした



「私話せる?話せるみたいですから対応します」


「私も!」


「わたくしは御義母様についていきますわ」


「私はようちゃんのお仕事手伝うわね~」


「な、ならわたくしもっ!」



黒葉はサシル様の加護を授かった


聞いたことのない言葉でもほんの少しなら意味がわかるしそのうち言語は完全に理解できるようになるだろう


はるねーちゃんもかーさんも、ついでにヨーコも手伝ってくれるらしい


かーさん大丈夫かな?ヨーコがいるなら安心・・かな?



なんかスタッフも外国人が増えているし竹村が凄い悪人面からまともに見える


スキンヘッドに入れ墨の入った男だったはずなのに・・お坊さんとかっぽい、優しそうだ


結婚式場で話した三上さんもいた、黒葉が結婚式場について話してついてきた人だ



「いやー・・心の底からお礼を言われるってことに喜びを感じてきまして」


「私は休職中ですので、それに黒葉さんに言われた日本で唯一の式場ってのにも興味がありまして、詳しくお話を聞かせていただいても?」



僕がいなくなってからこちらも色々あったらしい


働く人の時間や休む人の時間を決めて順番に働いているらしい、いいね


マスコミは前よりも騒いでるらしい、会見を開いてほしいという要望もきている


ここでのボランティアも日本の医者だけじゃなくて世界中から来ている、中には怪しい人もいて僕の部屋やサーバーを調べようとしている人もいる


何人か捕まった後はレアナー様の神罰を受けて叩き出す、民衆に写メをとられるのもよくある光景になっているらしい


邪教徒か?いやなんだっけスパイ?間諜だったっけ?


ここにある魔道具でなくなって困るのレアナー様の神像だけど悪意を持った人間は近づけば神罰で動けなくなるし大丈夫なはず



患者は僕がいることからどんどん治していった


日が落ちる前には重症患者はなんとかなった、治すべき人や信徒になる人を分けていてくれて助かった



大半の患者を終わり「何日か休みます」と紙を貼る


悲鳴が上がるがそれは仕方ない


誰も出入りできないように【結界】をビルにかけておく



康介伯父さんと話してたようにみんなを集めて【転移】する


【転移】はやっぱり魔力の消費が桁違いだな



「大丈夫ですの?」


「ありがと」



ふらついたところをヨーコに支えられた


夕焼けに畑と山、オレンジ色の空と変わらない森に変わらない山、変わらない小川が懐かしい


鍬で耕してる麦わら帽子の人に話しかける



「ただいまー」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る