第14話 友達


「うっわ酷いじゃん」


「第一声がそれ?おはよ」



黒葉奈美、背が高く、いつもおどおどしてる親友だ


連絡入れたのは昨日の深夜だったのにすぐに来てくれた親友に心が暖まる


彼氏である春樹なんて既読もついてない


旅行の計画を立てた後にデートって話してたし、拗ねちゃったかな?



奈美はちょっと泣きそうな顔をしてる



自分の顔は包帯にまみれてるし見れたもんじゃない


私に気をつかわせないように酷いなんて先に言ってくれる親友だからこそできるやり取り



でも、この子は自分で気を使っておいて自分で失言かとすぐに後悔するようなタイプだ



付き合ってみるととてもいい子だが初対面では壁を何枚も感じたし失言も多かった


人見知り過ぎてたまにパニクることもある、気遣いが過ぎて損をしてるぐらい本当にいい子だ


何も言わずにビニール袋をおいてるのは多分私へのお見舞い



「これ、私からのお礼ね」


「お金払うって」


「教科書借りて助かったしいいよいいよ、いっつも助けてもらってるのにこういうときぐらい甘えなって!ね?あ、一応教科書持ってきたけどまた今度にしようか?」



キョロキョロしてちょっと不審なところが可愛い



「その辺置いといて、ありがとう」


「心配して寝られなかったよー」



昼ぐらいのつもりだったが時計を見るとまだ朝の7時だった


ちょっと声を落とさないと


新品のバッテリーは箱を開けてくれて、そのまま私のスマホを充電してくれた


私も機械はわかる方だが彼女はパソコンを自分で組み立てたりと機械にすごく強い



「そういえば彼氏の春樹くん?だっけ?」


「うん?春樹がどうかした?」


「や、話したことはないんだけど、昨日みんなでだべってたとき坂上さんと仲良くてさ、びっくりしたよ」


「真莉愛さんかー、春樹とは幼なじみらしいのよ」



坂上真莉愛、彼女は春樹とは小学校からの付き合いで春樹の家とも近くて仲がいいらしい


真莉愛は春樹の子供の時の話を聞かせてくれたりするし私と春樹の仲を取り持ってくれたりもする


だけどちょっと春樹との距離が近い気もするのが少しだけ気がかりかも


幼なじみってそういうものだと思う、私も洋介とは仲良かったし



「その彼氏くんから連絡は?」


「やー、まだでさー、昨日デートの予定だったのにこれもんだったから」


「でも普通・・いやまぁ遥がいいならいいんだけど」



それから少し話して、ご飯が来たりして帰ってもらった


おかゆだったけどあんまり食べれなかった


口の中まだ腫れてるし、そもそもカラーで首動かしにくい、なにより全身痛い


寝て、起きて、看護師さんにトイレとか手伝ってもらって、夕方になって人の気配を感じた


スマホ・・?



「あ、起きた?大丈夫なのそれ?」


「真莉愛、おはよ、お見舞い?」


「うん、事故ったって聞いてさ、なんかしてほしいことある?」


「今のとこ大丈夫、ごめんね、旅行計画」


「いーって」



真莉愛は髪を金色に染めて少しギャルっぽい見た目をしている


でも見かけに反して結構気が使える優しい一面を持っている



「春樹は入院知ってんの?」


「どうだろ?」



頑張ってスマホをとって確認してみる


・・まだ既読ついてない



「知らない・・のかな?旅行の話の後にデートするはずだったからすねてるのかもしれない、はー」


「うわ、あいつサイテーだね、また今度殴っとくから」



ボクシングのような構えでシュッシュッとジャブをする真莉愛


春樹とは幼なじみでたまにお尻に蹴り入れてたりするのを見るし、やりかねない



「いやいや、急に行けなかったのは私だしね」


「遥ちゃんやさしー!・・でも春樹には説教しなくちゃだね」


「ふふ、お手柔らかに、あ、でも春樹にはこないように言っといてくれる?」


「どうして?」


「ほら、見れたもんじゃないからね」


「あー、わかった、お大事にね、なにか手伝えることある?」



起きて、実は全身痛い、麻酔が切れたのかな?



「やっぱり看護師さん呼んでほしいかな、全身痛くて泣きそう」


「わかった、呼ぶね」



それから少し話して真莉愛は帰った


麻酔が効いて痛みがなくなりすっと寝れてよかった


やはり全身痛いとなかなかつらい


誰かがいたような気もするがよくは覚えてない

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る