第71話 ねーちゃんとデート


はるねーちゃんとまたデートすることになった



「昨日のねーちゃんはきれいだったけど今日のねーちゃんはいつものねーちゃんだね」って言うと頭を脇で締め付けられた、なんかふわりといい匂いもする


今日のねーちゃんはデニムにジャージ、それにキャップ帽と丸くて大きい茶色っぽいサングラスをしてる


いつも遊んでくれていたはるねーちゃんは短パンとシャツに持ち物は虫取り網、釣り竿、ボールであった


おねーさんではなく年下のおこちゃま風で・・・いや最後に会ってたときはまだましだったような気もする



「大人のおねーさんみたいだー」


「でしょー!ん?」



ねーちゃんに言われて僕も着替える


前に着せられた短パンとパーカーだ


ちょっと暑いというとパーカーは半袖のものを出してもらえた


どちらにしてもフードがついている



「えー」


「あんた目立ってるんだから隠れていくのよ、わかった?」


「はーい」


<スカートは履かないんですぅ?>



おばさん特製ババロアを食べてた女神様だったが食べ終わったのかな


僕も食べたかったが強制的に着替えさせられている



こういう時女神様はいろんな服を着せたがって困る<いろんな姿でこそ膨らむ愛もあるのですぅ>とか言われてもよくわからない


たまに神官が変な格好をしてきて笑わないようにするのは大変だった


ムキムキ神官がなんで兎耳にミニスカートでへそ出しだったんだ・・だからうちの教会は入りたがらない人もいるんだよ・・・


こっちにはあぁいうのはいないって信じたい



「いやです」


「それもありね」


<これはこれでかわいーのですぅ>



徳田の車で家を出ると今日はショッピングに行くようだ


大きなショッピングセンターはまるで城のようだ



歩いてる人達の笑顔がいいな、それと常に他人に警戒してないのもいい



盗みで生計を立てている人や弱者から巻き上げるような人はどこにでもいる


そんな地域ではみんな何かしらの武装をしていて当たり前だったし子供だろうと走って近づけば殴られたって文句は言えない


肩が当たるような距離で走り回る子どもたち、周りを気にせずスマートフォーンを見て歩いてる人、お尻のポケットに財布をいれて商品を眺めているお兄さん



とても良い



だけど僕は、僕にここは似合わない、別世界のようだ



「いいなぁ」


「なにしてんの?いくよ?」



ガラスのショーウインドウが物珍しく感じる、こんなのすぐに割れそうだ


中にあるマネキン・・だったかな?着せられてる服カッコイイ


服は持ってるって言ってもせめてインナーだけでも買えって言われた


服なんて「どれ着ててもすぐに破られるから一緒じゃん」っていうと一瞬固まったはるねーちゃんだったが色々着せてもらった


サラサラするし生地がふわりと嫌なニオイがしない、触れてるところが痒くもなければ穴が開いてるようなものもない!



「これは・・・高級品・・・・?」


「1枚1000円もしないわよ」



すごいな異世界、じゃなかった、すごいな地球


ねーちゃんは買い物に来るとテキパキ済ませる方なのだが女神様と選ぶのにたのしそうに話してて疲れた



「ひゃあっ!?」


「次これもね」



着替えてても試着室に頭を突っ込んでくるし休めない



もう疲れたよ・・・癒やしがほしいよ・・・・・


シャツやパンツ、靴下を買って服のコーナーを出た



「次は靴見に行くわよ」


「その前にトイレ行ってくる」


「わかった、靴見てるからね」



その後は靴に靴下を見た、靴なんて何年ぶりだろうか?


靴なんてすぐ痛むし足ごとちぎられれば片方だけになったものもある


最近履いてるサンダルは僕の足に合うように作られたものだが同じデザインで26足ずつは収納に入っている


サンダル気に入ってるって言っても一応もっておきなさいって渡された




ご飯はラーメンだった


とんこつラーメン、少し癖のある香りが店に入った瞬間にムワリと漂って食欲を誘う


はるねーちゃんはとんこつチャーシュー麺のこってり、アブラ多め麺硬めの大盛り


僕は初めてだからと普通のとんこつラーメン、それと餃子を頼んだ



「これよこれ!替え玉一つお願いします!」


「お?いい食べっぷりだね!餃子あがりぃ!おまけしといた!!弟と食べな!」


「ありがと大将!」



スープの美味しさが脳に直接ぶつかりに来たかのように美味しい


ネギがシャキシャキ、きくらげがくにゃりとアクセントになる


濃い豚骨スープの強すぎるという旨さの影に僅かに残るくどさを打ち消していくらでも食べれそうとさえ思える


餃子も一口食べると肉汁があふれる、肉も野菜も変な味はせずに美味しさだけが皮に包まれている



素晴らしいかなとんこつラーメン



残念ながら全部は食べれずにはるねーちゃんが残った分を食べてくれた


相変わらずよく食べるなぁ



少し歩いてバッティングセンターに来た


野球選手とかがやってるやつだよね?



「まずは見てな」


「うん」



僕はまだお腹いっぱいなんだけどねーちゃんは全然動けるみたいでパキーンパキーンとボールを打っていく


おー、ネットの角にまで次々飛んで行くのは面白いなぁ



「いい汗かいた!」



よくわからないが拍手しておく


はるねーちゃんは昔から野球でもサッカーでも参加して大人負かせてたしな


それよりあれだけ食べてなんですぐに動けるんだろう?



「次あんたの番だからね!ちょっとトイレ行ってくるから待ってな!」


「はーい」



待ってるとおじさんが来て軽く準備体操したかと思ったらねーちゃんがさっきやってたところに入った


この人もはるねーちゃんみたいに飛ばすのかな?



一振り目で空振りして倒れた



倒れてからはピクリとも動かない


いやピクピクとは動いてるな



「大丈夫ですか?」

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