第113話 遥の異世界トレーニング
毛がサラッサラで心地の良いミャーゴル
洋介のように上に乗ったりお腹に顔を埋めても文句一つ言わない
なんなら大きなミャーゴルを集めてお腹に顔を突っ込んで寝てもミャーゴルたちは喜ぶぐらいだ
「いやー、助かります、最近ちょっとこいつら機嫌悪くて・・」
「よくあることなんですか?」
「いえ、不思議と原因はわかんないんですが、聖下様方がきてくれて助かりました」
動物だしね、友達の家の猫も気まぐれだった
撫でてほしくて一定の距離まで近づいてくるのに手を伸ばしたら逃げて抗議の声を上げる
ライオンよりも大きなミャーゴルは猫とは違うかもしれないけれど
「トゥゲールさんは洋介とは親しいんですか?」
「どうですかね?私というよりもミャーゴル達を気に入ってるようです」
世間話をしながらミャーゴルと遊ぶ
私はどうやら護衛対象らしく、身分的にトゥゲールさんがついている必要があるらしい
ミャーゴルたちと走り回って遊ぼうかと思ったが外に出ると私よりも背の低い兵士がミャーゴルと組み合っていた
兵士の人は低姿勢で、相撲の組み合いのようにお互いの肩に首を載せるようにして押し合っている
「あれは何をやってるんですか?」
「訓練ですね、いい運動になりますよ」
「私もやってみたいです」
試しにやってみる
柔らかくて細くて、繊細な毛が首にあたって少しくすぐったい
私は見様見真似でミャーゴルの肩のあたりを抑え、体を低めに構えた
ミャーゴルは気負わず楽しそうにしてる
行くぞ!そう思って押して見る
力と力がぶつかり合うと思っていた、だけど力が抜けるように体が回った
あれ?
くるりと視界が空を向いた
「もう一回!」
あまりにあっさりひっくり返され、今度は全身に力を込めてみる
だがヒュルっとまたしてもひっくり返された
「もう一回!!」
またあっさりと倒され、ちょっと面白くなってきた
5回、6回、7回と太刀打ちできずに面白いぐらいに転がされる
手加減されてるのがわかる、このミャーゴルも楽しんでいるようだ
「魔力を使わないと無理じゃないかと、それに毛はしっかり掴んでも大丈夫ですよ」
「魔力?」
魔力はこちらの世界ではポピュラーな技術で誰でも少しぐらいは使えるらしい
奈美や私も洋介と婚姻してるのだから練習したらできると言われてやってみる
魔力という身体の中に流れるものを意識して使いたい部分にゴーっとしてガーッとしてギュッてしてフンガらしい
やってみるとわかりやすい
「初めは使いすぎると疲れるので気をつけてください」
「とぉーっ!」
「ゴルルゥラァッ!!???」
ミャーゴルをひっくり返してその胸に顔を埋める、楽しい!
さっきまでのお返しだ
お腹をわっしわっしと撫でくり回した
ここか!ここがええのんか!!
ルルルと気持ちよさげになくミャーゴルが可愛い
こうやるものではなく基本は力を拮抗させて押し合うトレーニングをするものであるらしい
魔力を使っての運動も面白い
何度か魔力の感覚が抜けるようで難しい、3度4度と負けたが慣れてきた
どうせなので他にもなにか出来ないかと教えてもらう
単純な身体能力の強化だが屋根の上まで飛べるし壁を蹴って忍者のように移動して見る
盾と木剣で切り合って、初めは負けていたが眼にも魔力を通してやると動きが見えて偉そうな人以外なら結構勝てるようになった
魔力はいくら使っても減らないし動くことが気持ちいい
だけど強そうな人達はフェイントや剣を弾いたり逸らすような技術を持っていてあっさりと負けてしまう
「な、なかなか筋がいいですな!不甲斐ないぞ!お前ら!!」
「どうですか?うちの騎士団に入りませんか?」
「それよりも私の嫁に!」
「いえ興味ありません」
「ばかっ聖下の婚約者でアオキチキューの方だぞ!?」
「す、すいませんでした!!」
「それよりもう一回打ち合いましょう!」
病気になってからこんなに体を動かすなんてなかったし、疲れるというよりすぅっダッダッダと身体を消費していくのが気持ちいい!
アニメや漫画の技を素振りで再現していく
一瞬で10回は切れないな、木剣が折れそうだ
地面スレスレを駆け抜けるように足を払、いたっ!?スライディングしてしまった
もっとワーっと来て、クイっ!だな
この魔力による強化はとても面白い
今までに出来なかったことができる
今ならバットでボールを切れそうだ!
・・・いや、それはないか
ガンガン練習していく
打たれるのはもちろん痛いが手加減されているし魔力を集中すれば早く治るらしい、便利だな魔力
これまでチャンバラぐらいしかしたことがなかったが技術がどんどん自分に吸収されていくのがわかってすごく楽しい
魔力もっと使いたい、海行きたい、見えてる島まで泳ぐとかやりたい
限界まで動き回って疲れ切って、プールの後の国語の授業のようにまどろみたい
身体強化をある程度できるようになってきたのでミャーゴルに鞍をつけて乗せてもらえることになった
ケーリーリュさんには止められたけどトゥゲールさんが「行っても城門の外回り回ってくるだけ」と言って私も頼み込んでなんとか行かせてもらえることとなった
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