Another11 ナイトメア

私がこの学校に来て1年が過ぎた。

ある任務の為だとわかっていたが、生徒達に関わるにつれ何故か罪悪感が溢れてくる。

仕えるべくいた魔王様もいない今どうすることもできない。

魔王様より授かった任務は若の護衛。しかし、若と共に護衛を担当していた娘ともはぐれ、行方知れず。

そんな中で同じ7魔将のレビアから持ち掛けられた提案、本来であればやつとは穏健派と強行派で争いあっていた仲だが、魔王様がいない現状では封印が解け混乱が起こっている魔族を束ねるにはやつの策に乗るしかなかった。


やつの策で探りを入れる為に巴 咲子ともえ さきこその人間の命を奪いなりすまし、情報を仕入れていた。

1000年前と違い人間たちは皆魔法を身に着け使いこなしている。だが、魔族と比べるとどうしても足りないそう感じていた。

この国…日本皇国の上級魔法師たちと呼ばれる者たちがいくら束になっても我ら7魔将に勝てる見込みはないほどだと思った。

この国で警戒するのは3賢者と呼ばれる者たち…そう思ってこの学校に来たのだが私は驚愕してしまった。

並みの魔族では歯が立たないであろう実力者が何人もいたからだ…たとえ私が相手をしたとしても無事では済まない…そんな実力者たちが若いながらここにいるのだ。

生徒だけで8人…先生と呼ばれた者たちはほとんど変わりはないが1人だけ、芳沢と呼ばれる先生は群を抜いているように感じた。

そして、レビアから注意するよう言われた人物…信条錬やつもここに通っているようだが今は他に用事があり現在はいない。

実力ある生徒のうち2人はその信条錬についていったとのことで、現在この学校に注意すべきは7人。

レビアにも連絡を入れたが慎重にことを運ぶようにとのことで様子をみて実行しようと様子を見ていた。


そんな中、私は不覚にも1人の生徒とかかわりをもってしまった。

他の生徒と違い、魔法が上達せず苦戦していた1年の女子生徒…真辺 雫(まなべ しずく)

放課後学校内で隠れて特訓している所を発見した。

昔、覚えが悪かった娘を指導していたことを思い出し、私はどこか彼女を放っておくことができなかった。

放課後に彼女の特訓に付き合ううち情が湧いてしまった。もう少しで作戦を実行しなければいけないのにだ…。

そして、また1人私は出会ってしまう。芳沢夏美、去年私と同じく新任で一緒になった先生の1人だ。私と雫が特訓しているのを見かけて協力したいと言ってきたのだ。

私は断ることができずその言葉に乗ることにした。

私は魔法の扱い方を、芳沢は魔力の鍛え方を雫に教える。

みるみるうちに雫は上達していく、私も芳沢の魔力の鍛え方については目を見張るものがあった。我らが教わったものとは別の考え方だったからだ。

彼女が気に入った生徒実力を得たのだと思った私は話を聞く。

だが、私が思った物とはだいぶ違っていた…実力ある生徒達全員と芳沢もある1人の人物から色々教わった結果だという。そう、レビアが注意していた信条錬その人である。

私は身震いした。これほどまで実力をつけることのできる相手…さらにレビアすら退ける実力者。私は何故か彼に興味を示した。

それからの日々は雫の特訓を続け芳沢とも友情のようなものが芽生え始めていた。

そして、レビアより指示された計画それを彼がいない間に実行するよう言われていたが私は無視を決め込み、彼が帰ってくる頃に実行することに決めた。



「ごめんね、雫…夏美…私は実行しなきゃいけないの。だから、ここで大人しくしててね…」



そう、悪夢の計画を実行するのだ。

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