第99話 婚姻式


夢のようだった


ずっと悩んでたのに全部解決できるなんて



でも遥に、元杉神官に、話せばよかったなんて言えない


話していても結果は悪くなるだけだったかもしれないしね



私のほっぺへのキスで真っ赤になってる元杉神官可愛い


唇にしても良かったかなって思ったけどまだ早いかな



「でも良くその格好選べたわね、ゲームの踊り子みたい」


「え、あ、これはこういうの多かったしこれが一番露出抑えられてて、こっちじゃこれが普通なのかなって」



そこには触れないでほしかった


たしかにちゃんと大事なところは隠してるのにお腹や太ももは全開である


遥のドレスはしっかりしたものだがおっぱいの上が丸見えである、女の私でもそこに目がいってしまうほどで恥ずかしくなる



「それを言うなら遥だって」


「私もこれが一番マトモだったのよ」


「とてもお似合いですぞ」



遥が一瞬殴ろうとして思いとどまったのがわかった


このおじいちゃん神官様、蚊も殺さないような温厚な見た目なのにめちゃくちゃしてくれる



「ほっほっほ」


「・・・・」



遥の殺気が伝わったのかわずかに距離を取ったね



「それではレアナー様も見てますしこちらへおいでくださいませ」


「えっ」


「見てたのですぅ、いやぁ3人とも可愛いのですぅ」



声の先はいつものように小さくなって照明に腰掛けてこちらを見ているレアナー様


知ってる人に見られてると思って恥ずかしさがこみ上げてきた


あとはこの神官に言われるがままに動いた


3人揃って神殿を出ると左右に神官がずらりと並んでいる


大通りの真ん中に来るときはなかった大きな壇上ができていて群衆が大勢来ている



「洋介、いい加減動きなさい」


「あぁうんはるねーちゃん」



脇に元杉神官を抱えている遥、だらんとした元杉神官を遥が起こした


寝起きのようにパチクリさせてる、可愛い



「あぁ、うん、なるほど、ついてきて」



前を行く元杉神官についていくと左右に並んだ神官が上に向けて花火のように光の柱を出してくれた


光の柱はビルで見るような太めの柱ほどだろうか


夜空を切り裂き、柱から光の粒が散ってくるのがとても綺麗だ


とても幻想的な光に吸い込まれてしまいそうだったが群衆の大歓声でハッとした


2人に一歩遅れてしまったがちゃんとついていく


ふわふわした心持ちで階段をあがるのがちょっと怖い


いつもならこんな服で人の前に出るのは恥ずかしいしありえないはずなんだけどな


階段の上に登ると人々を見下ろせる


私達の上に私達よりも少し大きなレアナー様が飛んで出てきた


とても嬉しそうだ



「みんなー!うちの洋介が婚姻を結びましたーーーー!!!!みてみてー!!!!」



言い方ァっ!!?恥ずかしい!!!


子供っぽい女神様だがいつもこうなのだろうか!?向こうならお菓子抜きにしてるところである


恥ずかしさに身が縮こまりそうだが熱狂した歓声がかき消してくれた


元杉神官がいつもの杖を取り出して・・・



巨大な光る柱が世界に立った



雲を貫通し、夜空が星空が広がる


柱からこぼれ落ちる光の粒が美しくて、これを見れただけでもこっちに来てよかったと思う



その後は微妙に美味しいような美味しくないような料理を出されたので食べる



「美味しいね」


「え、そう?奈美は」


「い、いや、お祝いなんだから思っても口に出しちゃダメだって」


「ごめん」



元杉神官は食べるものに頓着がない


こっちにいる間はこれがごちそうだったというのはわかる


話を聞くとこちらは戦争中だったし食料に回す余裕はなかったんだろうなぁ


トイレから戻ると少し高い位置に置かれた豪華な台にいつもの小さなレアナー様がいた


レアナー様の周りにも小さな神様達か光っているものがいる


あ、レアナー様においでおいでと手招きされた



「これが奈美ですぅ、みんなよろしくですぅ!さっ、どれがどうなってるか教えるです」


「よろしくな」

「酒はないのか?」

「探して見るです」



言われてみると向こうのお菓子がズラッと並んでいた


いつものレアナー様で安心だが周りには他の神様たちがいて緊張してしまう



「うまくいったみたいね、さぁどれが何なのか教えてもらえるかしら」



よってくる神様たちを押しのけてサシル様に声をかけられてとても嬉しかった


お酒にもお菓子にも詳しかったので説明していると神様たちにはとても喜ばれた



「これもいける!!」


「さいこーだわ!」



横で座っている元杉神官の収納からせっせとレアナー様がお菓子や食べ物を出している



「貴女気に入ったわ、私の加護をあげますね」


「それは貰ったのでは?」


「あれはこの土地で使えるだけのものです、私がこれからあなたに上げるのは私の特別な加護、大丈夫、負担は無いはずよ」


「そ、」


それはどういうことですか?それを言う前に頭に触られたと思ったら私の意識はなくなった



まるで二日酔いのようで気持ち悪い

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