第79話 貴方の姪はもう治せません
隣の部屋に通された
椅子はないがおえらいさん達のボディガード達がいるからどっちにせよ狭い
一段高くしただけの祭壇っぽいものがある、それとなんか空中が微かに光ってる
だがなんだろう?雑居ビルの壁の汚さが残ってるせいか現実感がありすぎる
祭壇、いや木箱の上にいるマジカルボーイはなにか威厳を感じる服を着ているが本当にまだ子供のようだ
俺が最後だったし順番とか分かんねぇ、周りのおっさん共が先に進んでいくのを見て待つ
「では汝、愛する者のためにその財を惜しむ事なく寄付し、世に蔓延る悪と戦う我らと敵対する事なく、善き行いをすると汝の魂、汝の神に誓えるか?」
「はい」
豆電球のような光から絶世の美女が僅かに見える
これが女神レアナーか、フェアリーのような小ささだ
「*****************」
なにか言ってる、が、聞き取れない、これが神の言葉か
「ではその財をその手で我が前に積み上げなさい」
「は、はい!」
あ、そういうことね、後ろにいたボディガード達が彼に一つずつトランクケースを渡していっている
「****** *********** **** *****」
「なるほど、異世界にはない電子化された株や不動産、労働力などが色々と違うということに神は興味を持っているようです」
「足りませんでしたか!??」
「いえ、純粋に興味深いと話しています、神は貴方に心暗い事が無いと見抜いています、株や不動産のすぐにかえられないものを除いてほとんどのお金を持ってきたのですね、ルールがわからないと困る、戸惑う、焦ってしまうことはありますよね、では貴方の癒やしてほしい者を思い浮かべてください」
「はい」
「では、いきます」
そういって2人と神、は消えた・・・
ざわつく会場、だがここは話してもいいのか分からない場所だ、隣りにいるアゴウと目が合う、うんうんと頷いて顔から興奮が伺いしれた
そのまま3分もしないうちにフッと彼と光が帰ってきた
そのまま1人2人と帰ってこずにアゴウの番になった
トランクケースがどんどん積み上がる
「ではお願いします」
目の前で杖を振り、光が迸る
途端に腹を抑えたアゴウ、アゴウは本人が病気だったのか………
「おぉ、これで後10年は戦えそうだ、明らかに、違う」
体をブンブン振り回し、子供のようにはしゃぐ国のトップ、あ、転けた
「興奮状態みたいですね、少し座っててください」
「手を貸そう」
「いてて、ありがとう、世界に1人しかいない魔法使いに世界で一番強いチャンピオンに手を貸してもらえるなんて、こんな機会そうそうないなぁ」
「HAHAHA!あんただってこの国のトップだろうに」
「ありがとう、次は君の番だね」
「楽しみだ」
「って言ってもボブさんはやる必要がないんでもう終わりです、あー、疲れたー」
やる、必要がない……!??
どういうことだ?まさか
「どういうことだ!?姪になにかあったのか?!!」
「え、もう治しましたけど」
「はぁっ!!!??」
「サプラーイズ!!」
怒りと困惑で頭が真っ白になって何を言われてるかわからない俺のもとに姪に妹にランディが来た
姪は走ったり出来ないはずなのに走って俺に抱きついてきた
なんだか夢のようだ
「しかし俺はまだ何も払ってねぇぞ?」
「馬鹿だなボブは、俺が払ったんだよ、どうだ?驚いたか?!」
「ランディ!?どういうことが説明しやがれ!」
ニヤついてるランディ
意味がわからず反射的に一歩前に出て一発入れたくなるのをぐっと堪えた
姪の前だ
「いやー俺もお前がマジカルボーイと接触してるなんて知らなくてさ、お前とは別に話してたんだよ、だいたいお前、俺が1日先にエコノミークラスで日本に来たのは知ってるだろ?」
「あ、あぁ」
「忘れてるのか?俺だってこの子の伯父なんだが?」
忘れてた、俺の妹はこいつの弟と結婚してたんだった
俺んちのホームパーティーが出会いだったし
こいつなら彼に対価を支払うことができるのかもしれない、家族だからな
「誰もお前の金を払うなんて言ってねぇだろう?まさか最近スマホで連絡取ってたのがマジカルボーイとは思ってもなかったぜ!HAHAHA」
なにかが胸の中でストンと落ちた気がする
「おじ様!私まだ少しだけど走れるようになったのよ!ありがとう!!」
「2人してかけっこみたいに1人しかいない大神官様とコンタクトとってんじゃないわよ、ほんと変わってないわね」
妹ともハグした
あ、だから日本に行くって言っても何も言わずに来てくれてたのか、それにしてもまさか一日違いだったとは
「まぁなんだ?俺はあんまり金持ってねーからな!持ってる金全部寄付した、代わりにうまいもんでも食わせてくれよ兄弟!」
「あぁ、わかったスシでもテンプラでもなんでも腹いっぱい食わせてやるぜ!」
今ならどんな飯でもうまく感じるだろう
どうせなら姪にうまいものを食わせてやりたい
ぴょこぴょこと狭い室内を走り回っている姪の嬉しげな笑顔を見て心底そう思う
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