第67話 修羅場



ホテルの次は邸宅のような場所の結婚式場だ



丘があって小さな池があって、歩いていける小さな教会がある


外で自分たちの好きにアレンジして作るタイプの結婚式場


テレビで見ることのある映画のような結婚式式場、アメリカンスタイルっていうのかな


物珍しい気はしたがなぜか洋介も女神様も白けている



「どうしたの?」


「だって」<ねー>



こんな場所での結婚式なんて魔物に襲ってくれと言ってるようなものだとか警備のことを考えろとか雨だったらどうするの?とか・・・


一応建物も見たが反応は良くなかった



「普通だね」


<普通ですぅ>



3箇所目に来たのはよくある結婚式場だ、一度だけ来たことがある


「ホテルの格式高い結婚式」や先程行った「丘のようなロケーションをつかっての結婚式」そういうのではなく、ここは結婚に特化して自分たちの理想を叶えるようなスタイルの「普通の結婚式場」だ


今どきはこういう結婚式場を使うことが多いんじゃないかな?



中について説明してもらうとプランの話で神様が盛り上がっていた


風船を会場に満たすらしい・・・・洋介も真面目に聞いているが「日本の結婚式って変なの多いね」って言ってる、それは私も同意する



プランナーさんと洋介たちが一個一個見ていってるのに飽きたのでちょっと今のうちにトイレに行く、みんなで踊るとかそれどこの国の結婚式だろうか?


正直言って疲れていた


ホテルでの料理は美味しかったがシャツワンピを汚さないように気を使い


周りの視線を感じてずっと笑顔でいようとしていたからか。すごい肩がこっているのがわかる


マナーのことを考えると和食のほうが良かった心底思う



味はすごく良かったがラーメン食べに行ったほうが良かった、豚骨ラーメンすすりたい


買い物でショッピングセンターについてきたおじいさんのようにその辺のベンチで休憩したい


いや、洋介のように畳でゴロゴロしたい


とはいえ洋介がやらかさないか見ていようと思うし、そろそろ戻るか



「はる・・か・・・・?」


「え?なんでこんなとこにいるの?いや遥はこんな可愛くないし別人?」



絶対に会いたくない2人とこんなところで出くわすなんて思っていなかった


少し顔色の悪い春樹とバッチリ決めてきてる真莉愛


気にしてないふうに返すんだ「あらお久しぶり」なんて



「ざけんなクソどもが死ねカスぶっ殺す」



あ、口から無意識に言葉が出てしまった


唖然としている二人の顔を見て胸の内から怒りが湧き上がってきているのを感じる



「こほん、つい本音が、で、何してんの?結婚するの?」


「本物?」


「まさか化けて出たんじゃないでしょうね?」



笑える、まさか私も生きていられるなんて思ってなかった


だから化けて出てくるなんて言われて心底おかしい



だけどもしも・・


「あのまま死んでたら化けて出てたでしょうね、何度殺したいと思ったことか」


「ごめん、でも遥も悪いんだよ?」


「何いってんだクズが、人のことを二股不倫女に仕立てて悪評撒き散らしやがって、名誉毀損で訴えるから」



いつもなら絶対に言わない言葉がスラスラ出てきてしまう


本当なら今すぐぶん殴って海に沈めたい


なんとも思ってなかったはずなのに面と向かうとこうも憎しみは湧き上がってくるものなのか



深呼吸して2人をもう一度見る



この2人のことなんかもう本当にどうでも良かったはずなのに胃が熱く、はらわたが煮えくり返ってきている


今すぐこの2人を絞め上げて殴りまくりたい



「私が悪い?最低最悪の裏切りしてくれたのに、その口がよく言うよほんと」


「僕はそんな事してない」


「てかさ!私と春樹もう結婚するんだから未練がましく出て来ないで死んでてくれない!?」



この2人は私を怒らせるプロじゃないかな?買うよ?いくら?

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