第112話 謝罪とクレープ


黒葉がルールの声が聞こえる?


僕のように加護を得たのかな?



「でも断片的なんです、しっかりわかるわけじゃなくて」



思いつくのは獣の神様であるがここのそういう神様と黒葉が会っていたようには思えない


ルールはここにいるミャーゴルの中でもとても力が強く、精霊に近いと思う


きっとグナイと一緒に戦ってきて階位が上がったんだ


僕も一番ルールの言葉や感情は他のミャーゴルよりかはわかりやすいと思ってる


仔ミャーゴルを撫でて考える



「魔法かなにかでしょうか?」



なんだろう、魔力の質がルールと近い?


レアナー様の仕業ではない、魔道具でもない・・・・・獣の言葉が聞ける神?



もしかして



「サシル様に加護を貰わなかった?」


「・・・あ、そういえばこ、婚姻式の時にお菓子をあげてたら貰いました」


「多分それだね」



他のミャーゴルの言葉はわからないというからきっとルールは階位が高いのは間違いないだろう


僕のように嬉しいとかありがとうという感情がなんとなく伝わるわけではなく言葉で通じてるのはサシル様のおかげだろう



「身体は大丈夫?」


「大丈夫?加護を貰ったときはなんか気分が悪くて寝落ちしたぐらいで、全然大丈夫です」


「なるほど、このミャーゴル、ルールのこと見ててくれる?サシル様にお礼渡してくるから」


言語の加護は立ちくらみ程度はあっても寝たりすることはない


多分強めの加護をもらっていたから婚姻式で寝ちゃったんだろう、また何かお礼を持っていこう


悪い気分も晴れたのに獣舎を出て角を曲がるとリクーマに出くわしてしまった



「聖下!この度は聖下に我が妻が無礼を働いたと聞きました、妻を御しれぬ私の不徳、誠に!誠に申開きのしようもなく!!」


「顔を上げて、僕こそ力不足でごめんね」


「とんでもない!死者の復活などという夢物語、神に縋ったとして受け入れられぬは明白であったでしょう・・」


「旅をしてたときもよく言われててさ、慣れてるよ、それよりもリクーマ」


「はっ」



なんで僕がこんなおじいちゃんよりも歳の上の人を諭さないといけないんだろう


家族にはわかっていても、わかっているからこそ言えないことはある


この地でリクーマたちの行動をとやかく言えるものはいないんだろうな



「レアナー教の神官として言わせてもらうけど、貴方も辛いだろうが仕事へ逃げずにアリージュに向き合うべきだ、アリージュには逃げ場がない」


「はい、耳が痛いことです」


「今すぐ行くように、僕への謝罪だと思っていくと良い、それでおわりね」


「はっ、感謝します」



話したくても話せない人がいる、そうなる前に・・・・いやそこまでは言わなくてもいいよね



サシル様のところに行くといつもならすぐに神像から出てくるのに出てこない


というかちょっと目線を合わさないようにしてる?


神官を何人か呼んでクレープを目の前であげていった



「おいしー!どうしたんですか?私に気があるんですか?」


「違うから下がってもいいよ、運が良かったね」


「はーい!」



ちらりと神像を見ると微妙に横を向いているがこちらとは目を合わせない気のようだ



「あー、次のクレープで最後かもなー」


「わかりました、負けを認めます」



残り1つかもしれないクレープを切り分けて食べるとサシル様は音を上げた



「黒葉の加護はどういうことですか?」


「うわっ、パフェも美味しかったですがこれはこれで……」


「サシル様?」


「あぁ、取り上げないでください、食べたら話しますから」



僕もクレープを食べることにした


もう1つ出す、クレープはクレープで収納しているので何が何なのかいまいちわかんないし数もいくつ入ってるかわからない


出したものはほのかに茶色いパウダーがクリームにかかっている


どこかで嗅いだことのあるような?


お茶の香り?


ほうじ茶かな?クリームの甘みを別の方向に持っていってくれてとろけるほどに美味しい


面白いな



「彼女が気に入ったのと、それと、そうですね、向こうの言葉で苦労してるとレアナーに聞いてましたので」


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