第142話 南極大戦 ③一族の誇り

梁と晃2人の戦いは熾烈を極めていた。

互いの武器がぶつかる毎に飛び散る火花。




梁「信条から託されたこの装甲デ、負ける訳にはいかないガ…アイツの装甲も中々の出力だナ!」

晃「リコン様に改造していただたいたこの装甲で私は兄に勝ち一族の誇りを守ってみせる!」




互いの青龍刀がぶつかり合う。

舞う火花。

互いの装甲の出力も同等なようで梁の技量を持っても競り勝つ事は困難だった。



梁「何て気迫ダ!それにいつの間にこんなに技量を身につけた!」

晃「貴方は私の憧れだった!誇りだった!だが、今はタダ憎む敵ダ!リコン様ノ為二!」




攻撃が激しくなると共に徐々に晃の様子だけでなく、晃の乗る魔法装甲もドス黒いオーラを纏っているように見えている。



梁「晃?」

晃「リコン様ノ為ニ!リコンサマノタメニ!」




呼びかける梁の言葉に反応する事なく、ただ聞こえるのは壊れた機械のように繰り返し同じ事を言う晃と激しい攻撃を繰り返してくる晃の魔法装甲。



梁「何て攻撃速度!このままじゃ押し負けル!晃の様子も気になル。これ以上長引かせるのは得策では無さそうだナ!」




そう言って梁はあるシステムを起動した。




梁「麒麟!コード、バースト!」

麒麟:確認しました。コード:バースト承認。実行します。



機械音声が聞こえた後、梁の乗る魔法装甲の麒麟の動力はかなりの魔力を消費し始める。

それに呼応するように、麒麟の外装の一部が展開されていく。

それだけでなく、装甲の出力も倍近くになり攻撃速度もその力も相手の装甲を上回っていく。

梁の麒麟はどんどん晃の魔法装甲を圧倒していき、とうとう両腕を切り落とすまで至る。

だが、そんな状態になっても晃の魔法装甲は麒麟に向かって突進してくる構えを見せる。




梁「クッ!そんな姿になったまデ、まだやろうというのカ!」



なという執念…だが怯んではいられないと梁は晃の装甲の両足を潰す。

遂に大地に立っていられなくなった晃の装甲は地に伏した。

そんな晃であったが、通信から聞こえて来たのは晃の恨み事と何かを吐くような音だった。

その異様な雰囲気に梁は慌てて晃の魔法装甲のコックピット部分を破壊する。

そして、確認する為自分の装甲を降りて確かめると、晃はコックピット内で身体の至る所へ管のようなモノが刺さっており、動かない機体のレバーをガチャガチャさせていた。



梁「晃!」



呼びかける梁を晃は睨みつけているが、呟く言葉に先はより変化があった。



晃「リコンサマノタメニ!アニ…タメニ!クルシイ…。リコンサマノタメニ!タスケ…!」

梁「晃!今助けル!…クッ!管が外れなイ!」



無理に引き抜けば危ない感じがするが、目の前の晃も徐々に弱って来ているような感じも見受けられた。



梁「どうすればいイ?このままでは晃ガ…」




焦りが生じていた中、麒麟へ通信が入る。



『梁さん!その人をその機体ごとニエドへ運んで来てくれ!』

梁「錬!だガ!」

『モニターしている様子だと一刻も争う!助けたいなら急いでくれ!』

梁「…わかっタ。すまなイ…」



梁は一度麒麟へ乗り込むと、晃の魔法装甲を抱えてニエドへ戻った。



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