第115話 誘拐


グルルルルゥ<こ  おい>



寝ていたルールが突然起きて外を威嚇し始めた


威嚇している方向を向けば大柄で傷だらけの神官がいた


こんなに警戒してるミャーゴルは初めて見た


ミャーゴルは初めて見る他人にはこれぐらい警戒心が強いものなのだろうか?


神官さんをとても警戒している



「ルール?どうしたの?」



その高齢な神官にケーリーリュさんが対応してくれた



「どちらの神官でしょう?」


「チーテック教、エマンスです、婚約者様を連れてくるようにと聖下の使いできました」


「なぜ?」



元杉神官が?なんだろう?


唸っていたルールだがエマンスという神官が近づいてくるとピタリと唸るのを止めた

だけど毛は逆立っているし警戒はしているみたいだ


他のミャーゴルも警戒してるようで唸っているものもいれば子供の首根っこをつかんで下がっていくものもいる



「近頃の邪教徒騒ぎでここが狙われている可能性があります、聖下は邪教徒を追っていきました」


「そう、わかったわ」


「では行きましょう」



キィンっ!!


ケーリーリュさんが神官を通したと思ったらケーリーリュさんが音もなくその神官に斬りかかった


その神官は全身に一瞬で鎧と盾を纏い、ケーリーリュさんのくねったナイフを盾で防いだ



「なぜわかった?」


「エマンスとは顔見知りでね、体付きが2周りも大きい!そしてチーテック教徒じゃない!」


「それは不覚、これだからエルぐあぁっ!!!??」



ルールがいつの間にか天井から頭に向かって男に降りかかり、頭にかじりついた

あまりの出来事にどうすれば良いのかわからない


ルールは振り飛ばされ、神官の頭が、ベロリとめくれる



「ひっ!?」


「豚か、それも加護を持った?・・・誰か!!!!魔物が紛れ込んだぞ!!!」


「余計なことを!!」



ルールとケーリーリュさんが猛然と襲いかかり、傷を負うごとに。剥けていく


緑の化け物がぐんと大きくなり、それが人間ではなく化け物だとわかった


豚のような顔、人間の見た目であったときも大きかったがそれよりも身体自体が大きく膨れ上がった



オーク、オークだ、イノシシのように少し毛深く、大きな体躯



魔法の授業で聞いていたように知性は低く動きは鈍い


そんなことはなく機敏に動き、ルールとケーリーリュさんの嵐のような攻撃をしのいでいる



「窓から逃げてください!!」


「させる、かぁ!!!!!」



突然私に向かって槍が飛んできて、ケーリーリュさんは串刺しになり、私の太ももにも槍はめり込んで・・刺さっていない?


指にはめていた護りの指輪が砕け散った


お腹に大きな槍が刺さって倒れたケーリーリュさんににじり寄る



「申し訳、ありません、逃げてください」


「ケーリーリュさん!!<レアナー様!助けてください!!ヒール」


「レアナー様!助けて!!」



血が流れていっている


治癒魔法を失敗した


だれか、助けてほしい・・!



「魔、力を込め、て」


「<レアナー様、助けてください、ヒール>」



魔力をめいいっぱい込めて槍の刺さった場所に近づけて治癒の魔力を出す、うまく動かせない・・!?


いや、ケーリーリュさんの身体ごとを治癒魔力に引きよせて回復させた


異物はあっても大丈夫らしいが両手で槍を抜いていく


誰か手伝ってくれと周りを見ると倒れた兵士に倒れたミャーゴル達


暴れるオークに立ち向かっていっているがオークは明らかに別格に強い、太刀打ちできていない


無理だ、あの男を私にはどうしようも出来ないしとにかく必死で手に力を込めて槍を抜いていく


気を失ったようでケーリーリュさんは動かない、動けない



もうちょっと、もうちょっ



強い衝撃が頭を通り過ぎた

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