Another9 成り代わり 1
私はとある目的があった。それは母との合流と若様の護衛。
あの封印が解かれた日、私は母とはぐれてしまった。
母は当時の魔王と呼ばれた者の側近、7魔将の1人で名前はアスモス。
私は封印される前にある任務を受けていた。若様…魔王の息子…ウル様を守ること。
しかし、封印が解かれた後は若様は行方不明になっていた。それだけでなく、母とも会うことができなくなってしまった。
封印が解かれた後は魔族にも大きな混乱があり魔王様の行方も知れず、代わりに同じく7魔将のシファー様が指揮をとることとなっていた。
全てを失ったような自分に優しくしてくれたのが母と同じ7魔将のレビア様だった。
レビア様は母の行方を探ることを条件に、若の捜索を手伝ってほしいと持ち掛けてきた。
私は2つ返事でレビア様の指揮下に入り、若様の行方を捜すことになった。
今の時代、どうやら人間も力を持ち始めたこともありうかつに行動できなくなったことで私たちは新たな魔法、擬態魔法を使うことになる。
擬態魔法は擬態する者の命を奪い、成り代わることができるという魔法。
西暦2002年、私は仲間が捕まえてきた剣持 詩織を女性の目の前にしていた。
捕まえて来られた他の人間が命を奪われ、姿を奪われていくのを恐怖もせずただ見つめていた。私は不思議に思った。普通は他の人間のように命乞いをするのだが、彼女はただ何も感じないようにただジッと私を見つめていた。
私は尋ねた。なぜ、命乞いをしないのかと…彼女は一言私は遅かれ早かれ死が待っていること。
彼女は不治の病に侵されていたのだ。だから、常にあきらめという言葉が支配していたのだろう。
私は躊躇してしまった…彼女の命を奪いこれから¨成り代わる¨ことに。
命を奪っても身体は残る。
そこで彼女は私に最後のお願いをした。
「私の命を奪って成り代わったら…私の遺体は両親の眠る墓に一緒に入れて欲しいと」
私は彼女に確約はできないと言ったが、彼女はお願いね?と笑顔を向けた。
ほどなくして私は彼女の命を奪い、自由に成り代わることが出来るようになった。
他の人間と同じように焼却し処分する予定だったが、私はこっそり彼女の遺骨を回収し彼女の両親が眠るという日本皇国へ渡り遺言通りその場所を見つけ出し埋葬した。
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