第120話 全力


何がどうなったのかわからなかったけど、はるねーちゃんが黒葉を助けてくれた?



「やっちゃいなさい」



そう言われても僕も結構限界だったし【治癒】魔法を追加でかけ、2人にも強化魔法をかけるが、弾かれた?


はるねーちゃんの胸にかけてるネックレス、レアナー教の神殿ごとに1つしか無い防御魔法のかけられたものだ


これで僕に好きに戦えっていうんだろう、神殿長がいるのか?これで後ろの心配は殆どいらない



「はるねーちゃん達は下がってて!絶対に!」



前に飛び出し杖の魔力剣と聖剣で斬りかかる



ガガッジュワッ!!!



少し肉を切れた、が


だめだな


僕は黒葉がいて戦いにくかったがこのオークも同じだったんだ



「それがお前の限界か!!ヌゥン!!!!」



左手の槍だけではなく右手には盾も出された


このオーク、僕よりの技量が桁違いな上に、聖剣も魔力剣も有効じゃない



・・・・・決定打が与えられない!



【魔力障壁】を張って盾で殴られるのを防ぐ



怪我がなかなか治らない、この槍で傷つけられると出血が止まりにくい


オークが槍を持つ腕を後ろに、穂先をはるねーちゃん達にむけ、投擲の体制に入った!?



「グフフ!もう人質もいらぬほどに俺は進化した!お前の枷を外してやろう!!」



まずいっ!


聖剣を捨て、めいいっぱいはるねーちゃんたちの前に【魔力障壁】をだして盾を取り出して前に出る



ドシュッ!!



どうにか槍が後ろのはるねーちゃんたちに当たるのは止められたが槍は僕の太ももを貫通した



すぐに盾を離して両手持ちの聖剣で槍を切り落とそうとしたが切るよりも先にオークの手に槍が戻った



「うぐっ」



血が噴水のように吹き出る、皮一枚で繋がってるような太もも、ポッカリと穴が空いた


大丈夫すぐに治る


僕は前に出てオークに斬りかかった



斬って斬られて、潰され、暗器を関節にねじ込む


こいつの耐久力も凄い、だけど、僕も慣れている



「グヌゥ!?」



痛みに反応するなんてまだまだだ


怖いのは魔法や魔道具による縫い付けだ


決闘が始まったときはよりもこのオークは大きくなっている


ハイオークの変異種ぐらいだったのに今はオークジェネラル、下手したらオークキングだ



足が掴まれて振り回される、地面に叩きつけられる前に掴まれた足を切り落として残る足で輝くオークの鎧の胸を踏みしめ一回転し、首筋に一太刀入れる



「これがっ!勇者か!!?」



更に鎧を蹴って上に飛ぶ、弓と矢を取り出し3本同時に放つ


盾に阻まれ槍が投げられる


2本は弾かれたが一本は脛の当たりに刺さっている



「グァアアアアアア!!?」



大岩をオークに落として槍を阻む


落ちる前には足は治る



オークの盾に阻まれて岩は当たらなかったが足が縫い付けられている以上弾ける方向は決まっている


後ろからレイピアを鎧の隙間から差し込んで下がる


槍の薙ぎ払いが僕の腰を切る



「グフフフフ!やるなぁ!!だがこんなものかぁっ!!!!」


「だよねぇ、何時間だって付き合うよ、さっさと死んでよ」


「できるものならやってみるがいい!!」



単純な力勝負では強化した僕でも少し負ける、もっと大きな相手だって殴り飛ばせるのになかなか決め手がない



そもそも僕は前で戦う加護じゃない、身体能力を無理やり引き上げて対抗してるだけだ


本職の前衛相手に、それも戦神の加護持ち相手なんて、まともに戦っても勝ち目なんて無い


僕の全力なんてそんなものだ



だけどやるしか無い



はるねーちゃんも黒葉も助けるにはやるしか無い



僕の出血によるオークの強化よりも更にこのオークを削れればいい、ただそれだけだ



僕は何時間だって付き合うよ

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